令和5年度 地区医師会救急災害医療担当理事連絡協議会開催

 令和5年度地区医師会救急災害医療担当理事連絡協議会を7月5日(水),府医会館にてハイブリッド形式にて開催した。各地区医より,会長,担当理事等が参加し,情報交換や活発な議論が交わされた。府医からは,谷口府医副会長,髙階府医理事,松田府医理事,成宮府医理事が出席したほか,救急・災害委員会から中野副委員長,災害対策小委員会から計良委員長も出席した。

 冒頭,挨拶に立った谷口府医副会長は,全国で相次いでいる自然災害に触れ,今後,起こりうる大災害への具体的な備えが必要とされる状況の中で,国や自治体は,地震や水害対策に着手しているものの,災害医療については,我々医師や医療提供者がイニシアティブをとって,行政や関係団体と密接に連携して体制整備に努めていく必要があると述べた。
 また,広域な大災害や局地的な災害もあり,多様化・複雑化する様相を呈しており,その規模や種類で対応も異なってくるため,様々なケースを想定し,どういう時にどう動くかをあらかじめ府医や各地区医また行政や関係団体等で協議の上,被災者,被災地の為の支援活動を効率的・効果的に展開できるような体制が求められるとの考えを示した。

JMAT 京都の登録および研修会実施状況について

 JMAT 京都について,令和5年7月1日時点で計274名の医師が登録されており(内訳:診療所医師=106名,病院勤務医が=168名),毎年開催している JMAT 京都研修会の令和元年度から令和4年度までの実施状況として,参加者が延べ570名にのぼることを報告。
 今年度は,第1回を8月3日に「JMAT 京都として知っておくこと」をテーマとして,3演題を WEB 形式にて実施することを報告した。

京都府,京都市の災害対策の状況について

 京都府からは主に①災害拠点病院,②緊急災害医療チーム(DMAT)指定病院,③災害時医療のコーディネート体制,④京都府救急医療情報システム(よろずネット)広域災害・救急医療情報システム(EMIS),⑤関西広域連合でのドクターヘリ運用,⑥広域医療搬送拠点(SCU)−について報告された。
 京都市からは医療救護活動内容について,①医療機関の被害状況の把握,②避難所等への救護班の派遣調整,③救護所の設置−を担うことを想定しているとの報告がなされた。
 ※京都市情報館に災害時の医療救護活動の取組みのまとめが公開されています。
 (https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000309867.html

総合防災訓練の参加地区について

 総合防災訓練については,従来,訓練実施場所の該当地域の地区医に対し出務を依頼していたが,近年,京都市総合防災訓練の実施場所が左京区みやこめっせ周辺に限定されていることから,今年度より輪番制として各地区医に出務を依頼していくことが承認された。

各地区からの現状・課題について

 各地区より,現在の災害対策の取組み状況や課題などについて活発な意見が出され,府医,地区医,行政で検討すべき課題や問題点について情報共有を行った。多くの地区から会員の安否確認や連絡体制,被害状況の確認など情報ツールについての課題が挙げられた。
 具体的には現在,災害時等の情報収集について病院は国が運用する広域災害救急医療情報システム(EMIS)への入力による情報の提供・収集が求められ,全国的に活用されているが,診療所や市町村単位では,災害時等の情報収集に活用できるほどのシステムの確立には至っておらず,災害時には,各地区医が様々な媒体で行政に情報提供せざるを得ない状況であることが課題として示された。
 京都市からは現状,アナログ的な手法しかなく,情報の整理がつきにくい状況であることから,今後,情報共有ツールについての検討を進めていく考えが示されたものの,現段階では各地区独自による手法での協力が求められた。
 髙階府医理事からは,情報収集については各地区医に負担をかけていると認識しており,ICT化も進んでいることから,災害時の安否確認および情報共有や,情報通信のあり方について府医としても検討が必要との考えが示された。
 最後に髙階府医理事から,2024年2月22日~24日にみやこめっせを会場として開催される日本災害医学会について案内がなされた。

2023年8月15日号TOP