2025年8月1日号
(令和6年6月〜8月実施)
※ アンケート調査集計結果①につきましては京都医報6月1日号,アンケート調査集計結果②につきま
しては京都医報7月1日号に掲載しております。
Ⅲ . 今後の在宅医療提供体制について
(1) 在宅医療を実施している医療機関の訪問診療提供可能数の比較【2024 年(今回)と 2016 年(前回)の比較】
(2) 在宅医療に対する今後の意向【2024 年(今回)と2016 年(前回)の比較】
Ⅲ.今後の在宅医療提供体制について
① 在宅医療を実施している診療所の訪問診療提供可能数および予測の増減率比較
2016 年と 2024 年を比較するにあたり,それぞれの回答数の違いから患者数による比較は正確性を欠くため増減率で比較した場合,現時点と5年後では,京都・乙訓で 116.0%,山城北で 123.1% と,いずれも顕著な増加が見られた。
一方で,山城南,中丹,丹後では,ほぼ横ばいの推移となっている。
南丹については 54.8% と大幅な減少が確認され,今後の医療提供体制に課題が残る結果となった。
京都府全体としては,提供可能数の増加は見られるものの,各医療圏域における動向には差異があり,地域の実情に応じた対応策の検討が必要である。
② 在宅医療を実施している診療所の訪問診療提供可能数および予測の平均値比較
※予測について ・2016 年⇒ 2026 年(10 年後)
・2024 年⇒ 2029 年(5年後)
在宅医療を実施している診療所における訪問診療提供可能数の平均(一か月の最大)において,2016年と 2024 年を比較した場合,京都・乙訓,山城北,山城南では,2016 年の段階では予測値が現時点よりも低かったのに対して,2024 年では大幅なプラスに転じている。
中丹,丹後では大きな増減はなかった。
南丹では,2016 年・2024 年の両時点において減少傾向にあり,特に 2024 年では減少幅がさらに大きくなった。
全体をみると,2016 年の段階では予測値が現時点よりも低かったのに対して,2024 年の予測は現時点よりも増加している圏域が多くみられたが,減少している医療圏域では減少率が大きい。前ページの増減率比較と同様の傾向がみられた。
③ 在宅医療を実施している病院の訪問診療提供可能数および予測の増減率比較
在宅医療を実施している病院における訪問診療提供可能数の増減率(一か月の最大)において,現時点と5年後を比較した場合,中丹では 143.5% と増加率が大きい。次いで南丹 127.5%,山城北 125.9%,丹後 123.0% となっている。
京都・乙訓 111.8%,山城南 100.0% と増加幅は控えめであった。
全体をみると 114.7% と微増しており,減少した医療圏域はみられなかった。
④ 在宅医療を実施している病院の訪問診療提供可能数および予測の平均値比較
※予測について ・2016 年⇒ 2026 年(10 年後)
・2024 年⇒ 2029 年(5年後)
在宅医療を実施している病院における訪問診療提供可能数の平均(一か月の最大)において,2016年と 2024 年を比較した場合,京都・乙訓と山城北では 2016 年調査での予測値(2026 年)と 2024 年の現在値に差はなく,2024 年の予測値(2029 年)はさらに増加となった。
一方で中丹では,2016 年調査での予測値(2026 年)に比べ 2024 年の現在値はおよそ半数となっている。
南丹,丹後では 2016 年よりも 2024 年における増加幅が大きくなった。
山城南は 2016 年のデータが欠落しているため評価ができないが,2024 年の「調査現在」と「予測」が同一であった。
全体でみると,前ページの実数と同様,平均でも減少した医療圏域はみられなかった。
(2) 在宅医療に対する今後の意向【2024 年(今回)と 2016 年(前回)の比較】
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所では,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が減少し,「(エ)自院のかかりつけ症例もできれば他院に依頼したい」が微増した。
在宅医療を実施していない診療所では「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」が急増した。
在宅医療を実施している病院では「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が多かった。
② 二次医療圏別
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所では,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が大きく減少し,「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」が増加となった。
在宅医療を実施していない診療所では「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」が大幅に減少した。
在宅医療を実施している病院では「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」の回答が増えた。
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所では,「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」が全体の19.6% を占め,2016 年の 9.6% から約 10 ポイント増加した。
在宅医療を実施していない診療所についてはサンプル数が限られているものの,全例が「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」と回答。
在宅医療を実施している病院においては「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が増えた。
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所では,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が過半数を占めている。「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」は 2024 年に初めて1件のみ確認されたが,「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」は減少し,「(エ)自院のかかりつけ症例もできれば他院に依頼したい」は増加した。
在宅医療を実施していない診療所については回答が無かった。
在宅医療を実施している病院に関しても 2016 年は回答が無かった。2024 年は「(エ)自院のかかりつけ症例もできれば他院に依頼したい」1件のみの回答であった。
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所の傾向では,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が多数を占めているが,「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」の割合が減少した。
在宅医療を実施していない診療所については 2016 年・2024 年ともに回答は無かった。
在宅医療を実施している病院においては,「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」と「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」がそれぞれ2件,「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」が1件,無回答が1件となった。
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所では,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が最多であったが,「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」は大幅に減少した。
また,「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」も減少傾向。
在宅医療を実施していない診療所については 2024 年は回答が無かった。
在宅医療を実施している病院に関しては,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が最多であった。
※ 現在,在宅医療を実施していない診療所は「在宅医療実施に関する今後の予定」で「実施予定」と回答した場合のみ有効
病院は在宅医療を実施している病院のみを有効
在宅医療を実施している診療所の 2024 年における回答では,「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」が 13 件と,多数を占めている。「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」とする回答は 2016 年2件から 2024 年4件に増加した。
在宅医療を実施していない診療所は 2024 年に1件が「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」,1件が「(ウ)自院のかかりつけ症例はできるだけ対応するが,新規紹介症例は受け付けない」と回答。
在宅医療を実施している病院に関して,「(ア)新規紹介症例を含めて積極的に増やしていく」「(イ)自院のかかりつけ症例を中心に可能な範囲で新規症例にも対応する」がそれぞれ1件ずつであった。
③ 在宅医療を実施していない診療所(529 件)の今後の予定
在宅医療を実施していない診療所では,在宅医療の今後の予定について,在宅医療を「実施予定」としている診療所が 28 施設(全体の 5.3%),「実施しない」とした診療所が 364 施設(68.8%),「未定」としている診療所は 137 施設(25.9%),「実施しない」が最多であった。
④ 病院の在宅医療への協力について
病院の在宅医療の協力については, 「積極的に受け入れる」はやや増加したが,「必要に応じて受け入れる」は大幅に減少した。「受け入れない」や「限定的に受け入れる」は減少した。
⑤ 診療所医師とのチーム在宅医療への協力
診療所医師とのチーム在宅医療の協力については,「積極的に協力する」が大きく増加し,「必要に応じて協力する」は変化なく,「未定」が増加,「無回答」はゼロであった。