「オンライン資格確認」,「電子処方箋」,「大規模災害時における地区医師会の役割」について議論

 京都市西陣医師会と府医執行部との懇談会が1月18日(水),Webで開催され,京都市西陣医師会から10名,府医から8名が出席。「オンライン資格確認」,「電子処方箋」,「大規模災害時における地区医師会の役割」をテーマに議論が行われた。

オンライン資格確認について

 オンライン資格確認が4月から義務化されるが,令和4年12月末に政府から経過措置の内容が示され,「やむを得ない事情」がある医療機関については,地方厚生局に届出をすることで猶予されることとなった。「やむを得ない事情」については,多くの医療機関において想定される「システム整備中」,「ネットワーク環境事情」,「訪問診療のみを提供する医療機関」,「改築工事中,臨時施設の医療機関」,「廃止・休止予定」などの他,「特に困難な事情がある医療機関」においても厚生局の個別判断で対象となる。
 オンライン資格確認をめぐっては,義務化対象外の医療機関における資格確認の方法やセキュリティリスクへの対応など課題が山積しており,府医としては今後とも日医を通して現場の声を届けていく。

電子処方箋について

 ※「オンライン資格確認」,「電子処方箋」,「かかりつけ医制度」,「医薬品の出荷調整」について議論参照

大規模災害時における地区医師会の役割に関して

 昨今のコロナ禍の影響により,災害時における医療体制の整備も,行政と府医との連携も進んでいない状況である。厚労省から示されている災害時の医療体制に基づいて府・市の医療体制が構築されているが,市災害対策本部は府医等と連携し,二次医療圏では各保健所と地区医とが連携することになっている。
 京都市内においては,各区と地区医の連携により,管轄区域内の医療機関などの被害状況や避難所の開設状況,医療ニーズの把握が必要となるが,必ずしも地区医と行政区が一致せず,複数の行政区にまたがる地区があるため,地区間での連携,連絡体制,役割分担の調整等が課題である。また,行政との連携を考えると,通信手段の確保や,リエゾン(調整員)の派遣,担当者を事前に決めておくなど,医師会内の体制確立も必要である。
 京都市が19年ぶりに花折断層の被災状況の想定の見直しを行っているが,これらとハザードマップを確認の上,地区ごとの避難経路,道路の通行可否等を確認しながら対策を検討していく必要があると考える。
 地区医師会救急災害医療担当理事連絡協議会を新年度の早期に開催し,詳細を検討していきたい。

◇質疑応答・意見交換
 意見交換では,主にマイナンバーカードの健康保険証利用に関する質問が多く出され,十分に普及が進んでいない中で,政府から保険証を廃止する方針が示されたことに疑問を呈する声が挙がった。府医からは,保険者側としても直ちに保険証を廃止することは現実的ではないと指摘し,今後,日医とともに動向を注視していく意向を示した。
 地区からは,災害時における指示系統の確立や,地域住民から期待されている地区医の役割を整理しておくと同時に,地区医としてできることの整理も必要であるとの意見が出された。また,行政区によって温度差がある中で,行政と地区医との連携を深めるためにも,府医の災害医療コーディネート研修会を地域単位で実施することも提案された。
 府医からは,災害急性期において,医療が必要な人を医療に繋げることを主眼に,地区で情報収集した上でプランを立てていただくとともに,収集した情報を府医と共有し,府医から日医にJMATの派遣を要請する等,必要な対応に繋げていくことが重要であると説明した。

2023年3月15日号TOP