第10回 地区庶務担当理事連絡協議会(令和5年3月22日開催)

△報告ならびに協議事項

1.京都健康医療よろずネットの全国統一システム(G-MIS)への移行について

 京都府医療課より京都健康医療よろずネットの医療機関情報が令和6年2月末までに全国統一システム(G-MIS)へ移行する予定であり,以後,同システムにて医療機関情報が公開されるとの報告があった。
 移行後は,全国統一システムの登録情報を各医療機関が G-MIS で更新することになるため, G-MIS アカウントの取得を呼びかけた。
 令和6年3月に各医療機関において G-MIS 入力情報の確認,修正し,令和6年4月に全国統合版ウェブページで医療機関情報が公表される予定であるとした。

2.最近の中央情勢について

 令和5年2月下旬~3月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆電子処方箋の普及拡大に向け,厚生労働省が設置した「電子処方箋推進協議会」にて,厚労省は9月を目安に,導入意欲の高い医療機関・薬局が多い地域を中心とした普及拡大や,公的病院への早期導入要請を図る方針を示したが,導入にともなう医療機関・薬局の費用負担について,構成員からは補助の拡大を求める意見が多く出された。◆自民党の全世代型社会保障に関する特命委員会において,今夏の「骨太の方針」も見据え,持続可能な社会保障制度のあり方について議論が開始され,医療・介護関係者の賃金を増やす必要がある中で,従来のように社会保障費の伸びを自然増分に抑えていくと,医療や介護の現場が運営できなくなってくるとの懸念が示された。◆政府は3月7日の閣議で,マイナンバーカードと健康保険証を一体化する規定等を盛り込んだマイナンバー法等改正案を決定。法案では,令和6年秋に保険証廃止を目指す政府方針に沿って,マイナカードを持っていない人らも医療機関を受診できるように,「資格確認書」を提供する方針。◆松本吉郎日医会長は,新型コロナウイルスの類型変更後も財政支援を求める要望書を加藤勝信厚生労働相に提出。要望書では,類型変更後もウイルスの感染性は変わらず,医療機関では今後も感染対策を講じる必要性があると説明し,「診療報酬上の適切な評価,病床確保料等の財政支援が引続き必要だ」と強調した。◆厚生労働省は中医協総会で,新型コロナウイルスの5類移行に向け,診療報酬のコロナ特例見直しの大まかな方向性を提示。診療側は,医療現場の混乱を避け,円滑に移行するために,一定の経過措置の確保が重要だと訴え,支払い側は,5月の移行時から速やかに特例を見直し,9月ごろにはすべての特例廃止を視野に入れるべきだと主張した。◆政府は,新型コロナウイルスの5類移行にともない,医療提供体制や診療報酬特例措置の見直し方針を発表。診療報酬は暫定的な措置として特例を見直し,令和6年度同時改定で,コロナ対応を組み込んだ新たな報酬体系にする方針。◆中医協総会は新型コロナウイルスを5類に変更する5月8日以降の診療報酬特例の見直しについて,外来では,感染予防対策を講じた上でのコロナ疑い患者の診療について,対応医療機関の枠組みを前提として受け入れ患者の拡大に取組む医療機関は引続き300点を算定できるが,受け入れ患者を限定する場合は147点とし,報酬に差をつけることで,対応医療機関の拡大を後押しする形とした。―等の話題を中心に説明した。

3.学術講演会の今後の予定について

 4月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。

4.第 31 回日本医学会総会について

 本総会への参加を改めて呼びかけた。
 また,本総会では産業医学研修会について各都道府県にサテライト会場が設けられ,現地会場と合わせて6単位取得できる等のメリットもあると案内した。

5. HPV 9価ワクチン(シルガード9)の接種回数について

 4月から定期接種が開始される HPV 9価ワクチン「シルガード9」について,9歳以上15歳未満の女性を対象として,通常6か月以上の間隔を置いて2回の接種が可能となることを報告。
 2価と4価 HPV ワクチンとの交互接種である場合は3回接種する必要があることや,9価ワクチンを接種した場合は次回も9価ワクチンを接種する必要があることを説明し,注意を呼びかけた。

6.今後の新型コロナワクチン接種について

 3月7日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論を踏まえ,令和5年3月31日までとされていた新型コロナワクチン接種の特例臨時接種としての期間を1年間延長し,令和6年3月31日までとすることが決定したことを報告。
 今後は5歳以上のすべての者を対象として,令和5年秋冬に1回接種することとし,重症化リスクの高い者および医療・介護従事者,65歳以上の高齢者について令和5年春夏(5~8月)に1回追加することが示されていると説明した。

7.胃がん内視鏡検診の広域化について

 前回の本協議会でも案内された標記について,改めて案内した。
 内視鏡検診を実施する市町村がそれぞれ別々に実施医療機関を募集・認定してきたが,広域化により募集・認定が効率化されることで,市町村だけでなく,受診者,実施医療機関にもメリットがあり,さらには検診受入数が十分に見込めない地区においては,住民が近隣市町村で受診できるようになると説明。また,精度管理についても,京都消化器医会の支援を得て,クラウド型二次読影システム ASSISTA を利用することで府全体を一元管理することができるとした。
 従来から京都市の胃がん内視鏡健診実施医療機関として登録している場合は,胃がん内視鏡検診の広域化につき広報することに同意すれば,新たに登録申請を行う必要はないと説明した。
 なお,運営方法や検診実施を決定した市町村については,改めて広報するとした。

△地区からの協議事項

COVID-19 について

 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されるにあたって,地区医からの質問に対し,下記のとおり回答した。

  • 陽性確定のための検査について
     発症9日以内の有症状者については,抗原検査キットと PCR 検査の結果の一致率が高いことから,抗原定性検査のみで陽性確定できるとし,季節性インフルエンザについては,発症後2日目からウイルス量が最大になるため,2日目以降でしか抗原定性検査を行うことができないが,新型コロナウイルス感染症は発症初日からウイルス量がピークであるため,初日から抗原定性検査で陽性確定できると説明した。
  • 待機期間について
     感染症類変更後における有症状者の待機期間は決まっていないため,国からの通知があり次第,報告するとした。
  • 療養証明および陰性証明について
     2年前から厚労省より陰性証明書を発行しないよう通知されていることと併せて,海外渡航についても陰性証明書は不要であり,ワクチン接種証明で渡航できるようになっていることを説明。
     療養証明書については,発生届を提出する対象者以外は発行されないこととなっており,厚労省から保険会社にも同証明書の提出を求めないよう通知がなされ,現在は不要であるとした。
  • 濃厚接触者の扱いについて
     季節性インフルエンザ同様,濃厚接触者数を特定しなくなると説明した。
  • 発熱外来と応召義務について
     政府は発熱外来を増やし,幅広く新型コロナウイルス感染症の診療ができる体制の構築を目指しており,日医からも季節性インフルエンザの診療を行っていた医療機関は発熱外来を担ってほしいとの意向が示されていることを紹介。
     これまでは特定の医療機関で診療・治療を行ってきたため,医院の構造上の問題等により診療行為を行えないことを掲示したり,受診できる医療機関を紹介すれば,新型コロナウイルス感染症の罹患や疑いを理由に診療を断っても例外的に応召義務に触れることはなかったが,今後は新型コロナウイルス感染症の罹患や疑いを理由に診療を断ることができなくなると説明。また,従来どおり受診できる医療機関を紹介すれば応召義務に触れることはなく,医療機関でできる導線分離を行うことが望ましいとした。

2023年5月15日号TOP