2024年5月1日号
令和6年4月から開始予定の訪問診療等におけるオンライン資格確認(居宅同意取得型)について,厚生労働省より実施上の留意事項が示されましたので,お知らせします。
記
第1 居宅同意取得型の導入・機能追加
居宅同意取得型の機能を利用することにより,訪問診療等(往診,オンライン診療等を含む。)を行う居宅においてオンライン資格確認を実施し,患者・利用者(以下「患者等」という。)の医療保険の直近の資格情報を確認することができるほか,本人の同意に基づき薬剤情報,診療情報,特定健診等情報を閲覧することが可能となり,業務効率化や質の高い医療の提供が可能となる。
(利用開始手続について)
居宅同意取得型の機能を利用するためには,まず医療機関(※1)・薬局又は指定訪問看護ステーション(※2)(以下「医療機関等」という。)において,オンライン資格確認の本体システムの導入として,資格確認端末の準備や回線敷設を行う必要がある。その上で,オンライン資格確認の管理者画面における環境設定から,利用規約に同意の上,「訪問診療等機能」又は「オンライン診療等機能」を「利用しない」から「利用する」に変更することにより,居宅同意取得型の機能を利用することが可能になる(※3)。
そのため,既に外来窓口においてオンライン資格確認を導入している医療機関・薬局においては,オンライン資格確認の管理者画面から環境設定の変更を行っていただきたい。また,訪問診療のみを実施する医療機関(経過措置第3号)及び指定訪問看護ステーションにおいては,オンライン資格確認の本体システムを導入した上で,環境設定により「訪問診療等機能」を「利用する」に変更していただきたい。
(※1) 在宅患者訪問看護・指導料等を算定する医療機関を含む。
(※2) 介護保険の指定を受けることで,医療保険の指定訪問看護事業者としてのみなし指定を受ける事業所を含む。具体的には,指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12 年厚生省令第80 号)の人員基準を満たす(介護予防)訪問看護,定期巡回・随時対応型訪問介護看護における訪問看護,看護小規模多機能型居宅介護の事業所は,地方厚生(支)局に別段の申出をしない限り,指定訪問看護ステーションに含まれる。
(※3) 往診でオンライン資格確認を行う場合は,「訪問診療等機能」を利用することとなる。
(利用可能端末・操作手順について)
居宅同意取得型のオンライン資格確認は,医療機関等の職員が持参するモバイル端末等(スマートフォン,タブレット,市販の汎用カードリーダーに接続したノートPC 等)(※4)又は患者のモバイル端末等から,Web サービス「マイナ在宅受付Web」にアクセスし,モバイル端末等で患者等のマイナンバーカードを読み取り,本人確認を行うことで実施する(※5)。「マイナ在宅受付Web」のURL 及びその二次元コードは,医療機関等ごとに発行されるものであり,オンライン資格確認の管理者画面から作成・取得することができる。
上記の機能追加やURL の発行に係る具体的な操作手順は別添1(32 ページ)のとおりであるため,参考にしていただきたい。
(※4) 医療機関等が業務用のみに用いる端末であることが望ましいが,適切な安全管理を行うことにより,医療機関等の職員個人が保有する又は個人の管理下にある端末の業務利用(Bring Your Own Device;BYOD)も想定される。端末の安全管理に当たっては,別添2のチェックリスト(33 ページ)も活用していただきたい。
(※5) 初回におけるマイナンバーカードによる本人確認では,現在,4桁の暗証番号の入力を求めているが,令和6年10 月より,4桁の暗証番号の入力又は目視確認(患者等の顔とマイナンバーカードの顔写真を職員が目視により本人確認を行うこと)のいずれかを選択して実施できるアプリケーションを配信する予定であり,利便性の向上を図ることとしている。
実際の居宅におけるオンライン資格確認の実施に当たっては,医療機関等のモバイル端末等を利用する方法のほか,「マイナ在宅受付Web」のURL又はその二次元コードを提示し,患者のモバイル端末等を用いて利用する方法も可能であり,各施設において対応を検討いただきたい。なお,停電や通信障害,患者のマイナンバーカードが使用できない場合(カードの券面汚損,ICチップの破損等)など,何らかの事情によりマイナンバーカードでのオンライン資格確認を行うことができない場合であっても,患者等からマイナポータルの被保険者資格情報の画面を提示いただく方法や,今後送付される保険者からの資格情報のお知らせ(被保険者等記号・番号,保険者番号,負担割合等を記載)とともにマイナンバーカードを提示いただく方法等により療養の給付を受ける資格が明らかであることを確認できれば,保険診療・保険調剤を行い,適切な自己負担分(3割分等)の支払を求めることが可能である。
医療機関等として,オンライン資格確認を導入した上で,さらに業務用のモバイル端末等を確保することや資格確認端末をレセプトコンピュータなどの院内システムと連携することは,各施設の任意であるが,これらは施設の業務効率化や利便性向上に資するものであり,また,モバイル端末等の導入やレセプトコンピュータなどとの連携に要するシステム改修の費用については令和5年度補正予算により実施している補助金(指定訪問看護ステーションについては,医療情報化支援基金)を活用することが可能であるため,積極的に対応をご検討いただきたい。
第2 再照会機能
居宅同意取得型のオンライン資格確認には,資格確認の方法として再照会機能が実装されている。なお,再照会とは,医療機関等から訪問診療等を受けようとする場合であって当該医療機関等からオンライン資格確認による確認を受けてから継続的な療養等を受けている場合において,当該医療機関等が,過去に取得した患者等の被保険者又は被扶養者の資格に係る情報を用いて,保険者に対し,電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により,あらかじめ照会を行い,保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法のことをいう(※6)。
(再照会機能を利用できる場面について)
訪問診療等(訪問診療,訪問看護,歯科訪問診療,訪問薬剤管理指導,訪問リハビリテーション,訪問栄養食事指導,訪問歯科衛生指導等をいう。)では,医療関係者が患者の居宅を訪問し,当該患者等に対して継続的に医療の提供を行うことが想定されており,患者等のなりすましが発生する蓋然性が相当程度低いと考えられることから,当該医療機関等との継続的な関係のもと訪問診療等が行われていることを確認できる場合に限り,2回目以降の訪問時において,再照会による資格確認を可能としている(※6)。
したがって,往診やオンライン診療等(オンライン診療及びオンライン服薬指導をいう。)は再照会機能の対象ではなく,こうした場合においては,通常の外来の場合と同様に,診療の都度,資格確認を行う必要がある。なお,医療機関等が,患者等に訪問診療等を継続的に実施している期間において,当該医療機関等が当該患者等に対して往診を行うこととなった場合には,再照会を行うことが可能である。
(※6) 具体的には,初回の訪問時は,患者等の居宅において,居宅同意取得型のオンライン資格確認を行うこととなるが,例えば,同月や翌月などに行う2回目以降の訪問診療等では,訪問前に,医療機関等の端末の再照会機能を活用することで,最新の資格情報等をあらかじめ確認し,訪問診療等を実施することができる。医療機関等における手順については,別添3の「オンライン資格確認クイックガイド(抄)」なども参照のこと。
(継続的な関係について)
「継続的な関係」は,当該医療機関等が行ったレセプト請求の審査結果等を活用してシステム上で確認することとしており,具体的には,居宅同意取得型によるオンライン資格確認を実施した初回訪問から,3か月を経過する日の属する月の末日まで再照会機能を利用することが可能であり,更にこれを継続する場合には,初回訪問から診療等が毎月継続していることがレセプト請求の審査結果から確認できる必要があることとしている。なお,月遅れ請求を行った場合などにおいては,継続的な関係が確認できない場合があることに留意すること。「継続的な関係」の確認方法については,運用状況等を踏まえ,必要に応じて見直しを行うことを予定している。
(薬剤情報等の閲覧について)
再照会が可能である期間は,初回の訪問時に患者等が行った同意に基づき,医療機関等は,オンライン資格確認等システムに対して,薬剤情報等の照会を行い,閲覧することが可能である。薬剤情報等は,医療機関等の資格確認端末や電子カルテ用端末等から閲覧することが可能であり,モバイル端末等から確認することはできないため,初回訪問時は患者等の薬剤情報等をあらかじめ確認することができないことに留意されたい。なお,契約や計画策定などのために事前に患者等の居宅を訪問した際,近く行われることとなる訪問診療等のため,あらかじめ患者等から薬剤情報等の閲覧に係る同意を取得し,薬剤情報等を取得・閲覧してから初回の訪問診療等を行うことは可能である。