ベースアップ評価料の届け出様式の簡素化について

 令和6年度診療報酬改定で新設されたベースアップ評価料は,他産業の賃上げが続いている中,医療機関からの人材流出を防ぎ,人材を確保するための賃上げ財源の原資として創設されました。
 算定にあたって,施設基準の届け出が必要となりますが,その届出様式が複雑で記載に苦慮している医療機関が多いとの意見を受け,これまでも日医が厚労省に働きかけを行い,解説動画や支援ツール等が公表されてきたところです。
 しかしながら,特に診療所において届出状況が少ない状況を踏まえて,9月11日付で届出様式が簡素化されました。詳細は下記の厚生労働省ホームページにある〔ベースアップ評価料 特設ページ〕をご参照ください。なお,簡素化前の届出様式も引続き使用可能です。
 届出方法等は保険医療課(TEL:075-354-6107)までお問い合わせください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html

簡素化に伴う主な変更点
【全 般】

  • 記載上の説明が詳しく,分かりやすくなりました。

【賃金改善計画書関連】

  • 対象職員の基本給等に係る事項の職種グループ別の記載箇所が削除されました。
    対象:「別添計画書(無床診療所及びⅡを算定する有床診療所)」シート
  • ベースアップ評価料対象外職種の「給与総額」に関する項目が削除されました。

【参考 賃金引き上げ計画書作成のための計算シート】

  • 届出を行う月の選択方法が変更されました。
  • 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)を届け出ない場合には「対象職員の給与総額」が記載不要になりました。

ベースアップ評価料のポイント

  • 国の掲げる目標+2.5%のベースアップは,協力がお願いされているだけで,算定要件ではありません。医療機関が持ち出しで,+2.5%の賃上げを行う義務はありません。
  • ベースアップ評価料による収入は対象職員に配り切ることが必要です。
  • 特に診療所の事務職員について,看護補助など患者のサポートを通じて医療に従事する業務も行う者は,「その他医療に従事する職員」として対象職員に含めることができます。
  • 基本給を上げると,その後の対応が複雑になるので,毎月決まって支払われる手当として,ベースアップ評価手当を新設する方法がシンプルです。

2024年10月1日号TOP