2023年3月15日号
担当理事 右京 松木 圭子
立春とは,二月前半から二月後半にあたる二十四節気の一つです。「春が立つ」と書くように春が始まる日とされます。四季の始まりを意味する「四立」の一つで,暦の上ではこの日から立夏の前日までが「春」となります。ちょうど 2023年の立春は2月4日です。先週の寒波は厳しいものでしたが,本日は日差しも暖かで,よいお日和でございました。実に3年余りに及んだコロナ禍を過ごされた皆様,それぞれの思いを胸に,京都ブライトンホテルにて京都府医師婦人会新年会が開催されました。昨年までは何もかもが自粛という苦しい時期を,前会長をはじめ,役員様,お役職におありで御座いました方々,それぞれにお過ごしになられ乗り越えてこられた,皆様が凛と整然とご出席になり,美しさとは,こういうことだと感じ入りました。
会場に定刻より少し早めに入りますと,本日ご講演いただく茂山忠三郎様が,舞台にて共演者と本番前の確認をされて御座いましたのを拝見し,丁寧にご準備されてこられたのだというお心が会場の空気に染み入るように感じました。また,会場にて,開始前からお集まりになられた皆様が,にこやかにそれぞれにご挨拶され,和気あいあいとした柔らかな物腰でお過ごしでございました。
定刻になり,司会の柳澤泰子様の流麗なアナウンスで森岡香朱会長のご挨拶がありました。立春は春の始まり,1年の始まり,コロナ禍で3年ぶりに新年会を行うことができました,このあとどうぞごゆっくりお楽しみくださいと落ち着いた穏やかなお声で会場をいざなわれました。
続いて,司会の柳澤様から講演者の茂山忠三郎様のご紹介です。暖かい含み笑いが起こる狂言を目指しているとおっしゃいました。
いよいよご本人のご登壇です。まず,狂言を見たことがない人,手を挙げてとおっしゃいました。あまり手が上がりません。「ホンマ~?」と早速の愉快なさすがのつかみです。自然に笑いが起こります。緊張を少しほぐしたあとは,狂言のルーツは京都発祥のもので遡れば奈良時代の「大和散楽」とか,神に捧げるご神事として発祥したなど,分かりやすく,ほお,そうだったのかと何も知らない私は聞き入ってしまいました。狂言は2人いれば成り立つそうです。
本日のお題は喜劇「いなば堂」。あらすじをご説明くださいます。いささか問題のある夫婦の話で,男の側から見た「奥さん」は,男は毎日仕事をしているのに妻は遊び歩いて大酒を飲んでいる。妻が実家へ帰ったところで三行半をたたきつける,妻のような「わわしい」女ではなくおしとやかな女性が新しい妻として欲しい,といなば堂へ行ってつまごいをしている。
それを知った妻はカンカンに!!女のほうから言わせてもらうと,「あんな男はしょうもない!」つまごいをしている?何ということだ,様子を見てやろうと行くと,のうのうと寝ている!女は一計,「こらしめてやろう!」男が寝ている耳元で,寺の西門に行くと理想の女性がいる,とこっそり囁いた。男はこれをお告げと勘違い。いそいそと行くと美しそうな女が立っている!さすがはいなば堂だ!と。声をかけて連れ帰り,酒杯を交わすが,どっかでみたことのある…
さて,オチは??
狂言は,期待を裏切らない,こうなるんでしょうと思うように落ち着くのだそうです。パントマイムで行うのが狂言。皆様の想像力を働かせてみる芸能だということです。「一番大切なことは,面白かったら笑ってください!バカな男を笑ってやってください」と。
丁寧なご説明のあと,舞台が始まりました。想像力を働かせて,いや,そんなことをしなくても周りの景色が見えるようで,どうなることかと引き込まれていきます。絶妙な間合い,歯切れのよいセリフまわしも小気味よい。いつの世も男女のいさかいはあり続けるのでしょう。
講演の後,森岡会長の御礼のお言葉がありました。新年会といえば狂言がぴったりだと思います。今までの古典芸能を覆すような努力をされている。私も大酒飲みなので,気を付けようと思いました,とウィットに富んだご挨拶で会場は笑いに包まれました。
お食事の前には稲田前会長に乾杯のご発声をいただきました。任期中,ずっと自粛で,しかし冷静に耐えてこられたお気持ちの強さが伝わってまいりました。前任期をともに過ごしてこられた役員の皆様,大変お疲れ様でございました。そしてありがとうございました。
和やかに始まったお食事も上品で美味しく,それぞれのテーブルににこやかにご挨拶まわりをされていらっしゃる皆様が多くいらっしゃいました。互いに写真を撮影,談笑されたり,心地よい時間をともに楽しまれているようでした。また講演された茂山様も会長のいらっしゃるテーブルでご一緒にお過ごしで,ほんのりとよいお顔色,終始笑顔でいらっしゃるのがうかがえました。
楽しい時間は瞬く間に過ぎてしまいます。最後に吉田朋子副会長から閉会のご挨拶です。狂言の茂山様,大変有難うございました。また本年も楽しい企画を考えていきたいと思います。小さな笑いが少しずつ増えることを願いまして終会とさせていただきます。次回はまた総会での再会を楽しみに,とお話になりました。こうして和やかに会はお開きとなりました。皆様,有難うございました。