2024年10月15日号
設問 1 小児嚢胞性肺疾患に対する肺葉切除術の適応を述べよ。
解答 1 ・有症状症例,感染症例は感染消退後可及的速やかに施行する。
・無症状症例は,経過観察で良いが,感染の原因となる可能性,あるいは前癌病変となる可能性から1歳頃までに手術治療を検討する。
設問 2 小児漏斗胸に対するNUSS手術の手術適性時期はいつか。
解答 2 ・姿勢療法などの保存的治療を行ったのち,本人,ご家族の希望にもとづいて10歳以降に検討する。
設問 3 小児の気管切開時に留意すべきことは何か?
解答 3 ・原疾患の予後予測にもとづいて,将来抜管できる可能性があれば,抜管後の気管切開孔閉鎖を考慮して,気管前面をU字切開ではなく縦切開で行う。
設問 1 COPD の急性増悪に関与が無いと考えられる病原体は何か?
① インフルエンザ菌
② ライノウイルス
③ RS ウイルス
④ インフルエンザウイルス
⑤ マイコプラズマニューモニエ
解答 1 ⑤
解説 1 Virus-induced exacerbations in asthma and COPD
Daisuke Kurai*, Takeshi Saraya*, Haruyuki Ishii and Hajime Takizawa
Department of Respiratory Medicine, Kyorin University School of Medicine, Mitaka, Tokyo, Japan
設問 2 進行した COPD の身体所見で認めにくい所見は以下のうちどれか?
① ばち指
② 鎖骨上窩の吸気時の陥凹
③ ポンプの把手運動の消失
④ 気管短縮
⑤ 肋間筋の突出
解答 2 ①
解説 2 COPDの身体所見
口すぼめ呼吸
呼吸補助筋の使用
呼気時の頸静脈の怒張
鎖骨上窩の吸気時の陥凹
気管短縮
奇異性呼吸
筋萎縮
樽状胸
ポンプの把手運動の消失
バケツの把手運動の消失
四肢浮腫
呼吸困難を軽減させる姿勢
フーバー兆候
肺の拡張障害
肋間筋の突出
剣状突起下への心尖拍動の移動
胸部の過共鳴音
滴状心
呼吸音の低下
吸気初期の crackle
空洞呼吸
P2の増強
強制呼気時間
マッチテスト(Snider test)
奇脈
設問 1 早期診断・治療のポイントは何か?
解答 1 咳,痰,呼吸困難の有無等につき日頃から留意し,特に感冒症状で受診した際は,より詳細な問診を心がける。長引く・繰り返す感冒は要注意。
解説 1 ・多くの場合,患者さんはこれらの症状を「年のせい」,や「タバコのせい」と考え,医師に相談しない。一方で,急性下気道炎の際の咳,痰症状や呼吸困難の出現を主訴に来院する場合がある(設問2解説参照)。過去の感冒受診歴を留意する。
・タバコ煙だけでない病因(燃焼ガス,環境曝露,感染症,喘息,肺の発育異常等)にも留意して診断を進める。
・息切れが「平らな道を自分のペースで歩いて息切れを感じる」,「同年齢の人と比べて歩くのが遅い」またはCAT(COPDアセスメントテスト)10点以上の場合は長時間作用性気管支拡張剤配合薬(LAMA/LABA)から始めることが推奨されている。
・吸入薬を処方する際は保険薬局と連携し,デバイスの使用方法を身につけるために,吸入指導を依頼する。
設問 2 増悪管理のポイントは何か?
解答 2 増悪を「理解し」,「気付き」,そして「早期に対応」し,速やかな予防強化を行うこと。
解説 2 ・増悪の認知度は低く,倦怠感・食欲不振や感冒様症状を訴えて来院される。早期治療によって早期回復が期待できるため,患者・医師ともに気付くことが重要。
・入院を要する重度の増悪だけでなく,報告されない軽度の増悪も患者予後に影響を及ぼすため,CAT(COPDアセスメントテスト)等の質問票を活用する。
・重症度に応じて気管支拡張剤の吸入や抗菌薬,経口ステロイド薬を処方する。さらに悪化した場合の対応(再診または救急医療機関受診)も指示しておくと良い。普段から増悪の影響,予防法(薬物療法,運動療法等)症状出現時の対応(受診,服薬等)等の自己管理を指導することが重要。
・血中好酸球数の数値および過去の増悪歴を含めトリプル製剤(LABA/LAMA/ICS)へのステップアップを考慮する。可能であれば呼吸リハビリテーションにつき実施可能な医療機関に依頼すると良い。
設問 1 便潜血検査が陽性の場合,どのように説明するか。次の中から選べ。
① 再検査を推奨する
② 食事内容を改善するように指導する
③ 大腸内視鏡を推奨する
解答 1 ③
設問 2 本邦の現在の大腸コールドスネアポリペクトミーの適応病変はどれか?
① 10mm 未満の腺腫
② 10mm 未満の腺腫あるいは早期大腸がん
③ 20mm 未満の腺腫
④ 20mm 未満の腺腫あるいは早期大腸がん
解答 2 ①
設問 3 4-9mmの腺腫を3つ切除した。次の推奨される大腸内視鏡検査間隔はどれか?
① 1年後
② 3年後
③ 5年後
解答 3 ②
設問 1 2024年2月に保険収載された,新しい肝線維化マーカーは何か?
解答 1 ELF テスト
設問 2 糖尿病合併MASLDに対して,ガイドラインで推奨されている薬剤は何か?
解答 2 ・SGLT2 阻害剤
・GLP-1 アナログ
・ピオグリタゾン
設問 1 脂質の多様性が,様々な臓器や疾患の病態に関与するのはなぜか?
解答 1 病態の多くは細胞のオルガネラの異常から生じるが,生体膜脂質がオルガネラの形態と機能を規定するから。
設問 2 脂肪酸の多様性(質)を規定する2要素は何か?
解答 2 脂肪酸不飽和度と脂肪酸鎖長
設問 1 カプセル内視鏡の適応外疾患はどれか?
① OGIB
② 小腸腫瘍
③ 薬剤性小腸炎
④ クローン病
⑤ 腸閉塞
解答 1 ④
解説 1 腸閉塞の際は,カプセル内視鏡は禁忌となる。
設問 2 カプセル内視鏡とバルーン小腸内視鏡の特徴で,誤っているのはどれか?
① カプセル内視鏡は患者苦痛が少ない
② カプセル内視鏡は偽陰性が多い
③ カプセル内視鏡は全小腸が評価できる
④ バルーン小腸内視鏡は内視鏡治療が可能
⑤ バルーン小腸内視鏡は侵襲度が低い
解答 2 ⑤
解説 2 バルーン小腸内視鏡は侵襲度が高く,適応疾患・適応症例の判断が必要。
設問 1 PPI/P-CAB の長期投与と無関係な腫瘍はどれか?
① 早期胃癌
② 神経内分泌腫瘍
③ 過形成性ポリープ
④ 黄色腫
⑤ 胃底腺ポリープ
解答 1 ④
設問 2 PPI/P-CAB の長期投与に関して,間違っているものはどれか?
① 漫然と長期投与せず,減量・休薬・中止を考慮する。
② NSAIDs(アスピリン含む)内服者には長期投与はやむを得ない。
③ 安全な薬なので,do 処方で問題ない。
④ GERD のグレードや上部消化管の出血リスクの評価のためにも定期的な内視鏡検査が望ましい。
⑤ 腸内細菌叢の変化により,がん免疫治療に影響を与える可能性がある。
解答 2 ③
設問 1 小児脊柱側弯症の視診上,チェックすべきポイントは何か?
解答 1 ① 肩の高さの左右差
② ウエストライン(脇線)の左右非対称性
③ 下着,ズボンの傾き
④ 左右どちらかの肩甲骨が浮き出ていないか
⑤ 前屈させたとき背部や腰部に左右の高さの違いはないか
⑥ 前屈制限や,横からみて円背および凹背はないか
設問 2 どのような癌腫が骨転移を来しやすいか述べよ。
解答 2 ① 乳癌
② 肺癌
③ 前立腺癌
④ 腎癌
設問 1 OCDの安定型病変に対する治療法の第一選択は何か?
解答 1 第一選択は,保存的治療を行う。
設問 2 OCDの不安定型病変で比較的広範囲,骨端線が閉鎖されている症例に対し,本邦で多く行われている手術治療法は何か?
解答 2 骨軟骨柱移植術