2024年2月1日号
1月15日号本紙にて既報のとおり,2024年度から,法令に基づき,レセプトの請求方法の取り扱いが変わります。書面および光ディスク等による請求を継続する場合には,あらためて届出書の提出が必要になりますが,今般,書面および光ディスク等による請求を継続するための届出に関する留意事項が示されましたので,お知らせします。書面による請求の場合(→以下のスライド参照)
令和6年3月まで,レセプトコンピュータを使用していないことや,電子請求の義務化の時点で常勤の保険医の年齢が65歳以上であることで,書面による請求を行ってきた医療機関については,あらかじめ,審査支払機関に対して,書面による請求が認められることとなった当初の要件に合致している旨,「書面による請求に係る猶予届出書(様式第2号)」(→このページ末尾)により届出を行った場合,引続き,書面による請求を行うことが可能となります。必要な記載を行った上で,社会保険診療報酬支払基金本部および国民健康保険団体連合会のいずれに対しても,令和6年2月29日までに提出をお願いします。光ディスク等による請求の場合(→以下のスライド参照)
また,令和6年9月まで光ディスク等を用いた請求を行ってきた医療機関のうち,令和6年10月以降も光ディスク等を用いた請求を継続する施設については,あらかじめ,審査支払機関に対して,「光ディスク等を用いた請求に係る猶予届出書兼オンライン請求への移行計画書(様式第1号)」(→このページ末尾)を提出することで,光ディスク等による請求を継続することが可能となります。
当該届出は,1年ごとの更新制であり,再度,届出および移行計画書を提出することで,光ディスク等による請求が継続可能となります。レセコン等の改修・調達にかかる対応予定期日(年月)やネットワークの整備状況に係る対応予定期日(年月)の記載は,予定期日が不明な場合であっても,おおよその期日を記載ください。
令和6年10月以降も光ディスク等を用いた請求を継続する場合は,同年8月31日までに,届出書および移行計画書(様式第1号)(→このページ末尾)を,医療機関等向け総合ポータルサイトに開設するフォーム(令和6年4月ごろ開設予定)から提出いただくこととなります。(やむを得ない事情の場合には,紙媒体での届出も可能です。(支払基金本部および国保連のいずれにも届出が必要。))
第1 趣旨
医療機関・薬局が行う療養の給付費等の請求については,電子情報処理組織の使用による請求(以下「オンライン請求」という。)又は光ディスク等を用いた請求(以下「電子請求」と総称する。)により行うこととされ,レセプトコンピュータを使用していない医療機関・薬局及び医療機関である診療所・保険薬局のうち電子請求の義務化時点において常勤の保険医・保険薬剤師の年齢が65歳以上であるものであってその旨を期日までに届け出たものは,書面による請求を行うことができるとされている。
一方で,オンライン請求については,審査支払機関の事前チェックにより,不備のあるレセプトデータを修正の上,当月中に請求することが可能であるほか,レセプトの搬送に伴う紛失等のリスクを回避できることやより効果的・効率的な審査等を実現できることなど医療保険制度全体に対するメリットがある。療養の給付費等の請求については,こうしたメリットを踏まえ,令和5年3月23日社会保障審議会医療保険部会において「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ」が取りまとめられたところであり,請求命令について,必要な改正を行ったものである。
第2 請求方法の見直しに係る内容等
1 オンライン請求の推進
令和6年4月1日以降は,医療機関・薬局が行う療養の給付費等の請求は,オンライン請求により行うものとするとされる(請求命令第1条)。
そのため,同日以降,新たに光ディスク等を用いた請求や書面による請求を開始することはできず,新規に医療機関・薬局として指定される施設は,初月の診療・調剤分からオンライン請求を行うことができるよう,体制整備を進める必要がある。
また,令和6年3月まで光ディスク等を用いた請求や書面による請求を行ってきた医療機関・薬局についての取扱いは,以下のとおりであるが,これらの医療機関・薬局においても,オンライン請求のメリットを踏まえ,オンライン請求へ移行いただきたい。
オンライン請求の開始に当たっては,4(3)の厚生労働省のホームページに掲載した周知広報資料等を参照するほか,システム事業者に相談しながら対応いただきたい。
なお,オンライン請求を行う医療機関・薬局による返戻再請求については,「電子情報処理組織等を用いた費用の請求等に関する取扱いについて」(令和5年1月23日保連発0123第1号)において示したとおり,令和5年4月以降,原則としてオンラインにより行うものとしており,令和6年9月末には,これらの施設に対する紙媒体での返戻レセプトの送付を廃止することとしている。そのため,オンライン請求の開始に当たっては,併せて返戻再請求についてもオンラインで行うことができるよう,レセプトコンピュータのシステム事業者に必要な確認を行っていただきたい。
また,オンライン請求を行う医療機関・薬局に送付している増減点関連通知及び支払関連帳票等の諸書類については,電子化を進めており,順次,オンライン請求システムの「各種帳票等」のページからダウンロードできるよう対応を行っているが,令和6年9月末には,オンライン請求を行う医療機関・薬局へのこれら諸書類(※)の紙媒体での送付も廃止することとするため,併せて対応いただきたい。
2 光ディスク等を用いた請求
光ディスク等を用いた請求を行っている医療機関・薬局については,令和5年4月からオンライン資格確認の導入が原則義務化されたため,オンライン請求も可能な回線が敷設された状況にある。こうした機会を捉え,以下の取扱いにより,令和6年9月末までに,原則としてオンライン請求に移行することを促す。
(1)令和6年4月以降
令和6年3月まで光ディスク等を用いた請求を行ってきた医療機関・薬局については,オンライン請求への移行期間として,特段の届出を行うことなく,4月以降も光ディスク等を用いた請求を継続することができる(請求命令附則第3条の2第1項)。
こうした施設については,令和6年9月末までに,オンライン請求への移行を進めていただき,オンライン資格確認を導入した全ての医療機関・薬局がオンライン請求に移行することを目指す。
(2)令和6年10月以降
(1)により令和6年9月まで光ディスク等を用いた請求を行ってきた医療機関・薬局のうち,令和6年10月以降も光ディスク等を用いた請求を継続しようとする施設は,あらかじめ,審査支払機関に対して,その旨の届出及びオンライン請求への移行計画書を提出するものとする(請求命令附則第3条の2第2項)。
医療機関・薬局は,最大1年間の内容として移行計画書を定める必要があり,そこに記載した期間に限り,光ディスク等を用いた請求を継続することができるが(同条第3項),当該届出は1年更新制であり,計画期間が経過する時点において尚も継続する事情がある場合には,改めて,届出及び移行計画書の提出を行うことで,光ディスク等を用いた請求を継続することができる(同条第2項・第3項)。
届出書及び移行計画書の様式は,別添2(様式第1号)のとおりであり,医療機関等向け総合ポータルサイトに開設するフォーム(令和6年4月頃開設予定)から提出するものとする(※)。
令和6年10月以降も光ディスク等を用いた請求を継続する場合には,同年8月31日までに提出すること。
3 書面による請求
(1)又は(2)の類型により,令和6年3月まで書面による請求を行ってきた医療機関・薬局については,あらかじめ,審査支払機関に対して,書面による請求が認められることとなった当初の要件に合致している旨の届出を行った場合に,引き続き,書面による請求を行うことができる。届出の要件及び留意事項は以下のとおりである。
(1)レセプトコンピュータを使用していない医療機関・薬局
【要件】
レセプトコンピュータを使用していないこと(請求命令附則第3条の4第1項)
【留意事項】
医療機関・薬局は,オンライン請求への移行に努めるものとする(同条第2項)。
(2)医療機関である診療所・保険薬局のうち電子請求の義務化時点において常勤の保険医・
保険薬剤師の年齢が65歳以上であるものであってその旨を期日までに届け出たもの
【要件】
下表の左欄の医療機関・薬局において診療又は調剤に従事する全ての常勤の保険医又は保険薬剤師の生年月日が,それぞれ右欄の日以前であること(同令附則第3条の5第1項)
【留意事項】
医療機関・薬局において新たに診療又は調剤に従事する常勤の保険医・保険薬剤師の生年月日がそれぞれ表の右欄の日より後であるときは,当該医療機関・薬局は,遅滞なく審査支払機関に届け出なければならないものとする(同条第2項)。
届出を行った医療機関・薬局は,当該届出の日の属する月及びその翌月に限り,書面による請求を行うことができるものとする(同条第3項)。
その後は,オンライン請求へ移行することとなるため,当該届出を行った月の20日までにオンライン請求利用申請を行うこと。
なお,「常勤」の定義については,別添1のとおりである。
届出書の様式は,別添3(様式第2号)のとおりであり,必要な記載を行った上で,社会保険診療報酬支払基金本部(※1)及び国民健康保険団体連合会(※2)のいずれに対しても提出するものとする。
令和6年4月以降も書面による請求を継続する場合には,同年2月29 日までに提出すること。
(※1)〒105-0004 東京都港区新橋2丁目1番3号
社会保険診療報酬支払基金 事業統括部事業サポート課 行
(※2)〒600-8411京都市下京区烏丸通四条下る水銀屋町620番地COCON烏丸内京都府国民健康保険団体連合会 行 ※なお,封筒の表面には,赤字で「猶予届出書在中(紙レセ)」と記載すること。
4 その他
(1)請求命令附則第4条第5項の改正
請求命令附則第4条第5項の取扱いについては,今般の改正に伴う所要の見直しを行い,オンライン請求を行うことが困難な事情として,次のア~オまでに掲げる事情に該当することが個別に認められる医療機関・薬局については,あらかじめ,審査支払機関に対して,その旨を届け出ることにより,光ディスク等を用いた請求又は書面による請求を行うことができるものとする。
届出書の様式は,別添4(様式第3号)のとおりであり,必要な記載を行った上で,都道府県の社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会のいずれに対しても提出するものとする。
なお,ア~オまでの取扱いの詳細は別添1のとおりであり,オの「特に困難な事情」の範囲等について疑義が生じた場合には,審査支払機関を通じて厚生労働省保険局医療介護連携政策課保険データ企画室に照会するものとする。
(2)届出等の確認
本通知に基づく届出及び移行計画書の記載事項等に不備がある場合には,有効な届出とは取り扱われず,補正の求め等を行う場合があること。また,仮に,有効な届出がなされないまま,令和6年4月以降も書面による請求がなされ,又は令和6年10月以降も光ディスク等を用いた請求がなされている場合には,審査支払機関より,オンライン請求への移行を促す連絡や速やかに届出を行うことを求める連絡をする場合があり,そうした連絡を行ってもなお依然として対応がみられない医療機関・薬局については,時期を定めて,光ディスク等を用いた請求や書面による請求を返戻する場合があること。
(3)オンライン請求への更なる移行に向けて
厚生労働省においては,オンライン請求への移行を促進するための周知広報資料等を作成しており,移行の検討に当たって参考にされたい。
また,診療報酬の請求に関連して,現在,政府において,診療報酬改定DXの取組を進めているところであり,例えば,診療報酬の算定と患者の窓口負担金計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラムである「共通算定モジュール」については,開発を進め,モデル事業を実施した上で,令和8年度において本格的に提供することを予定している。「共通算定モジュール」は,オンライン資格確認用のネットワークを活用して提供することを検討しており,当該ネットワークを敷設した場合にはオンライン請求も可能となることも踏まえつつ,2又は3の取扱いにより光ディスク等を用いた請求や書面による請求を行う医療機関・薬局についても,引き続きオンライン請求への移行を検討いただきたい。(参考)周知広報資料等を掲載している厚生労働省のホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190624_00001.html
(別添1)
平成21 年通知のうち引き続き参照する取扱いに関する規定
第2 改正の内容
1 改正省令の内容
⑶常勤の医師・歯科医師・薬剤師が皆高齢の診療所・薬局の特例
⑤ 「常勤」の定義
第6条第1項の「常勤」とは,原則として医療機関等において定めた医師・歯科医師又は薬剤師の勤務時間の全てを勤務し,かつ医療機関等において定める1週間の勤務時間が,32時間以上の者の就業形態を指すこと。
⑸個別の事情によりオンライン又は電子媒体による請求ができない場合の特例
①届出事由及び届出を行った場合に受けられる特例措置の範囲
(…)また,本届出は,特例措置を受けようとする療養の給付費等の請求期限(同一の事情について,数ヶ月にわたって特例措置を受けようとする場合は,最初に特例措置を受けようとする月の請求期限)の一ヶ月前までに行うことを原則とし,特例措置を受けている間に既に届け出ている事項に変更があった場合は,あらためて届出を行うこと。
②例外的に認められる届出
医療機関等は,①のイ,ロ又はホに該当する旨の届出を行うに当たり,当該届出をあらかじめ行えないことについてやむを得ない事情がある場合には,(…)以下の点に留意すること。 イ 提出する資料には「やむを得ない事情」を明らかにする資料を必ず含め,その他必要に応じて参考資料を添付すること。