2023年11月1日号
7月下旬から9月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆中医協総会は,今後の診療報酬改定 DX を見据え,2024年度改定以降,施行時期を4月から6月に後ろ倒しする厚生労働省案を了承した。薬価改定は従来どおり,4月とする。診療側は,後ろ倒しにともなう医療機関のメリットが明確になるよう,厚労省に取組みを求めた。◆財務省の端本秀夫主計局主計官(厚生労働係,社会保障総括担当)は,年末の2024年度予算編成に向けて「トリプル改定」への対応を含めた社会保障費について,「現役世代の保険料負担の上昇を抑制するという点は,特に重視していく必要がある」との見解を示すとともに,予算編成に当たって5つの基本的な考え方を提示。①全世代型社会保障制度の構築,②費用負担の見える化推進と配分見直しの徹底,③医療・介護の担い手確保,④現役世代の保険料負担,⑤ DX の推進―を重点課題として検討する姿勢を示した。◆厚生労働省の榎本健太郎医政局長は,今年の通常国会で成立した全世代社会保障法(改正医療法)を踏まえ,▽かかりつけ医機能報告制度の創設▽医療機能情報提供制度の刷新―に向け,今秋にも議論を始める意向を示した。施行時期は,かかりつけ医機能報告制度の創設が2025年4月,医療機能情報提供制度の刷新が2024年4月となっている。―といった話題を中心に説明した。
10月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
麻薬免許の更新申請(令和5年12月31日まで有効の免許保持者)と受払数量届を府医事務局にて受け付けることを案内し,期限までの提出を依頼した。特に,免許が失効した場合,麻薬の取り扱いはもとより,在庫の所有についても麻薬および向精神薬取締法違反として厳重に罰せられることを説明し,申請忘れには十分留意するよう呼びかけた。
また,更新手続や麻薬の在庫の有無にかかわらず,数量届の提出は必須であるため,会員への周知徹底に協力を求めた。
京都医報9月15号(No.2253)にて周知のとおり,京都市の国民健康保険の糖尿病対策推進事業について,重症化するリスクが高い方を対象とした保健指導(糖尿病治療中ハイリスク者への保健指導)を令和元年度から4年度にかけて地区医ごとにモデル実施を進め,令和5年度から全市において展開していることを紹介。
事業対象者は,前年度のレセプトに糖尿病薬の使用歴があり,前年度の特定健診の結果が①尿蛋白(+)以上かつ②eGFR30ml/分/1.73m2 以上60ml/分/1.73m2未満(糖尿病性腎症の病期が概ね3期の方)で本人および主治医の同意が得られた方であることを説明した。
事業実施の流れとして,主治医において保健指導参加の適否をご判断いただくとともに,当該対象者が受診された際に保健指導への参加についてご説明いただくよう依頼した。
地区から,かかりつけ医機能向上のためには,異なる専門分野の医療機関同士で診療情報を共有することが必要になるが,それを後押しする診療報酬体系が実状に即しておらず,複数の診療科を受診している高齢者が多い中で,他の医療機関からの求めに応じて診療情報を提供した場合に,それに見合う診療報酬がないと指摘があった。また,連携強化診療情報提供料についても,かかりつけの医療機関と他の医療機関が互いに診療を継続する患者の情報交換を評価するものであるが,実際には制約があり,紹介後の診療情報のやりとりにおいて算定が難しいとの意見が出された。
府医からは,診療情報提供に係る診療報酬の算定要件等を説明した上で,医療機関同士の連携において診療情報の共有は重要との考えを示し,今後,府医としても診療情報提供に係る診療報酬のあり方について検討していきたいとした。
地区より,保険診療上でも地域包括診療の一環として,他の医療機関の処方内容が記載されたお薬手帳による服薬管理が推進されているものの,十分に普及しているとはいえない状況であるとして,お薬手帳の意義や普及に対する府医の考えについて質問が出された。
また,処方の重複がわかった際に,かかりつけ医としてどこまで立ち入るべきか判断が難しいとの意見があった。
府医は,他医療機関の処方内容も含めて,処方歴が確認できることが望ましいとし,オンライン資格確認システムによりマイナンバーカードで受診された患者については,本人が同意すれば処方歴を確認できるが,直近の情報とは限らないことや,電子処方箋の導入により直近の処方歴も確認できると説明されているものの,現在は院外処方の内容のみで,院内処方については対応時期が不明であることを挙げ,現在もお薬手帳が有効であるとの考えを示した。
重複処方には,保険者においても取組みが実施されていると述べ,医療機関の変更等により,一時的に処方が重複することも考えられることから,一律に不適切とは言えないとしつつ,一定期間重複し,患者に悪影響を及ぼすような場合には,対応が必要であると説明した。