ドネペジル塩酸塩製剤の保険適用に係る留意事項について

 今般,令和4年10月28日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で,ドネペジル塩酸塩製剤(販売名:アリセプト)の効能・効果の1つである「レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制」に関する再審査結果を受け,令和4年11月29日付で効能・効果等の一部変更承認がなされたことを踏まえ,当該医薬品の保険適用に係る従前の留意事項が廃止されるとともに,下記のとおり新たな留意事項が示されましたので,お知らせします。
 また,ドネペジル塩酸塩製剤の後発医薬品についても,「再審査結果を踏まえた先発医薬品の製造販売承認事項の一部変更に伴う後発医薬品の対応について」(令和4年11月29日付け薬生薬審発1129第1号)が発出されたことを受け,先発医薬品と同様の対応を行うことが示されています。

1 アリセプト錠3mg,同錠5mg,同錠10mg,同D錠3mg,同D錠5mg,同D錠10mg,同細粒0.5%,同内服ゼリー3mg,同内服ゼリー5mg,同内服ゼリー10mg及び同ドライシロップ1%
(1)本製剤をアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制に用いる場合は,効能又は効果に関連する注意において「本剤は,アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること」とされていることから,アルツハイマー型認知症と診断された患者に対して使用した場合に限り算定できるものであること。
(2)本製剤をレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制に用いる場合は,以下のとおりレセプトの摘要欄に記載すること。

  • ① 効能又は効果に関連する使用上の注意において「本剤は,認知症治療に精通し,「17.臨床成績」の項の内容について十分に理解した医師又はその指導の下で,レビー小体型認知症の臨床診断基準に基づき,適切な症状観察や検査等によりレビー小体型認知症と診断され,本剤の使用が適切と判断された患者にのみ使用すること。」とされていることから,適切な症状観察や検査等によりレビー小体型認知症と診断され,本製剤の臨床試験成績も踏まえた上で,本製剤の使用が適切と判断された患者に対して使用した場合に限り算定できる。レビー小体型認知症と診断され,本製剤の使用が適切と判断した理由(最新のガイドラインに基づいた診断内容及び臨床試験成績を理解した上で本剤投与が適切と判断した旨)を記入すること。
  • ② 用法及び用量において「投与開始12週間後までを目安に,認知機能検査,患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い,認知機能,精神症状・行動障害,日常生活動作等を総合的に評価してベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は,投与を中止すること。」とされていることから,投与開始12週間後までに有効性評価を行い,投与継続の検討を行った年月日,本製剤の投与継続が必要かつ有効と判断した理由(認知機能検査,患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い,認知機能,精神症状・行動障害,日常生活動作等を総合的に評価し,ベネフィットがリスクを上回ると判断した内容)を記入すること。
  • ③ 用法及び用量において「投与開始12週間後までの有効性評価の結果に基づき投与継続を判断した場合であっても,定期的に有効性評価を行い,投与継続の可否を判断すること。」とされていることから,投与開始12週間後までの有効性評価後に投与を継続する場合は,投与継続の検討を行った直近の年月日,本製剤の投与継続が必要かつ有効と判断した理由(認知機能検査,患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い,認知機能,精神症状・行動障害,日常生活動作等を総合的に評価し,ベネフィットがリスクを上回ると判断した内容)を記入すること。

2 後発医薬品のドネペジル塩酸塩製剤についても,上記1と同様の対応を行うこと。

2023年1月15日号TOP