2024年9月15日号
厚生労働省より,長期収載品の処方に関する疑義解釈(その2/8月21日付)が示されましたので,お知らせします。
【処方箋の記載について】
問1 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がついた場合,保険薬局においてはどのような取扱いになるか。
(答) 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がつくことは,通常は想定されず,医療機関のシステムにおいても双方に「✓」又は「×」を入力することはできないと考えられるが,仮にそのような場合があれば,保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。
なお,医療機関では,「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月27日保医発0327第11号)において,「「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」を記載した場合においては,「患者希望」欄には「✓」又は「×」は記載しないこと。」としているところであり,医療上の必要性がある場合は,「変更不可(医療上必要)」欄にのみ「✓」又は「×」を記載すること。
問2 令和6年10月1日前に処方された長期収載品であって,保険薬局に10月1日以降に処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。
(答) そのとおり。
問3 令和6年10月1日前に処方された長期収載品であって,保険薬局に10月1日以降に2回目以降の調剤のためにリフィル処方箋や分割指示のある処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。
(答) そのとおり。
問4 令和6年10月1日以降に旧様式の処方箋で処方された長期収載品であって,後発品変更不可にチェックがあるものの,理由について記載がされていないものについてどう扱えばよいか。
(答) 保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。
問5 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」(平成18年厚生労働省告示第107号)第三の十四(三)において,「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収その他必要な事項を当該医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならないものとする。」とされているが,掲示内容について参考にするものはあるか。
(答) 院内及びウェブサイトに掲示する内容については,以下のURLに示すポスターを参考にされたい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
【診療報酬明細書の記載について】
問6 医事会計システムの電算化が行われていないものとして地方厚生(支)局長に届け出た医療機関及び保険薬局については,薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が175円以下の場合は,薬剤名,投与量等を記載する必要はないとされているが,医療上の必要性等により長期収載品を処方等又は調剤した場合の理由は記載が必要となるのか。
(答) 記載不要。
【公費負担医療について】
問7 生活保護受給者である患者が長期収載品を希望した場合は,どのように取り扱うことになるのか。
(答) 【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象にならない場合】
「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和34年厚生省告示第125号)第2に基づき,生活保護受給者については,長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはならないとしている。
このため,生活保護受給者である患者が,医療上必要があると認められないにもかかわらず,単にその嗜好から長期収載品の処方等又は調剤を希望する場合は,当該長期収載品は医療扶助の支給対象とはならないため,生活保護法(昭和25年法律第144号)第34 条第3項に基づき,後発医薬品処方等又は調剤を行うこととなる。
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象になる場合】
長期収載品の処方等を行うことに医療上必要があると認められる場合は,当該長期収載品は医療扶助の支給対象となる。
問8 生活保護受給者である患者が,単にその嗜好から長期収載品を選択した場合,「特別の料金」を徴収するのか。
(答) 生活保護受給者である患者について,医療上の必要性があると認められず,かつ,医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが可能である場合は,長期収載品を医療扶助又は保険給付の支給対象として処方等又は調剤することはできないため,当該患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても,後発医薬品を処方等又は調剤することとなる。そのため,「特別の料金」を徴収するケースは生じない。