「コロナ後の医療」について議論

 福知山医師会と府医執行部との懇談会が12月5日(月),Web で開催され,福知山医師会から8名,府医から8名が出席。「コロナ後の医療」をテーマに議論が行われた。

〈注:この記事の内容は12月5現在のものであり,現在の状況とは異なる場合がございます〉

コロナ後の医療について

~オミクロン株の特性を踏まえたレベル分類の見直し~
 令和4年11月11日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会では,今秋以降の感染拡大で保健医療への負荷が高まった場合に想定される対応として,「オミクロン株に対応し,外来医療等の状況に着目した新たなレベル分類に見直し」,「感染拡大が進行し,保健医療への負荷が高まった段階等,各段階において取り得る感染拡大防止措置について整理」がとりまとめられた。

~京都府におけるレベル分類見直し~
 京都府においては,レベルの枠組みやレベルごとの事象や指標については,国に準拠することとなる。また,レベルの移行にあたっては,感染状況のほか,発熱外来や入院医療,救急搬送など保健医療の負荷の状況を参考に総合的に判断することになる。

~国の新たなレベル分類(抜粋)~
◇レベル1(感染小康期)

  • 病床使用率は概ね0~ 30%
◇レベル2(感染拡大初期)
  • 発熱外来の患者数が急増し,負荷が高まり始める
  • 病床使用率は概ね30 ~ 50%
◇レベル3(医療負荷増大期)
  • 外来医療の負荷が高まり,発熱外来や救急外来に多くの患者が殺到する,重症化リスクの高い方がすぐに受診できないという事象が発生
  • 救急搬送困難事例が急増する
  • 職場で欠勤者が多数発生し,業務継続が困難になる事業者も多数発生
  • 病床使用率/ 重症病床使用率は概ね50% 超
◇レベル4(医療機能不全期)
  • 通常医療も含めた外来医療全体がひっ迫し,機能不全の状態
  • 救急車を要請しても対応できず,救急搬送困難事例の件数として把握できない状態が生じている
  • 多数の医療従事者の欠勤者発生と相まって,入院医療がひっ迫
  • 病床使用率/ 重症病床使用率は概ね80% 超
 医療負荷増大期には,感染拡大が著しい都道府県が「対策強化宣言(仮)」を行い,各地域の実情に応じた対応を実施することになる。しかしながら,具体的なことは一切決まっておらず,今後,地域医療構想調整会議などにおいて,地域の実情に応じた体制が検討される。

~コロナワクチンの見通し~
 現在は,初回接種(1・2回目)終了者は3カ月の接種間隔でオミクロン株対応ワクチン接種が行われている状況を説明。特例接種期間が令和5年3月までとなっていることから,公費での接種はそこまでになるとの見通しを示しつつも,延長の可能性にも言及した。
 また,現在,2類から5類への引下げ議論が盛んに行われており,5類相当になるのであれば,季節性インフルエンザワクチンと同様の扱いになると思われるが,国の議論において慎重な意見も多くみられ,今後の動向は不明であるとした。

◇意見交換
 病院においても職員の無症状感染者を契機とするクラスターが発生しており,医療機関や高齢者施設における無症状感染者の職員の扱いに苦慮している現状が示され,職員の休職により医療機関運営に支障をきたしていることが報告された。その上で,5類引下げの議論は慎重に行われるべきとして,他の感染症の扱いと同等にせずに,コロナ独自の政策的対応が求められるのではないかとの意見が出された。
 府医からはこの意見に対して,無症状感染者が一定数いることやワクチン接種が進んだことによる重症化の減少など感染症の病原性の観点から5類引下げの議論が行われているとしつつも,感染者や医療従事者を守るためにも段階的な移行が必要との考えを示した。現状としては,ワクチン接種を行っていくことがその手段の一つになるのではないかとした。

2023年2月1日号TOP