地区だより 舞鶴医師会

会長  隅山 充樹

 舞鶴は京都から北へ約100km離れた港町です。今でこそ京都縦貫自動車道路と舞鶴若狭自動車道を利用すれば1時間ちょっとで繋がっていますが、以前は9号線を須知から27号線へ入り、綾部を経て舞鶴まで2時間以上のドライブでした。また、戦時中は軍港として栄え10万人近い人口があり、戦後は10万人都市を目指し、日立造船所、日本板硝子などの企業、国、府の出先官庁も所在するなど、街に活気がありましたが、近年では造船業の不況、また企業誘致で舞鶴に工場を持っていた資生堂、キリンビバレッジなど大手会社は撤退してしまいました。現在人口は約7万6,000人で、今後はさらに減少すると言われています。しかし今、赤レンガと海上自衛隊の町として観光客が増えて来ております。毎週末には、東舞鶴港の自衛隊桟橋に市外からカメラを持ったファンが集まり、赤レンガパークでは艦隊コレクションなるイベントが定期的に開催されるなど若い男女で賑わっております。また、西舞鶴港では新型コロナ感染症も第5類対応となりクルーズ船寄港も増加し、自国の国旗を掲げた大型船が海上保安庁の船と並んで停泊している様は、東舞鶴地区赤煉瓦倉庫群とともに異国情緒を漂わせます。舞鶴港のもう一面としては、東舞鶴港に海上自衛隊、西舞鶴港には海上保安庁の船が停泊する日本海防衛の拠点となっております。さらに2年前からはプレイバック・フェス舞鶴(音楽フェス)が開催され、各地から多くの若者が集まってきました。今年は布袋寅泰、AIさんの参加で盛り上がりました。来年は誰が来てくれるのか楽しみにしております。向こう3年間は開催を予定されておりますので良かったら賑やかしに来鶴ください。
 話は変わって医療現場のことですが、舞鶴には公的病院が4つ存在しております。これは日本海軍の名残で深い歴史の話になりますので止めておきます。現在、舞鶴市の医師数は人口比で換算すると十分なのですが、問題は医師の偏在です。ある病院には産婦人科は充実しているが小児科が無い、消化器外科はあるが消化器内科は無い、脳外科はあるが整形外科が無いといった具合で、この状況に困っているのは救急隊です。現在4病院がそれぞれの診療科に特化した病院経営を行っております。これをできるだけ総合病院の形にして救急搬送の効率化を図りたいのですが中々難しい様相です。今、舞鶴市長主幹で持続可能な地域医療を守るための「医療機能最適化検討会議」と銘打って、各病院長、京都府立医大北部キャンパス長、そして医師会長で話し合いを継続中であります。このような問題は郡部医療においては何処も同じような課題を抱えておられると思いますが、この舞鶴の場合は非常に特殊なケースでありコンサルタント会社も大変厳しい困難な状況であるのは確かであると苦慮しております。今後は開業医も高齢化と継承者の問題でその数は減少するでしょう。そうなると在宅医療の問題をどうしていくかなど課題は多いと考えております。我々医師会としましてはこの地域で完結できる医療体制を構築するために必要なことを議論し、行政への協力と働きかけを続けて行く所存であります。

一般社団法人 舞鶴医師会
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舞鶴市倉谷 1350-11
TEL:0773-76-0900 FAX:0773-78-5980
H P:http://maizuru-ishikai.jp/
e-mail:ishikai@mxa.nkansai.ne.jp
会 長:隅山 充樹
会員数:115 人(2024.11.1現在)

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