今般,今夏までの新型コロナウイルス感染症の流行状況や医療提供体制の状況を踏まえ10月以降の新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえた施設基準等に関する臨時的な取り扱いが見直されましたのでご留意ください。 なお,5月8日の新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更にともなう施設基準等に関する臨時的な取り扱いは9月30日をもって廃止されました。
1.定数超過入院の取扱いについて
- 「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法について」(平成18年3月23日保医発第0323003号)の第1の2において,保険医療機関が同通知第1の1に規定する病床数を超過して入院させた場合,入院基本料を減額するものとされているところであるが,新型コロナウイルス感染症患者(新型コロナウイルス感染症と診断された患者(新型コロナウイルス感染症から回復した患者を除く。)をいう。以下同じ。)等を受け入れたことにより超過入院となった場合においては,当面の間,当該減額措置を適用しないものとすること。
- 「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第93号)第1項の規定により療養に要する費用の額の算定を行う病院(以下,「DPC 対象病院」という。)が同告示第4項第一号に規定する病床数を超過して入院させた場合においては,同告示第1項の規定による算定を行わないものとされているところであるが,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより超過入院となった場合においては,当面の間,同項の規定による算定を行うものとすること。
- (1)及び(2)により定数超過入院した際の入院料の算定については,以下のとおりとする。
- 原則 実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定する。
- 会議室等病棟以外に入院させる場合 速やかに入院すべき病棟へ入院させることを原則とするが,必要とされる診療が行われている場合に限り,当該医療機関が届出を行っている入院基本料のうち,当該患者が入院すべき病棟の入院基本料を算定する。 この場合,当該患者の状態に応じてどのような診療や看護が行われているか確認できるよう,具体的に診療録,看護記録等に記録すること。
- 医療法上,本来入院できない病棟に入院した場合又は診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者が入院した場合
- 入院基本料を算定する場合入院した病棟の入院基本料を算定する。ただし,結核病棟については,結核病棟入院基本料の注3の規定にかかわらず,入院基本料を算定する。
- 特定入院料を算定する場合医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により,算定する入院基本料を判断すること。
- (1)から(3)の取扱いについては,令和6年3月31 日をもって廃止する。
2.施設基準に係る特例について
- 令和5年10月1日以降も継続する施設基準に係る特例について
- 新型コロナウイルス感染症患者の受入れのために特定集中治療室管理料等と同等の人員配置として令和5年3月31日までに簡易な報告を行った病棟について,ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準における病床数の上限について,特例的に超えてもよいものとする。
- 対象医療機関等において,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより,特定入院料等の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院した場合(例えば回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した場合など),当該患者を除いて施設基準の要件を満たすか否を判断する。
- 再診料の注12地域包括診療加算及び地域包括診療料の施設基準に規定する慢性疾患の指導に係る適切な研修について,2年毎の届出が必要とされているが,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,当該研修が中止される等のやむを得ない事情により,研修に係る施設基準を満たせない場合,届出を辞退する必要はなく,引き続き算定可能である。当該特例については,令和7年4月5日に終了する。
- 平均在院日数等の一定期間の実績を求める要件及び手術の実績件数等の患者及び利用者の診療実績等に係る要件について,令和5年9月30日までの間に当該保険医療機関等が対象医療機関等※であった月が含まれる場合は,当該期間については,以下ア又はイにより算出できることとする。
ア.対象医療機関等に該当する期間については,実績を求める対象とする期間から控除した上で,控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める対象とする期間とする。
- 令和5年4月から6月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療 機関における,当該年の11 月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
○:通常の取扱いのとおり,実績を求める対象とする月★:対象医療機関等に該当するため,実績を求める対象としない月●:実績期間から控除した月(★)の代用として,実績を求める対象とする月
イ.対象医療機関等に該当する期間については,当該期間の実績値の代わりに,実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用いる。
- 令和5年8月から10月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関における,当該年の11月時点での「直近3か月の実績」を求める対象とする期間
○:通常の取扱いのとおり,実績を求める対象とする月■:対象医療機関等に該当するため,○の平均値を代用する月
- 令和5年10月以降は,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関等であっても,通常の取扱いが必要であり,実績を求める対象とする期間から控除できない。
- 令和5年5月から10月までの間に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関における,当該年の11月時点での「直近1年間の実績」を求める対象とする期間
○:通常の取扱いのとおり,実績を求める対象とする月■:対象医療機関等に該当するため,○の平均値を代用する月
- 令和5年10月以降は新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関等であっても,通常の取扱いが必要であり,実績を求める対象とする期間から控除できない。
- 対象医療機関等とは次のⅰからⅲのいずれかの要件を満たす保険医療機関及び訪問看護ステーションを指す。
- 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた保険医療機関等
- ⅰに該当する保険医療機関等に職員を派遣した保険医療機関等(市町村等の要請により新型コロナワクチン対応を行った保険医療機関を含む。)
- 新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができない職員が在籍する保険医療機関等
- ⅰ~ⅲに該当する保険医療機関等については,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病棟,他の保険医療機関等に職員を派遣した病棟及び感染し出勤できない職員が在籍する病棟だけではなく,それ以外の病棟においても,同様の取扱いとする。なお,ⅰ~ⅲに該当する期間については,当該期間を含む月単位で取り扱うこととする。
- 「DPC制度への参加等の手続きについて」(令和4年3月25日保医発0325第4号)の第1の1(2)④に規定する(データ/病床)比について,「対象医療機関等に該当する期間を,実績を求める期間から控除した上で,控除した期間と同等の期間を遡及して実績を求める期間とすることにより算出した場合」,「対象医療機関等に該当する期間の実績値の代わりに,実績を求める対象とする期間から対象医療機関等に該当する期間を除いた期間の平均値を用いて算出した場合」及び「通常と同様の取扱いをした場合」を比較して最も高い値を用いる。なお,DPC対象病院の機能評価係数Ⅱにおける診療実績に基づく指数(効率性指数,複雑性指数,カバー率指数,救急医療指数,地域医療指数)の取扱いについては,別途示す予定である。
(2)令和5年12月31日まで終了時期を延長する施設基準に係る特例について
以下の特例については,旧事務連絡において令和5年9月30日で終了することとしていたところ,今夏の新型コロナウイルス感染症の流行時において新型コロナウイルス感染症に感染し職員が出勤できなくなった状況等を踏まえ,また,医療機関の現状を把握し必要な見直しを行えるよう,該当する場合に各地方厚生(支)局への報告を求めることとした上で,令和5年12月31日まで延長する。
- 月平均夜勤時間数等に1割以上の変動があった場合の取扱いについて
- 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は保険医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足し,入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる保険医療機関については,「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第2号。以下,「基本診療料の施設基準通知」という。)の第3の1(1)の規定にかかわらず,月平均夜勤時間数については,1割以上の一時的な変動があった場合においても,報告の対象となった最初の月※から3か月を超えない期間に限り変更の届出を行わなくてもよいものとすること。
- 10月の実績に1割以上の変動があった場合,「報告の対象となった最初の月」は10月,「報告の対象となった最初の月から3か月」とは10月から12月の期間を指す。
- 新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は保険医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足した保険医療機関については,基本診療料の施設基準通知の第3の1(3)及び(4)の規定にかかわらず,1日当たり勤務する看護師及び准看護師又は看護補助者(以下「看護要員という。」の数,看護要員の数と入院患者の比率並びに看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率については,1割以上の一時的な変動があった場合及び暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動があった場合においても,報告の対象となった最初の月※2から3か月を超えない期間に限り変更の届出を行わなくてもよいものとすること。
- 10月の実績に1割以上の変動があった場合又は10月及び11月の実績に1割以内の変動があった場合,「報告の対象となった最初の月」は10月,「報告の対象となった最初の月から3か月」とは10月から12月の期間を指す。
- アとイと同様の場合,DPC対象病院について,「DPC 制度への参加等の手続きについて」(令和4年3月25日保医発0325第4号)の第1の4(2)②に規定する「DPC対象病院の基準を満たさなくなった場合」としての届出を行わなくてもよいものとすること。
- アからウの届出を行わなくてもよいこととされた保険医療機関においては,新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことにより入院患者が一時的に急増等したこと又は保険医療機関に勤務する職員が新型コロナウイルス感染症に感染し出勤ができないことにより職員が一時的に不足したことを別紙様式1に記載し,各地方厚生(支)局に報告すること。
- ア及びイの場合においても,看護要員の労働時間が適切であることが求められることは当然のことであり,例えば,非常勤職員を新たに採用するなど,看護要員の過重労働の防止に配慮すべきである。
- 月平均夜勤時間数については,同一入院基本料を算定する病棟全体で算出することとされているが,新型コロナウイルス感染症患者の受入れのために月の途中から病床数又は病棟数を変更した場合,診療報酬上の評価のための当該月における月平均夜勤時間数を算出することは困難であること,また,令和5年12月31日までの間は月平均夜勤時間数について1割以上の一時的な変動があった場合においても,変更の届出を行わなくてもよいとされていることから,勤務状況等について十分に把握するとともに,勤務実績に係る記録を保管しておくことで差し支えない。
(3)令和5年9月30日をもって終了する施設基準に係る特例について
以下の特例については,旧事務連絡でお示していたとおり,令和5年9月30日をもって終了する。
- 対象医療機関等に該当する場合は,平均在院日数等の一定期間の実績を求める要件及び手術の実績件数等の患者及び利用者の診療実績等に係る要件について,基本診療料の施設基準等通知,「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第3号。以下「特掲診療料の施設基準通知」)及び「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第4号)(以下,「施設基準通知等」という。)における当該要件を満たさなくなった場合においても,直ちに施設基準及び届出基準の変更の届出を行わなくてもよいものとする。
- 歯科点数表の初診料の注1の施設基準に規定する院内感染防止対策に係る研修について,4年以内の受講が必要とされているが,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,当該研修が中止される等のやむを得ない事情により,研修に係る施設基準を満たせない場合,届出を辞退する必要はなく,引き続き算定可能である。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料注4イの体制強化加算1について,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたこと等により,専従医師に係る要件を満たさなくなった場合,直ちに辞退の届出を行う必要はない。ただし,要件を満たしていない間,体制強化加算1の算定はできない。
- 看護職員夜間配置加算,病棟薬剤業務実施加算等については,算定する保険医療機関の各病棟において配置要件を満たすことが求められているが,新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等により休棟になる病棟については,配置要件を満たす必要はない。なお,病棟薬剤業務実施加算における病棟薬剤業務の実施時間の要件についても同様である。
- 病棟薬剤業務実施加算の施設基準において,病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1か月の実施時間が合算して1週間につき20時間相当に満たない病棟があってはならないこととされているが,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため病棟での滞在時間を制限している場合等により施設基準を満たさなくなった場合については,直ちに変更の届出を行う必要はない。
3.特例により届出を行わなかった対象医療機関等における報告について
令和5年9月30日までの間に対象医療機関等であった医療機関が,当該期間に施設基準等を満たさなくなり,旧事務連絡の特例により届出を行っていなかった場合においては,令和5年10月における入院基本料及び特定入院料の施設基準に関する状況について自己点検を行い,令和5年11月17日までに各地方厚生(支)局へ別紙様式2により当該点検結果を報告すること。なお,令和5年4月1日以降に新たに施設基準を届け出た又は施設基準の変更を行った保険医療機関等,施設基準通知等において毎年7月に報告を求めている施設基準であって,7月の報告において施設基準を満たしていた保険医療機関等については届出を省略して差し支えない。 また,当該報告において,施設基準を満たしていない保険医療機関等については,速やかに変更の届出を行うこと。
4.令和5年9月30日をもって終了するその他の特例について
- 新型コロナウイルスの感染が疑われる患者が「受診・相談センター」等において,複数の医療機関の案内を受け,その中から患者自身が200床以上の病院であって,外来対応医療機関である医療機関を選択した場合,初診時の選定療養費の支払いを求めないことができる,「その他,保険医療機関が当該保険医療機関を直接受診する必要性を特に認めた患者」に該当する。なお,初診時の選定療養費の支払いを求める外来対応医療機関については,自治体のホームページにその旨公表すること。
- 新型コロナウイルスの感染が疑われる患者について,都道府県等が設置する「受診・相談センター」等の案内によらず,患者自身が自治体のホームページを閲覧するなどして,200床以上の病院であって,外来対応医療機関である医療機関を受診した場合,初診時の選定療養費の支払いを求めないことができる,「その他,保険医療機関が当該保険医療機関を直接受診する必要性を特に認めた患者」に該当する。なお,初診時の選定療養費の支払いを求める外来対応医療機関については,自治体のホームページにその旨公表すること。
- 臨時の医療施設開設の取扱いについて「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第2号)の第2の7において,各月の末月までに基本診療料の施設基準の要件審査を終え,届出を受理した場合の取扱いに係り,月の最初の開庁日に要件審査を終えた場合を除き,翌月の1日から当該届出に係る診療報酬を算定するとされているところである。新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れるために緊急に開設する必要がある保険医療機関について,新たに基本診療料の届出を行う場合においては,この規定にかかわらず,当分の間,要件審査を終えた月の診療分についても当該基本診療料を算定できることとする。
5.令和4年度診療報酬改定関連通知の一部訂正について
2.(2)のとおり施設基準に関する特例が廃止されることに伴い,「基本診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日保医発0304第2号)別紙7別表2について改正する。改正後の別紙7別表2については,別途通知によりお示しする予定である。
別紙様式1
入院基本料及び特定入院料の施設基準に関する状況について
自己点検結果
別紙様式2
[記載上の注意]
1今回の報告に係る病棟に関しては左端の欄に○を記入すること。
2病棟数及び病床数については、報告の対象となる病棟数及び病床数について記載すること。
3「届出区分」の欄は、下表の例により記載すること。
4特定入院料の区分は下表の例により記載すること。(斜線の入院料は記載不要です。)
5「検証結果」は、別表を参考に各入院基本料等の令和5年10月における施設基準要件の充足状況を確認し、充足している場合は○を記入すること。
別表(各入院料の施設基準要件等)
別表(各入院料の施設基準要件等)