薬価基準の一部改正等について

 3月14日付厚生労働省告示第70号,第71号および第72号をもって,薬価基準および掲示事項等告示等が改正され,3月15日から適用されました(ただし,第72号の改正規定は,令和5年4月1日または同年6月1日から適用)ので,その概要を下記のとおりお知らせします。

新たに収載されたもの(3月15日から適用)

<内 用 薬>

<注 射 薬>

<外 用 薬>

市場拡大再算定および費用対効果評価結果に基づき価格調整が行われたもの(令和5年6月1日より適用)
使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働告示第60号)の一部改正

薬価基準の一部改正に伴う留意事項について

(1)ラジカット内用懸濁液2.1%

 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において,「臨床試験に組み入れられた患者のALS重症度分類,呼吸機能等の背景及び試験ごとの結果を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で,適応患者の選択を行うこと。」及び「ALS重症度分類4度以上の患者,努力性肺活量が理論正常値の70%未満に低下している患者におけるエダラボンの投与経験は少なく,有効性及び安全性は確立していない。
 これらの患者に本剤を投与することについては,リスクとベネフィットを考慮して慎重に判断すること。」と記載されているので,使用に当たっては十分留意すること。

(2)クレセンバカプセル100mg及び同点滴静注用200mg

 本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤を投与する前に,原因真菌を分離及び同定するための真菌培養,病理組織学的検査等の他の検査のための試料を採取すること。培養等の検査の結果が得られる前に薬物療法を開始する場合でも,検査の結果が明らかになった時点でそれに応じた抗真菌剤による治療を再検討すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。

(3)ゾコーバ錠125mg

  •  本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤の投与対象については最新のガイドラインを参考にすること。」及び「「17.臨床成績」の項の内容を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で,本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。」とされており,本通知発出時点における最新のガイドラインである「COVID-19に対する薬物治療の考え方第15.1版」において,「一般に,重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に,対症療法で経過を見ることができる」,本製剤の投与時の注意点として,「高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある者に処方を検討すること。」及び「一般に,重症化リスク因子のない軽症例では薬物治療は慎重に判断すべきということに留意して使用すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意し,本製剤の投与が必要な患者に限り投与すること。
  •  本製剤の添付文書に基づき,併用薬剤の投与の有無,妊娠の可能性の有無等の禁忌事項について確認を行い,本製剤の投与が適切な患者に限り投与すること。
  •  本製剤は医薬品医療機器等法に基づき緊急承認を受けた医薬品であり,その承認条件を踏まえ,添付文書において「本剤は,本邦で緊急承認されたものであり,承認時において有効性及び安全性に係る情報は限られており,引き続き情報を収集中である。そのため,本剤の使用に当たっては,あらかじめ患者又は代諾者に,その旨並びに有効性及び安全性に関する情報を十分に説明し,文書による同意を得てから投与すること。」とされているので,使用に当たっては文書による説明と同意を取得すること。
  •  これまで本製剤は,製造販売業者から厚生労働省が提供を受け,各医療機関・薬局に配分していたところであり,厚生労働省より配分された本製剤の費用は請求できないものであること。

(4)パキロビッドパック300及び同パック600

  •  本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「臨床試験における主な投与経験を踏まえ,SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等,本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。また,本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
  •  これまで本製剤は,製造販売業者から厚生労働省が提供を受け,各医療機関・薬局に配分していたところであり,厚生労働省より配分された本製剤の費用は請求できないものであること。

(5)マンジャロ皮下注2.5mgアテオス,同皮下注5mgアテオス,同皮下注7.5mgアテオス,同皮下注10mgアテオス,同皮下注12.5mgアテオス及び同皮下注15mgアテオス

  •  本製剤はグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体アゴニスト及びグルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニストであり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
  •  本製剤は注入器一体型のキットであるため,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算は算定できないものであること。
  •  本製剤の自己注射を行っている者に対して,血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には,インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて,「C150」血糖自己測定器加算を算定できるものであること。

(6)モノヴァー静注500mg及び同静注1000mg

  •  本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は経口鉄剤の投与が困難又は不適当な場合に限り使用すること。」とされているので,使用に当たっては十分留意すること。
  •  本製剤は,原則として血中Hb値が8.0g/dL未満の患者に投与することとし,血中Hb値が8.0g/dL以上の場合は,手術前,分娩に伴う大量出血等早期に高用量の鉄補充が必要であって,含糖酸化鉄による治療で対応できない患者にのみ投与すること。
     なお,本製剤投与前の血中Hb値及び血中Hb値が8.0g/dL以上の場合は本製剤の投与が必要と判断した理由をレセプトに記載すること。

(7)アリドネパッチ27.5mg及び同パッチ55mg

  •  本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「本剤は,アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。」とされていることから,アルツハイマー型認知症と診断された患者に対して使用した場合に限り算定できるものであること。
  •  本製剤の用法及び用量に,「1日1回貼付する」とされており,適用上の注意において,「原則,1回につき1枚のみを貼付すること。」と記載されていることから,1日につき,1枚を使用した場合に限り算定できるものであること。

(8)トレプロスト吸入液1.74mg

  •  本製剤はプロスタグランジンI2製剤であり,在宅において,携帯型精密ネブライザを用いて本製剤を投与している患者に対して指導管理等を行った場合は,「C111」の在宅肺高血圧症患者指導管理料を算定できるものであること。
  •  本製剤を肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のものに対して,携帯型精密ネブライザを使用して投与した場合は,「C168-2」携帯型精密ネブライザ加算を算定できるものであること。

2023年5月15日号TOP