令和5年度 産業医部会総会

8カ所の地区医(サテライト会場)へ中継

 令和5年度府医産業医部会総会が3月2日(土),府医会館と8カ所のサテライト会場(西京医師会,東山医師会,伏見医師会,相楽医師会,福知山医師会,舞鶴医師会,与謝医師会,北丹医師会)で開催された。総会には,府医師会館109名,各サテライト会場から計69名の合計178名が出席した。

松井 府医会長

 開会にあたり,府医産業医部会長の松井府医会長から挨拶。昨今,産業保健では病気の治療や介護,子育てと働くことの両立支援が重要視されているが,今年度から施行されている循環器病対策推進基本計画を踏まえ,新たに脳卒中後支援が加わるため,メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援など多くのことを学ばないといけない状況であるとし,府医としても産業医研修会などを実施することにより産業医の資質向上とともに社会的評価や地位の向上に努めていきたいとの意向が述べられた。

座長 古木 幹事長
司会 中野 副幹事長

 続いて,赤松京都労働局長の代理として岸労働基準部長から祝辞をいただいた。
 「令和5年度産業医部会事業報告」では,森口府医産業保健担当理事から今年度の産業医部会幹事会,正副幹事長会,産業保健委員会の活動および研修会の開催実績について報告。
 続けて,「産業医の勧告について 日本産業衛生学会政策法制度委員会答申を参考に」と題した講演を行い,平成31年度の法改正,日本産業衛生学会政策法制度委員会答申,産業医の勧告について説明がなされた。

森口 府医理事
京都労働局健康安全課
高木 課長

 その後,講演「労働安全衛生行政の動向と課題」では,京都労働局健康安全課・高木課長から,第14次労働災害防止(推進)計画の概要と安全衛生を取り巻く現状の報告とともに,労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害および高年齢労働者の労働災害の防止対策推進と労働者の健康確保対策の推進,化学物質等による健康障害防止対策の推進について説明がなされた。

産業医科大学
堀江正知 副学長

 特別講演では,産業医科大学の堀江正知副学長に「わが国における産業保健活動の課題と未来展望」と題し講演いただいた。産業保健の歴史について,明治大正期から高度経済成長期までの経過を解説。産業保健の現状として,労働災害は労働安全法の施行により著明に減少したが,死傷者数が近年横ばいであり,保健衛生業では腰痛が増加していることを説明した。労働者の健康管理において大切な3つの視点として健康診断,過重労働対策,ストレスチェックを挙げた上で,小規模事業場では健康診断を実施していない場合があることを問題視した。また,健康診断の有所見率が上昇している理由としては,検査項目の追加,臨床ガイドラインの改訂,高年齢労働者の増加にあるとの見解が示された。最後に,産業保健の今後の展望として,リスクアセスメントや法令が複雑化してきている現状を踏まえ,体系的な整理が必要と提言をいただき,講演が締めくくられた。

2024年4月15日号TOP