松井執行部 5期目 発足

新執行部役員に就任して

再任のご挨拶  松 井 道 宣

 6月15日に新たな府医執行部をご選任いただき,直ちにスタートしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。2025年は,いわゆる「団塊の世代」が75歳を迎え,人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合(高齢化率)が約30%に達します。約3人に一人が高齢者という超高齢社会です。社会の高齢化はこれからも進み2040年には「団塊ジュニア世代」が65〜70歳となり,高齢化率がピークに達します。さらに2054年には我が国の人口は1億人を下回り,全人口に占める75歳以上の割合が25%に達すると推計されています。超々高齢社会です。高齢社会の最大の課題は,社会保障をどのように持続させるかということです。全国の少子高齢化は想定された以上の速さで進んでおり,京都府も例外ではありません。85歳以上の人口は2040年に向けて,さらに増加すると予想されており,医療と介護の複合ニーズを併せ持つ高齢者が一層増加することが見込まれます。京都府では,当初から高齢社会の進行を念頭に病床数ならびに病床機能の適正化という観点に加え,在宅医療・介護の需要が増すことを想定してきました。そこで,まず第一に「地域包括ケア構想」のこれまでの取組みを検証し,「新たな地域医療・介護構想」を府内の各医療圏で適切に進めるための状況分析と実現のための対策の検討を各地域とともに行いたいと思います。第二には,高齢社会の課題である持続可能な社会保障制度の構築を進め,国民皆保険制度を維持するために,われわれ医療を担当する者が必要とする医療ならびに医療提供体制について政府に強く提言しなければならないと考えます。そのため,できるだけ多くの会員が医政活動を含めて医師会活動に興味を持っていただき,その必要性を理解し,参加していただけるように組織の強化に努めます。第三には医療を取り巻く環境がこれから激しく変化していくときに,これからの医療を担ってくれる若手医師との交流を進め,情報を共有しながら将来の医療のあるべき姿を一緒に作っていきたいと思います。以上,会員の先生方の絶大なるご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

再任のご挨拶  副会長 谷 口 洋 子

 5期目の松井執行部で地域医療担当副会長を再任していただきました伏見の谷口です。2011年以来,学校保健,介護保険,地域連携パス,庶務,広報企画,保険全般,医師のワークライフバランスを担当し,2021年に地域医療部に戻ってまいりました。浅学非才の若輩者でございますが精一杯努めてまいりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
 今期の地域医療部は編成替えがございますのでご紹介いたします。
 地域医療部の今年度の最重点項目は「地域包括ケア構想の推進」と「面としてのかかりつけ医機能の推進」です。
 2024年12月に厚労省が公表した「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」において,85歳以上の増加や,人口減少がさらに進む2040年とその先を見据えた医療提供体制の構築を目指すため,新たな地域医療構想を医療計画の上位概念に位置付けることなどが明確にされました。京都府内においても,各圏域において,新たな地域医療構想の策定に向けた「調整会議」が開催されました。

  1. 地域医療部におきましても「地域ケア委員会」を「地域医療対策委員会」へ名称変更し,地域医療・介護構想担当者会議として位置づけ,府内各医療圏域から委員に参加していただきます。他職種,行政を含めて,新たな地域医療・介護構想への対応,面としてのかかりつけ医機能の推進に向けて検討してまいります。さらに在宅医療・地域包括ケアサポートセンター事業と協働し,在宅療養あんしん病院登録システム・京あんしんネット,京都府地域包括ケア推進機構との連携,認知症対策に取組みます。
  2. 次の新興感染症,災害に対し,危機管理対策の視点を重視し,「感染症対策委員会」,「救急・災害委員会」,「災害対策小委員会」を統合し,「救急災害危機管理対策委員会」として発足します。本委員会の下に小委員会を設置し,実務的な内容を検討します。
  3. 「スポーツ医学委員会」と「健康日本21対策委員会」を統合し,「健康スポーツ委員会」として各種スポーツ大会や健康運動指導士養成講習会への医師・講師派遣,スポーツ医学研修会,健康講座等の企画,京都府スポーツ協会,京都市スポーツ協会との連携,行政への意見具申を行います。

 特に地区医の先生方には,地域で必要な医療機能・医療提供体制を議論するために地域医療構想調整会議へのご参加をお願い申し上げます。医師会が行政をリードしていかなければなりません。会員の先生方のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

再任のご挨拶  副会長  禹  満

 松井執行部5期目の府医副会長の指名を受けました。前期に引続いて総務総括および看護専門学校校長職務代理を担当します。総務部の分掌は,庶務全般(代議員会,理事会,参与会,地区庶務担当理事連絡協議会,組織強化,会館管理等),会計,ワークライフバランス(子育てサポートセンター),広報,ICT推進,トレーニングセンター,福利厚生,医業経営,と多岐に亘ります。保険医療,地域医療,学術・会員業務との調整を行って会務全般の運用の円滑化を図っています。
 組織強化は,日医の喫緊の課題であり,松本吉郎日医会長自らが入洛して組織率向上を訴えられましたが,府医はこれに呼応して各地区医の会員の先生方に未入会者への入会促進をお願いしてまいりました。府医では,入会方法をより簡便にして「ケーエムエー.com」からも入会できるようにしました。年度始めに京都府内の研修指定病院で研修を始める初期研修医に府医会館に集まっていただき「新研修医総合オリエンテーション」を開催していますが,その場で研修医の先生方に入会案内と「ケーエムエー.com」を紹介してきました。その効果が少しずつ現れています。それに加えて地区医の先生方のご尽力により府医会員数が増加してきました。一方,府医の日医会員数は漸増していますが,さらなる増加が必要です。というのは,日医代議員の員数は,各都道府県医の日医会員数500名に1名の割合で選出されているからです。現在,府医の日医代議員は7名です。府医の日医会員が3,500名を超えると代議員が8名になり,府医の日医における発言力が増します。今後も組織率向上にさらなるご尽力をいただけるようこの場をお借りしてお願い申し上げます。臨床研修屋根瓦塾をはじめ京都医学会等での若手医師の活躍の場を設けるなど,若手医師にとって垣根の低い医師会となるために引続き学術会員業務担当の上田府医副会長とともに努力いたします。
 また,今期は感染症対策の主務を兼任します。感染症対策委員会では,3年半のコロナ禍における府医会員のCOVID-19との戦いを評価する目的で,会員の先生方にアンケート調査をお願いしましたが,その結果を纏める作業に入りました。今年度中には仕上げる予定にしております。アンケートにご協力いただいた会員の先生方に感謝いたします。コロナ禍を振り返って,様々な問題点が浮上しております。それらの問題点を考慮した上で,将来に生ずる新興感染症の感染拡大に対峙するための府医としての行動計画が必要です。「京都府新型インフルエンザ等対策行動計画」の策定に府医として関わってきましたが,国および京都府の行動計画と並行する府医行動計画を新たに策定する予定です。今後の委員会は,既存のスタイルを踏襲するのではなく,危機管理対策のひとつとしての感染症対策を担う委員会へと変貌する必要性を感じています。
 府医の運営も然りで,その時々の社会経済情勢,医療提供体制等々に合わせて流動的に変化する必要があります。松井府医会長をしっかりと支え,役員および事務局が一丸となって,これからの府医の取組みを前に進めてゆく所存です。会員の先生方の益々のご理解,ご協力,ご支援を賜りますよう,何卒よろしくお願いいたします。

再任のご挨拶  副会長  上 田 朋 宏

 このたび,松井道宣府医会長の下,5期目の副会長として再任され,学術担当を拝命いたしました中京西部の上田朋宏です。
 2年前の2023年(令和5年)8月1日,京都医報No.2250号にて「府医と歩んだ15年」と題し,ご挨拶させていただいたことを覚えております。今回は,府医および日医が重要課題と位置づける「組織強化」について,私の考えをお伝えしたいと思います。
 府医が,地域の安心・安全を守り,地域医療を支える組織として責任を果たしていくためには,開業医のみならず,勤務医や若手医師と協働する体制を基盤とした「組織強化」が不可欠です。こうした協働により,今後ますます複雑化する医療課題にも対応できると考えています。
 また,診療所と病院との連携も同様に重要です。「面としてのかかりつけ医機能」という表現は分かりやすいですが,会員の皆様がこのイメージをどの程度共有されているかについては,少し懸念もあります。
 さらに,近年よく耳にする「医療・介護の一体改革」や「多職種連携」,「医療のダイバーシティ」といった言葉も,実際の現場で具体的に実現されているかといえば,まだ道半ばであると感じています。
 また,医師会費の無料化については,若手医師が入会しやすくなるというメリットが期待される一方で,「内容がともなわない」場合,かえって「無料にしても入らない」といった逆効果が指摘されることもあります。
 私は日医の勤務医委員会でも,若手医師の会費無料化のみならず,既存の会員が「若手医師の会費を支援する」くらいの気持ちを持たなければ,本当の意味での協働は実現しないと提言してまいりました。
 府医では,若手医師を中心に,総合オリエンテーション,臨床研修,京都医学会,Re-1グランプリなど,さまざまな事業を展開しています。これらの取組みは,他府県の医師会からも注目され,模範とされ始めています。学術を軸とした活動を通じて,会員と若手医師,勤務医との意見交換の機会をケーエムエー.comという若手医師会員情報提供プラットフォームを発展させ,医師会の存在感と影響力をさらに高めていきたいと考えています。
 今後とも,会員の皆様のご指導・ご鞭撻を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます。

就任のご挨拶  米 林 功 二

 この度,松井執行部5期目の府医副会長を拝命いたしました右京の米林です。監事にご就任されました濱島前副会長の後任といたしまして,保険医療部を担当させていただきます。保険医療部は,医療政策や保険実務,指導・審査関係など幅広い分野があり,私のような経験の浅い者に務まるかどうか,大変不安な気持ちでいっぱいでございますが,統括を担当される小柳津府医理事とともに会務運営に尽力してまいる所存でございます。
 かつて当会には,医療を取り巻く様々な問題を議論する社会保険研究委員会(社保研)があり,私も理事また委員として担当した経緯がございます。2019年に委員を拝命した際には,松井府医会長から「給付と負担−日本の将来,医療と国民の融和点は」という諮問事項を頂戴し,出木谷委員長の下で答申作成に関わらせていただきました。しかし日々揺れ動く医療情勢の中,1期2年間をかけて当初の諮問事項に対して答申する困難さは,身をもって体験したところでございます。こういった状況も鑑み,今期は「かかりつけ医機能」,「医師の働き方改革」,「医療DX」,「医師偏在」,「給付と負担」など,医療に係る諸課題を適時適切に検討してまいるようにと,命を受けております。会員の先生方にもご助言やご参加をお願いすることもあろうかと存じますが,その際にはご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
 「給付と負担」に関しましては,今参院選でも「医療費を削減して現役世代の社会保険料を減らすべき」と強く主張する政党もあり,大きな争点となりました。国民の可処分所得を増やして経済を回し,また今後ますます進行する可能性の高い少子化対策の一つとして,有意義な面はあると思います。しかし一方で性急に病床削減や,OTC類似薬の保険除外などの政策を進めてしまいますと,今後起こり得る新興感染症や災害時の病床確保の問題,薬剤の不適切使用による国民の健康被害を誘発する可能性があります。数ありきの医療費削減目標を掲げるのではなく,あくまで地域の実情を精査し,国民の健康と命を守ることを大前提とした議論が必須であります。本稿が先生方のお手元に届く頃には参院選は終了し,どのような結果になるかは現時点で不明ですが,各政党は耳触りの良い政策のみを唱えるのではなく,その裏にある反作用の面も同時に説明しなければ,責任政党の資格は無いと考えております。
 また,物価・人件費上昇などにより医療機関の経営が非常に逼迫する中,医療提供体制を維持していくための原資である診療報酬も十分に手当てされるべき,ということは言うまでもありません。難問山積する医療界の諸課題に対する提言をしてまいることは必要不可欠と考えており,会員の先生方のご指導ご鞭撻を賜ります様何卒よろしくお願い申し上げます。

退任役員挨拶

退任の挨拶  三 木 秀 樹

 この度,府医理事を退任することとなりました。2016年に2度目の理事に就任してから,4・5期(9年)務めさせていただきました,三木秀樹,精神科医です。
 2度目の理事になっても,医師会活動は多少輪郭が理解できるようにはなりましたが,やはり精神科医としては困惑することばかりでした。しかし,認知症,自殺対策,産業保健分野,精神医療が5疾病に取り上げられる等で精神科医の意見が求められる場面が増えていき,少しは役に立てたかと思います。それでも,私としては,ほとんど府医には貢献できず,他科の先生の考え方,行政の動き・対応,医師会の考え方等勉強になったことばかりです。また,医師会活動を通して,多くの先生達との交流,つながりができたのが一番の財産ではないかと思います。現在,京都精神科病院協会の会長,京都精神科医会の会長を引き受けさせていただいています。この医師会活動を通じて得たつながりや考え方を大事にして,精神科医療の狭い領域に閉じこもらずに,多くの他の領域の先生方や府医,地区医とも連携して役に立っていきたいと思います。また,何かあれば,ご相談いただければ幸いです。長い間ありがとうございました。

退任のご挨拶  畑  雅 之

 退任に際し,一言お礼申し上げます。この19年間,会員の先生方からご支援,ご指導いただき本当にありがとうございました。前会長の森府医顧問にお声掛けいただき松井府医会長のもとで続けて仕事をさせていただきました。私生活では高校生だった息子は病院勤務し一児の父になっています。また,3回の手術も経験しました。理事になる前から足のしびれを感じていましたが,すべり症による腰部脊柱管狭窄症と内田先生に診断,治療いただき徐々に左足の筋力低下をきたし廣嶋先生のご配慮で昨年8月に手術しました。3か月はコルセットをしながら電車で府医会館に通いました。今も頑張ってリハビリして軽く走れるまでに回復しております。医師会での仕事は,地域医療では学校保健を皮切りに糖尿病対策,産業保健,乳がん検診,肺がん検診,特定健診,総務では融資斡旋,保険医療では国保を中心に決議案の作成にも関わらせていただきました。産業保健では民主党政権時の地産保問題を日医で他の都道府県医の先生と真剣に論議したこと,肺がん検診でのデジタル化に対する京都府との折衝,糖尿病対策では糖尿病重症化予防地域戦略会議の広報に府内全域での奔走したことが印象深い出来事でした。府医理事になって多くの専門の先生と知り合いになれたことは何より私の財産です。また,行政との折衝や他の都道府県医の先生方とお知り合いになれたことで視野の広がりを実感しました。府医の職員の知識は豊富で報告書は事務方なくてはとても自分ではできませんでした。一緒に仕事ができたことを本当に感謝しております。私は,今回で辞し地区医で一会員として医師会に協力させていただく所存です。まだ理事をされていない先生方に一言,一度,理事をされることをお勧めします。はた目で大変そうと思われるかしれませんが楽しくなければ往復3時間かけて19年も続けられませんでした。

退任のご挨拶  角 水 正 道

 10年間,本当にお世話になりました。そして,本当に楽しかったです。もちろん,私が理事としての役目をしっかり果たせていたかなんて,全く自信がありません。ただ,せっかくお誘いいただいてこの任についているのだから,自分の立場で正直に意見するべきだと心に決めて愚直に積極的に発信してまいりました。幸い,会長・副会長・理事の先生方は皆ジェントルであり,耳を傾けてくださいました。また,様々な立場の方々,そして医師会員の皆様方も温かく見守ってくださり,自分にとってはとても有意義な時間と様々な方々との出会い・つながりを持つことができました。これらはひとえに皆様のおかげであり,かつ自分の財産です。感謝してもしきれません。
 退任にあたり,自分が思ったことを2つ申しあげます。
 1つめは,府医の理事や委員会の委員など,お誘いがあれば是非前向きにお考えください。私が府医理事就任のお誘いを受けたとき,ちょうど地区医の認知症初期集中支援チームが発足してまもなくで,多職種連携の活動にますます力を入れてと思う矢先でありずいぶん悩みました。しかし今振り返ってみると,貴重な経験やつながりができて,今後の活動にも生かすことができそうで,間違いなく理事を経験して良かったです。
 2つめは,府医をもっと身近に考えてください。私は主に,在宅医療地域包括ケアサポートセンター・消化器がん検診に携わってまいりました。在宅医療が広がるように,内視鏡検診がうまく運用できるように,理事の先生方・委員の先生方・事務局と何度も話し合い試行錯誤を繰り返してきました。その時一番知りたかったのは,これで本当に会員のためになっているのかです。幸い多くの方々から貴重なご意見をいただいて,運用に生かすことができました。理事になるまでは府医は遠い存在でしたが,府医側からは現場の声を渇望しております。これからも府医をより身近に考えて意見交換・情報発信をよろしくお願い申し上げます。

退任のご挨拶  大 坪 一 夫

 退任に際し一言お礼を申し上げます。理事9年,監事6年間,会員の先生方の多大なるご支援とご指導をいただき無事務められたことに心より感謝申し上げます。
 産婦人科医である私は,医師会にほんの少し関わっていただけで医師会の業務については全く無知なまま理事になりました。初めは理事会で他の理事の報告や発言に異世界に入り込んでしまった気がしていました。要である地域医療については知らぬことの連続で早々に辞することすら考えていましたが,他の役員の先生方(特に初め隣におられた油谷元会長に殆ど手を取り足を取り指導していただきました)や担当の事務局やそうでない事務方に助けられて,医師会業務の片隅を担わせてもらえるようになってからは,それまで経験したことのない日々の連続でした。日頃接する機会の少ない他科の先生方との素晴らしい出会いや驚くような経験は何物にも代えがたいものでもありました。とくに医療事故調査制度の発足に際してたくさんの医療関係者の方々にご協力をしていだきましたことに本当に感謝します。
 結びに,私を沼に引きずり込んだ森前会長,死因究明制度委員会から絡めとられた松井府医会長,お世話になった役員の先生方,事務局の皆様に心より感謝申し上げます。思い返せば楽しいことばかりで本当にありがとうございました。
 これからの松井会長のもとでの府医のさらなる発展と,会員の皆様のご健勝を祈念して退任の挨拶とさせていただきます。

2025年8月1日号TOP