2024年7月15日号
設問 1 慢性腎臓病を有する2型糖尿病の方に,経口血糖降下薬を処方する場合は,SGLT2 阻害薬が最優先か?
解答 1 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム1)から,薬物選択には,①病態に応じた薬物選択,②安全性への配慮,③ Additional benefits を考慮するべき併存疾患,④考慮すべき患者背景を検討した上での薬剤選択が推奨されている。
心不全や心血管疾患と同様に慢性腎臓病に対しても Additional benefits がある SGLT2阻害薬は,慢性腎臓病を有する2型糖尿病の方に検討される薬剤であり,肥満 / 非肥満のいずれの病態でも SGLT2 阻害薬は有用性があると考えられる。
一方で,非肥満におけるやせの場合には体重減少への注意が必要であり,さらに④考慮すべき患者背景において,コストや服薬継続率に関与する頻尿や尿路感染症のリスクやコストといった十分に考える必要がある背景も存在するため,それぞれのリスクベネフィットを検討した上で,SGLT2 阻害薬を選択,その腎保護を期待することが望ましい。
1)糖尿病 66(10):715 ~ 733,2023
設問 2 下記症例の場合,糖尿病の治療強化として,どのような薬剤を選ぶか?
55歳 男性 HbA1c7.5%
併存疾患:喫煙歴,高血圧症,脂質異常症(LDL-C98mg/dl)
シタグリプチン50mg,テルミサルタン40mg,ピタバスタチン1mg
身長166cm,体重62.0mg,BMI22.4kg/m2,血圧120/64mmHg
糖尿病合併症 神経障害なし,網膜症なし,腎症1期(eGFR70,UACR26)
併存疾患:脂質異常症(LDL-C98mg/dl),高血圧症,陳旧性脳梗塞,高血圧性心疾患/心不全,脂肪肝/NASH,GERD,Long term eGFR plot(LTEP)-6ml/min/1.72m2/年
解答 2 目標 HbA1c を7%未満や正常化と考えた場合,経口血糖降下薬の追加も検討。肥満に加え,腎機能の低下や心不全の既往,さらには脂質や血圧への影響を考えると,安全性や服薬継続などに懸念点がなければ,SGLT2阻害薬が有用な可能性がある。
日本消化器病学会・日本肝臓学会NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)では,NAFLDに対しチアゾリジン薬の投与推奨やSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の投与提案がなされており,脂肪肝やNASHを有するこの症例でもSGLT2阻害薬を検討する材料の一つになると考えられる。
設問 1 心不全指標としてBNP,NT-proBNPは,いくらなら心不全の可能性が高いと考えるべきか?
解答 1 100 ≤ BNP
300≤NT-proBNP
心不全である可能性が高く心エコー図検査を含む心機能評価を早期に実施し,原因検索が必要である。
解説 1 詳細は下記参照。
血中 BNP やNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版
https://www.asas.or.jp/jhfs/topics/bnp20231017.html
設問 2 慢性腎臓病(CKD)の治療とリスク修正への全体的な(Holistic)アプローチにおいて生活習慣で重要な4点は何か?
解答 2 ① 健康的な食事
② 身体的活動
③ 禁煙
④ 体重コントロール
解説 2 詳細は下記参照。
設問 1 機能性ディスペプシア(FD)と関係あるのはどれか?
① BMI
② 不眠
③ 運動習慣
④ 女性ホルモン
⑤ ①-④すべて
解答 1 ⑤
解説 1 運動習慣・笑うことは プラスに働き,不眠,やせ(低 BMI),月経不順はマイナスに働く。
設問 2 FDの場合,統計上 NNT(Number needed to treat)が一番低い(処方確率が高い)のはどれか?
① PPI
② アコチアミド
③ ピロリ除菌治療
④ モサプリド
解答 2 ②
解説 2 PPI=9
アコチアミド=6
ピロリ除菌=13
モサプリド 判定不能
設問 3 NERD(非びらん性胃酸逆流症)とFDが合併している場合,有効率が高いと考えられるのはどれか?
① PPI
② PCAB
③ アコチアミド
④ PPI+アコチアミド
解答 3 ④
解説 3 NERDのPPI有効率は約50%
FDでは,NNT上アコチアミドが有効。
NERD+FDなら,このなかではPPI+アコチアミドの併用がもっとも有効。
(H. Yamashita, H.Hongo et Al:EC Gastroenterology and Digestive System 2018)
設問 1 炎症性腸疾患の病態を特徴づける4つのキーワードは何か?
解答 1 粘血便と下痢,再燃と寛解,腸管外合併症,炎症発がん
設問 2 炎症性腸疾患の炎症活動性のモニタリング指標として保険適応となっている非侵襲性・非接触性の検査方法は何か?
解答 2 便中カルプロテクチン測定法
設問 1 関節リウマチ治療でまず最初に考慮される薬剤はどれか?
① サラゾスルファピリジン
② メトトレキセート
③ JAK 阻害薬
④ 生物学的製剤
解答 1 ②
設問 2 D2TRAになりやすい患者の特徴で誤っているのはどれか?
① 女性
② ACPARF陰性
③ 肺病変合併
④ MTX禁忌
解答 2 ②
設問 1 半月板損傷に対する治療の第1選択は何か?
解答 1 関節機能の維持,変形性膝関節症(OA)の予防のため縫合術(温存)が第1選択。
ただし,縫合術は以下のことを理解しておく必要がある。
・治癒率は依然として低い
・再手術率が高い
・手術からの復帰に時間を要する
設問 2 アスリートの疲労骨折好発部位はどこか?
解答 2 脛骨(50%)
足根骨(25%)
中足骨(9%)
大腿骨(7%)
腓骨(6%)
骨盤(1.5%),種子骨(0.9%),脊椎(0.6%)
設問 3 骨端線閉鎖前ACL損傷の治療において重要なポイントは何か?
解答 3 ・保存的治療の成績は不良である。
・骨端線閉鎖まで待機して手術を行う選択肢もある。
・再建術式は患者の骨格年齢,性的成熟などを考慮して決定する。
・transphyseal techniques による再建術は成長障害が起こる可能性がある。