地区だより

京都北医師会
− 京都市北区の史跡を訪ねて(二足のわらじ医者たより)−

加藤 賀千雄

 私は永年にわたり京都市の北区に住んでおりますが、この地域にはいくつかの史跡や、歴史的、芸術的価値のある場合が存在しております。若い頃は、歴史的建造物や史跡などにはあまり興味がなかったものですからこの歳になるまで立ち留まって眺めることもありませんでした。
 私は京都市立加茂川中学校に通っておりましたが、その校庭の真横と正門の西側には、豊臣秀吉が作った御土居があります。
 小学生の頃には冬に御土居に積もった雪でそり遊びをしていました。そして、京都市立紫野高校に通うようになると、毎日大徳寺の山門をくぐって登下校しておりました。まさに千利休が切腹をしたその真下です。
 挿し絵は大徳寺の塔頭の漆喰の塀に埋め込んである般若の瓦で、禅宗寺らしい無駄をしない造形です。大徳寺の西側には今宮神社の参道があります。今宮さんは若い女性には「玉の輿神社」と呼ばれ大変人気のあるありがたい神社です。今宮神社の東側の石畳の参道には、平安時代から今でも商いを続けておられる「あぶり餅屋」さんが向かい合わせに軒を並べています。
 北側には「一和」さん、南側には「かざりや」さんです。御園橋を渡り賀茂川を越えると今や世界遺産となった上賀茂神社(賀茂別雷神社)の鳥居が見えます。上賀茂神社には、私は正月元旦にはほゞ毎年欠かさず本殿におまいりしております。本殿中門には正月飾りのわらで作られた「宝船」が吊るされます。挿し絵にも描きましたが、誰が作っておられるのか存じ上げませんが、毎年少しずつ微妙に形が変化しております。上賀茂神社の奥にはひっそりと佇んでいる奈良時代の様式高床式の校倉作りの建物があります。まるで正倉院を思わせる見事な機能美です。私はこの造形の魅力に取りつかれて何度もスケッチして来ました。もう少し西の方に足を向けると「光悦寺」があります。江戸時代初期の文化人、本阿弥光悦が建てたのが起こりで、光悦の死後、日蓮宗の寺になりました。茶室大虚庵を囲むユニークな竹は「光悦垣」と呼ばれ美しい曲線をしています。秋の紅葉が竹垣からのぞく様子は可愛らしくて西洋風でもあります。
 こうして、北区のおもしろい所を紹介しているときりがありません。この辺で筆を止めておきます。尚、挿し絵は私がずいぶん前に描いたものもあり、他でも紹介させてもらった絵もあります。ご了承ください。

大徳寺 高桐院の漆喰壁
今宮神社あぶり餅屋さん
上賀茂神社 雪景色
上賀茂神社 正月 蓬莱宝船
上賀茂神社 校倉
光悦垣

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