「コロナワクチンの今後」,「コロナ関連補助金」について議論

 東山医師会と府医執行部との懇談会が12 月8日(金),ウェスティン都ホテル京都で開催され,東山医師会から11 名,府医から8名が出席。「コロナワクチンの今後」,「コロナ関連補助金」をテーマに議論が行われた。

〈注:この記事の内容は令和5年12 月8日現在のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。〉

コロナワクチンの今後について

~特例臨時接種は令和5年度末で終了~
 令和5年度の接種は,感染症の疫学的状況およびワクチンの効果等に十分なデータが得られていない部分があることから,特例臨時接種が継続となったが,令和6年度以降は,新型コロナウイルス感染症の「まん延予防上緊急の必要がある」と認められる状況にはないと考えられるため,特例臨時接種は令和5年度末で終了となる。

~インフルエンザワクチンと同等の扱いを検討~
 個人の重症化予防により重症者を減らすことを目的として,新型コロナウイルス感染症を予防接種法のB類疾病に位置付けた上で,法に基づく定期接種として実施されることが検討されている。
 令和6年度以降に想定される定期接種の対象者は,新型コロナウイルス感染症による死亡の疾病負荷の大部分が65 歳以上の高齢者となっていることや,入院患者において高齢に比べ基礎疾患の死亡との関連性が比較的弱いことを踏まえ,65歳以上の高齢者としつつ,60 歳から64 歳までについては,一定の基礎疾患を有する者の重症化リスクを考慮し,重症化予防を目的とした接種を行うインフルエンザワクチン等における接種対象者と同様になる。
 また,接種時期については,ワクチンの重症化予防効果が1年以上一定程度持続することやワクチン費用対効果を考慮し,年1回接種を秋冬に行うと見込まれている。
 なお,令和6年度以降の新型コロナワクチンは,他のワクチンと同様に一般流通が行われる予定である。

コロナ関連補助金について

~コロナ関連補助金の現状~
 感染症法の位置づけが5類へ移行されたことにともない,コロナ対応は「有事」から「平時」の対応に大きく転換されたが,季節性インフルエンザの流行状況も予断を許さず,感染拡大時に医療ひっ迫や死者の急増を招くことのないよう,引続き慎重な舵取りが必要と考えている。
 医療提供体制については,限られた医療機関による特別な対応から,幅広い医療機関による通常対応へ移行された。京都府において重要な役割を果たしていた「入院医療コントロールセンター」は,5類移行後は「京都府入院支援センター」という名称に変更され,地域の医療機関のご尽力により,コロナ患者の入院調整も医療機関間の連携により行われるようになったことから,その役割を終えつつある。
 「コロナ関連補助金」についても同様で,外来対応医療機関確保事業として設けられてた「京都府新型コロナウイルス感染症対策設備整備費補助金」は,上半期は70~80件ほどの申請であったが,10 月以降,本日までの下半期については1ケタ台の申請で10 件に満たない状況とのことであり,今後の補助事業の継続はあまり期待できないと考えられる。

~新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的取り扱い~
 コロナ患者(疑い患者も含む)に対応されている医療機関への診療報酬上の取り扱いについては,10 月に見直しが行われた。京都府のホームページで公表されている医療機関であって,かかりつけの患者以外にも幅広く受け入れている医療機関は147 点,京都府のホームページで公表していない,もしくはかかりつけ患者のみに限定している医療機関は50 点が算定可能である。そのほか,コロナ患者を往診,訪問診療した場合や入院調整した場合の特例の点数などがあるが,これらの取り扱いは令和6年3月末までとされている。

~京都府感染症予防計画策定へ~
 今後の新興感染症を含めた感染症対応については,京都府が設置する感染症対策連携協議会において,京都府感染症予防計画の策定が進められており,先般,中間案が示された。
 この協議会には,府医からは禹府医副会長が参画し,計画に定められる「医療提供体制」,「物資の確保」,「検査体制」,「宿泊療養」,「人材の養成・資質向上」,「保健所の体制整備」といった各項目について,コロナ対応での経験を踏まえた意見を具申しているところである。
 感染症予防計画はこれからパブリックコメントと議会報告を経て,年度内には策定され,厚労省への報告とともに公表されることになる。また,2024 年9月までに,都道府県が新興感染症等発生時の対応を行う医療機関等との協定について,順次,締結に向けた協議を進めるスケジュールが示されているが,協定の内容等,詳細についてはまだまだ不透明である。
 地区医の先生方からの現場の意見を反映し,適切な対応が取られるよう,京都府・京都市に働きかけていくつもりである。

その他

 地区から医療DX の今後の見通しについて質問が出された。
 府医からは,オンライン資格確認システムは,政府が「骨太の方針」の中で示した医療DX 推進の一環である「全国医療情報プラットフォーム」の基盤として位置づけられており,オンライン資格確認をはじめとする「医療DX」は逆らえない時代の流れではあるものの,オンライン資格確認システム導入の原則義務化,令和6年の秋の保険証廃止(マイナ保険証義務化)という性急なスケジュールによる強引な進め方には日医も否定的な姿勢を示していることを説明。
 導入メリットや,導入・維持に係る医療機関のコストに対する手当も非常に乏しいと言わざるを得ないとして,医療提供に混乱・支障が生じては本末転倒であって,府医としては日医を通して,取り残される医療機関が無いよう働きかけを続けていく考えを示した。

2024年2月1日号TOP