マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について

 12月2日に,すべての保険者において発行済みの健康保険証の有効期限が到来し,マイナ保険証を基本とする仕組みへと移行しました。
 マイナ保険証による資格確認を基本とした運用を行っていく上での留意事項について,従来からの内容と変更はございませんが,厚労省より通知がありましたので,お知らせします。

1 マイナ保険証への移行に向けた対応について
(1) 医療機関等の受付窓口の環境整備
 12月に全保険者において健康保険証の有効期限を迎えた際,これまでマイナ保険証を利用していなかった方々についても,マイナ保険証の利用が進むことが想定されます。こうしたときに,マイナ保険証にまだ不慣れな方が操作される場合なども含め,医療機関の窓口に設置された顔認証付きカードリーダーの利用に当たって患者の待機が生じることも考えられます。したがって,受付窓口における患者の動線や職員体制等についてあらかじめご確認いただくとともに,12月からはマイナ保険証か資格確認書を必ず持参いただくよう,あらかじめ患者に呼びかけるなど,マイナ保険証を利用される患者が増えても可能な限りスムーズに受付・受診等できる環境づくりをお願いいたします。なお,顔認証付きカードリーダーが正常に動作しない等の事象が発生した場合,最初に確認いただきたいことをまとめた簡単チェックシート(※1)を作成しておりますので,早急な復旧に向けた対応の観点でご利用下さい。
 また,顔認証付きカードリーダーの不具合発生時等に備えて,医療機関のモバイル端末等でマイナ保険証によるオンライン資格確認が行える仕組み(居宅同意取得型の活用)の導入も可能です。必要な改修への補助金(※2)もご利用いただけますので,これを機にご検討下さい。
 加えて,マイナ保険証のスマートフォンの読み取りに必要となる汎用カードリーダー等の購入についても補助金をご利用いただけますので,あわせてご検討下さい。

(2) 紙レセプト請求施設での対応
 紙レセプトでの請求が認められている,オンライン資格確認導入の義務化対象外施設における,健康保険証の経過措置期間終了後の資格確認については,①資格確認書か,マイナ保険証を持参した患者に対しては,②マイナ保険証とあわせて提示された「資格情報のお知らせ」か,③マイナ保険証とあわせて提示されたマイナポータルの資格情報画面のいずれかで行うことが基本となりますので,窓口でのご対応をお願いいたします。
 他方で,オンライン資格確認導入の義務化対象外施設であっても,希望される場合は,モバイル端末等でマイナ保険証による資格確認が行える簡素な仕組み(資格確認限定型)を任意で導入することが可能です。患者がマイナ保険証のみで簡便に受診・利用できるよう,資格確認限定型の導入についてご検討下さい。導入に要する費用の一部(モバイル端末等の購入費用の3/4,最大3.1万円)について補助(※3)を行っておりますので,是非ご活用下さい。

2 12 月以降の医療機関の窓口での資格確認の運用について
(1) マイナ保険証及び資格確認書について
 医療機関における資格確認は,マイナ保険証か資格確認書のいずれかにより行うことが基本となりますが,患者のマイナ保険証により有効な資格が確認できる場合には,追加でその他の資格確認書類を確認することは不要であるため,ご留意下さい。なお,限度額適用認定証情報についても,オンライン資格確認の結果として確認できた場合には,限度額適用認定証で所得区分を確認する必要はありません。(限度額適用・標準負担減額認定証も同様です。)
 なお,資格確認は,各月の初回のみに行うのではなく,受診の都度,行うことが原則であることについてご留意下さい。
 マイナ保険証をお持ちでない方には,健康保険証の有効期限が切れる前までに保険者から申請によらず資格確認書が交付されることとされております。資格確認書は昨年12月から保険者で発行できることとされていますが,ほとんどの場合では健康保険証からの切り替えに伴って交付されるため,12月から医療機関に資格確認書を持参して来られる患者も増えることが想定されます。資格確認書は,保険者の選択により,プラスチック・紙等の材質により,カード型・はがき型・A4型で交付されるほか,電磁的な方法で資格確認書が交付されることもありますので,その場合はスマートフォン等の画面に表示された資格確認書の内容で資格確認を行って下さい。
 また,患者が資格確認書を提示した場合には,患者の情報をオンライン資格確認等システムに照会することで券面に記載された保険資格の有効性が確認でき(※4),資格喪失後の受診を防ぐことができるため,医療機関へのレセプト返戻を防ぐ観点からも,受診・利用時にはオンライン資格確認をお願いいたします。

  • 保険者の異動が直近であった場合に,患者の直近の加入者情報がオンライン資格確認等システムに未反映となっている場合や,海外在住等により患者が個人番号を保険者に登録していない場合には,オンライン資格確認の結果「資格情報なし」と表示されることがあるため,その場合には資格確認書に記載された証交付年月日や有効期限等も踏まえ患者に状況の確認をお願いいたします。また,オンライン資格確認の結果「資格無効」と表示された場合には,患者の直近の加入者情報がオンライン資格確認等システムに反映されていないか,資格確認書に記載の保険資格が無効なため,最新の保険資格について患者に確認いただき,資格が喪失済みのまま受診することがないよう確認をお願いいたします。

(2) 移行期における暫定的な取扱い
 12月2日以降,期限切れに気がつかずに健康保険証を引き続き持参してしまった患者や,保険者から通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参する患者については,保険証等単体で有効なものとして取り扱うものではありませんが,加入している保険者によらず,保険給付を受ける資格を確認した上で適切に受診が行われるよう,被保険者番号等によりオンライン資格確認等システムに照会するなどした上で,3割等の一定の負担割合を求めてレセプト請求を行うこととする運用は,暫定的な対応として差し支えないと考えます。こうした対応は令和8年3月末までの暫定的な対応であり,次回以降の受診時にはマイナ保険証か資格確認書を必ず持参いただくよう呼びかけて下さい。

(3) オンライン資格確認の結果で「●」が表示された際などのレセプト請求
 オンライン資格確認の結果がレセコン等に表示された際,患者の氏名等の一部が「●」として表示される場合がありますが,文字を置き換えず黒丸表記のままでもレセプト請求が可能です。このほか,オンライン資格確認の結果で表示される患者の住所についても,「●」が含まれる場合や,記載がなく空欄になっている場合(※5),あるいは表示された住所と患者が窓口で申告した居所が異なる場合がありますが,医療機関に対して返却した資格確認結果に問題があるものではないため,これらの場合も保険者に確認することなくレセプト請求することが可能です。こうした「●」表示や住所不一致の場合に,患者から10割負担を求めるのではなく,3割等の一定の負担割合での支払を求めるよう,ご留意下さい。

  • このほか,患者がDVや虐待等の被害を受けており保険者でDVフラグが設定されている場合,住所欄が非表示となります。

(4) マイナ保険証で資格確認ができなかった場合のレセプト請求
 マイナ保険証でオンライン資格確認を行ったとき,何らかの事由によりマイナ保険証で資格確認ができない場合の対応や,その他の資格確認に関する情報については,医療機関等向け総合ポータルサイト(※6)からご確認下さい。なお,マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れている場合でも,期限後3か月間はオンライン資格確認を通じて患者の資格情報は確認できますので,通常の患者と同様に御対応ください。
 また,有効な資格を保有しているにもかかわらず,資格確認結果が「資格無効」となった場合には喪失済みの資格で,「資格情報なし」となった場合や,マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れて3か月が経過した場合等には不詳レセプトとして,患者に10割負担を求めることなく,3割等の一定の負担割合を求めた上で,それぞれレセプト請求を行うことが可能です。この方法は,患者がマイナ保険証を利用した場合に限られますのでご留意下さい。なお,喪失済みの資格で請求した場合には,レセプトの審査の時点で最新の資格が保険者から登録されていないと一度返戻となりますが,保険者から資格が登録された際にお支払いをしますので,再度請求をお願いいたします。
 また,不詳レセプトについては,マイナ保険証を利用した患者の資格が確認できず,請求先が分からない場合に限り,審査支払機関で資格の特定を行い医療機関に保険給付分をお支払いするという対応であり,マイナ保険証の利用時に喪失済みの資格が確認できた場合には,不詳レセプトではなく当該資格でレセプト請求をするようお願いいたします。なお,不詳レセプトについては,摘要欄への患者の連絡先の記載漏れ等の不備が多数見られ,この場合も一度返戻することになりますので,請求時には記載の不備がないかご確認下さい。

2025年12月15日号TOP