2024年9月1日号
設問 1 カログラ治療に対する以下の文章で正しい番号を選べ。
① カログラの接着阻害は,α4β7に選択的である。
② カログラの使用に際し,最も注意すべき合併症はPMLである。
③ カログラは5-ASA製剤に加え,局所製剤を併用するUC症例には無効である。
④ カログラの適応は,適正用量の5-ASA製剤治療に効果不十分なUC症例である。
⑤ カログラは5-ASA不耐のUC症例には適応がない。
解答 1 ②,④
設問 2 カログラ治療で寛解導入に成功し服薬を終了した症例で,再燃を認めた場合の再治療について,正しい文章を選べ。
① 再治療はできない。
② 初回(前回)治療の終了から2ヶ月以上経過していれば再治療可能。
③ 初回(前回)治療の期間が2~3ヶ月内であった症例であれば,初回治療の終了から2ヶ月以内でも再治療は可能(ただし,再治療の期間は,前回治療の開始から6ヶ月以内にとどめる)。
④ 再治療の有効性は,初回治療よりも不良傾向である。
解答 2 ②,③
設問 1 糖尿病症例で,糖尿病性腎症以外の糸球体疾患を疑うのは,臨床的にどのような時か?
解答 1 ・糖尿病罹患期間が短い。網膜症がない。
・急に蛋白尿が増えた。
・蛋白尿だけでなく血尿をともなっている。
設問 2 腎代替療法の適切な導入のために腎臓専門医に紹介すべき時期はいつか?
解答 2 遅くても CKD ステージG4
(CKD 治療見直しのためには,もっと早期(ステージG3)に紹介が必要。)
設問 1 糖尿病を有するものにおける家庭血圧の降圧目標値は?
解答 1 125/75mmHg 未満
設問 2 家庭血圧をするにあたり,手首血圧計より上腕血圧計が望ましい。〇×で答えよ。
解答 2 ○
設問 1 術中CTナビゲーション手術の利点は何か?
解答 1 ・⼿術中にCT確認可能。
・⼿術スタッフの被曝低減。
・あらゆる体位でナビゲーション可能。
設問 2 前方手術を選択する主な要因は何か?
解答 2 前⽅からの神経圧迫が強い 後弯変形が強い
設問 1 NSAIDsとアセトアミノフェンの相違点は何か?
解答 1
設問 2 ジクロフェナク持続型経皮吸収剤が好ましい患者像を述べよ。
解答 2 ・内服量が多い患者の内服薬数を減ずる場合に有用。
・内服アドヒアランスが良好でない患者への投薬に有用。
・仕事時に眠気が生じることを避けたい患者に有用。
設問 1 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者で間違っているものを選べ。
a.確実な抗血小板療法の内服
b.飲酒・喫煙の継続
c.冠危険因子に対する積極的な介入
d.適切な運動・リハビリテーションの継続
解答 1 b
解説 1 抗血小板剤の確実な内服はステント内血栓症を始めとした心血管イベントの抑制に必要不可欠。二次予防としての冠危険因子の介入・運動など日常生活習慣の改善も重要。
設問 2 抗血小板療法の現在の考え方を選べ。
a.副作用が無い限りはできるだけ2剤抗血小板剤を継続する。
b.1年間は2剤抗血小板剤を使用し,その後は病状によって調整する。
c. 出血リスクの高い患者には術後1~3ヶ月間の2剤抗血小板療法の後,単剤への減量を積極的に検討する。
解答 2 c
解説 2 以前は2剤抗血小板療法(DAPT)は1年が推奨だったが,STOPDAPTなど複数の臨床試験により特に出血リスクの高い患者は短縮する傾向にある。
設問 3 急性冠症候群における最も強い予後不良因子を選べ。
a.喫煙
b.高血圧症
c.消化管出血
d.腎不全
解答 3 c
解説 3 消化管出血が最も強い予後不良因子。特に急性期は迅速かつ強力に消化管保護をすることが重要。
設問 1 左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)と左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の間に位置するとされる心不全を何と呼ぶか?
解答 1 検査施行時のLVEFによる心不全の分類
設問 2 ACE阻害薬内服中の患者ではARNIへの切り替えをどうするか?
解答 2
解説 2 ARNIはACE阻害薬同様にブラジキニン濃度を上昇させるため,すでにACE阻害薬内服中の患者ではARNIへの切り替えまでに36時間以上の休薬期間を設ける必要がある。
Circulation. 2016;133:1115-1124.
設問 3 心不全治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationでは,「心不全患者において,SGLT2阻害薬(ダパグリフロジンとエンパグリフロジン)は2型糖尿病の合併・非合併および左室駆出率にかかわらず,心不全イベントの抑制が報告されており,リスクとベネフィットを十分に勘案して積極的にその使用を検討する」とされているが,高齢者に対して投与する際に,糖尿病学会のリコメンデーションはどのようになっているか述べよ。
解答 3 「75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア,認知機能低下,ADL低下など)のある場合には慎重に投与する。」となっている。また,「全身倦怠・悪心嘔吐・腹痛などをともなう場合には,血糖値が正常に近くてもケトアシドーシス(euglycemic ketoacidosis;正常血糖ケトアシドーシス)の可能性があるので,血中ケトン体(即時にできない場合は尿ケトン体)を確認するとともに専門医にコンサルテーションすること」とのリコメンデーションもあり,特に高齢者については慎重な扱いが必要となる。