2024年3月1日号
設問 1 半夏瀉心湯の作用機序は,大きく5つの作用が考えられている。それは何か。
解答 1 半夏瀉心湯の作用機序は以下のとおりである。
① 抗酸化作用(乾姜,黄連,黄芩,甘草,人参,大棗)
② 抗炎症作用(乾姜,黄連,黄芩)
③ 抗菌作用(乾姜,黄連,半夏)
④ 鎮痛作用(乾姜,甘草)
⑤ 組織修復作用(乾姜,黄芩,甘草)
設問 2 半夏瀉心湯は,消化管の粘膜疾患に奏効する漢方薬である。どのような疾患に用いられるか。
解答 2 半夏瀉心湯は,服薬すると管腔(消化管側)からも作用するため,消化管の粘膜疾患(口内炎,胃炎,下痢)の改善に奏効する。
設問 3 大建中湯の効能・効果は,腹が冷えて痛み腹部膨満感のあるものであるが,その作用機序はどのように考えられているか。
解答 3 大建中湯を構成する乾姜の成分が,温冷覚,触覚の感知に関わる Transient Receptor Potential(TPR)チャネル(TRPV1,TRPA1 など)にはたらき,症状を緩和させる。また,山椒成分および人参成分は,乾姜の反応を助ける。
設問 1 痛みの機序にはどのようなものがあるか。
解答 1 侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛,痛覚変調性疼痛
解説 1 ・神経障害性疼痛は神経損傷により痛覚が過敏になって生じる。
・痛覚変調性疼痛でも痛覚が過敏になるが,その原因はわかっていない。
設問 2 集学的な痛み治療のメリットは何か。
解答 2 ・多職種アプローチにより,痛みを生物学的側面だけでなく,心理社会的問題としてとらえることで,生活の質改善に役立つ。
・痛みに併存する精神疾患や非薬物的治療としてのリハビリテーションなど,幅広い治療を提供することができる。
設問 1 初回人工股関節置換術(初回 THA)について誤りはどれか。
A 人工股関節の耐用年数は10~20年である。
B クロスリンクポリエチレンを用いた最近の人工股関節の平均的な10年生存率は90%以上である。
C 近年,インプラント周囲骨折と感染による人工股関節再置換術(再 THA)の割合が増加している。
D 若くて活動性が高い患者では再 THA が必要となるのリスクが上昇する。
解答 1 A
解説 1 Aが誤り。耐用年数とは本来期待される役割を果たす期間であるが,そもそも,人工股関節の耐用年数は“〇%の人工関節が再手術になるまでの期間”といった定義がない。また,クロスリンクポリエチレンが使用された最近の人工股関節は,手術後20年でも1~2割しか手術(再 THA)が必要になっていない。このため人工股関節の耐用年数が 10~20年というのは根拠が乏しいようである。
設問 2 人工股関節再置換術(再 THA)について誤りはどれか。
A最近の再 THA 後の人工関節の平均的な10年生存率は80%程度である。
B最近の再々 THA 後の人工関節の平均的な10年生存率は70%程度である。
C感染と脱臼が原因で再置換 THA が必要となった場合の成績は,インプラントのゆるみが原因で再置換 THA が必要となった場合の成績より劣る。
D骨折による再置換 THA の再手術(再々 THA )の原因は骨折が最も多い。
解答 2 D
解説 2 Dが誤り。脱臼や感染による再 THA の再手術(再々 THA)は同じ原因が最も多いが,骨折による再 THA の再手術の原因をみると,同じ原因(骨折)ではなく脱臼が最も多いことが海外のレジストリー調査で示されている。