2025年2月1日号
国は医療DXを通じて①国民のさらなる健康増進,②より質の高い医療等の効率的な提供,③医療機関等の業務効率化など-を目指しており,オンライン資格確認や電子カルテ情報共有サービス,標準型電子カルテシステム,電子処方箋などの施策を進めています。
本号ではその1つである電子処方箋の概要をまとめましたのでご参照ください。
なお,電子処方箋の導入は義務ではありませんが,初診料の加算である「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つの要件となっています(令和7年3月31日までは経過措置あり)ので,導入の手順やマニュアル,補助金などの詳細は厚労省ホームページまたは医療機関等向け総合ポータルサイトをご覧ください。動画なども準備されています。
厚生労働省ホームページ「電子処方箋」
https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html
医療機関等向け総合ポータルサイト
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=ep_top
※以降,スライドはすべて厚労省作成のもの
電子処方箋は,複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の確認,それらを活用した重複投薬等チェックなどが行えるとされている。京都府内では,令和6年11月24日時点で医科診療所4.7%,病院1.3%,薬局56.5%が導入している状況である。
受付時
患者が処方箋の発行形態を選択。
診察時
医師は過去のお薬情報を参照するとともに,重複投薬,併用禁忌のチェックを行い,電子署名を行った上で処方箋を電子処方箋管理サービスに登録する。電子署名の方法は,①HPKIカードを用いる方法(ローカル署名)と②HPKIセカンド電子証明書を用いる方法(リモート署名)の2つがある(※)。
会計時
処方内容(控え)を渡して,患者が電子処方箋対応薬局で処方を受ける。
患者がマイナ保険証,資格確認書または健康保険証のいずれで受付した場合でも電子処方箋を選択できる。また,電子処方箋導入後も,処方箋の発行形態は従来の紙と電子の双方を任意で選択することが可能である。
<参考:Q&A>医療機関等向け総合ポータルサイトより抜粋
Q1.処方内容(控え)は患者に必ず渡す必要がありますか。
A1.患者は,マイナポータル上で処方内容や引換番号を確認できますが,マイナポータルを利用できない場合や,マイナポータルの閲覧に慣れていない場合には,処方内容(控え)をお渡しいただくようお願いします。
Q2.今後,処方内容(控え)は廃止されますか。
A2.処方内容(控え)の運用は,マイナポータル上で自身の処方内容を閲覧する患者の割合が一定の水準への到達等までの過渡的な措置と考えていますが,廃止時期等は未定です。
Q3.電子処方箋を選択した患者が,処方内容(控え)を紛失した場合でも調剤できますか。
A3.薬局での患者の受付方法(マイナ保険証/資格確認書又は健康保険証)によって異なります。
Q4.電子処方箋を発行した後に,患者都合等で紙の処方箋に変更することはできますか。
A4.一度,電子処方箋管理サービスに登録した電子処方箋の取消処理を行った上で,紙の処方箋を発行することで変更できます(電子処方箋管理サービス上に登録した紙の処方箋から電子処方箋に変更する場合も同じです)。
なお,電子処方箋を紙処方箋に変更する際,処方内容(控え)をすでに患者に渡している場合は回収してください。
Q5.患者が電子処方箋を選択した場合,医療機関が電子処方箋対応の薬局に電子処方箋を送付するのですか。
A5.医療機関が薬局に電子処方箋を送付することはありません。
患者が,電子処方箋に対応する任意の薬局に行き,マイナ保険証または,資格確認書と引換番号,もしくは有効な健康保険証と引換番号で受付することで,薬局が資格確認及び電子処方箋の取得を行い,調剤します。なお,現行同様,患者が薬局での待機時間を短縮するため,薬局に処方内容(控え)をFAX,メール等で送付し,引換番号等を事前に連絡することで,来局前に薬局側で電子処方箋を電子処方箋管理サービスから取得することも可能です。
Q6.電子処方箋に対応できる薬局は患者自身で探すことはできますか。
A6.電子処方箋対応薬局および電子処方箋のリフィル処方箋を調剤可能な薬局は,患者自身で探していただくことが可能です。
厚生労働省等のHPから,ご確認いただくことができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_taioushisetsu.html
Q7.医療機関で電子処方箋を選択した患者が電子処方箋非対応の薬局に来局した場合,調剤はできますか。
A7.電子処方箋非対応の薬局で電子処方箋の受付及び調剤を行うことはできないため,電子処方箋に対応する薬局に行く必要があります。なお,電子処方箋でリフィル処方箋を発行した場合は,患者は電子処方箋対応かつ電子処方箋でリフィル処方箋の調剤が可能な薬局に行く必要があります。
患者が医療機関で処方箋の発行形態を選択する際に,周辺のどの薬局が電子処方箋に対応しているか,また電子処方箋対応の薬局を検索する方法が分かる周知物を用意していますので,ご活用ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_sozai.html
Q8.患者が電子処方箋を選択した場合,電子処方箋に対応する薬局に行く必要があるとのことですが,特定の薬局への誘導にあたらないでしょうか。
A8.電子処方箋は各医療機関・薬局の判断で導入することができ,患者自身も電子処方箋と紙の処方箋を選択することができるため,直ちに特定の薬局の誘導にあたるわけではありません。
Q9.疑義照会を通して,処方内容と異なる内容で調剤された場合,医療機関側で電子処方箋管理サービス上の処方内容を修正する必要はありますか。
A9.現行運用同様,処方箋自体を書き換えるわけではないため,医療機関側が電子処方箋管理サービス上のデータを修正する必要はなく,電子カルテシステム上の修正のみ行ってください。
薬局が備考欄に疑義照会結果を記載の上,変更を反映した調剤結果を作成し,電子処方箋管理サービスに送信します。
その上で,重複投薬等チェック等においては,調剤結果のデータを活用することになります。
Q10.電子カルテシステムや電子薬歴システムを導入しておらず,レセプトコンピュータで処方箋発行や受付を行っているのですが,電子処方箋を導入することはできますか。
A10.電子処方箋に対応するシステム・ソフトウェアに制限は設けていないため,レセプトコンピュータでも電子処方箋に対応できます。
ただし,レセプトコンピュータメーカーによっては対応していない可能性もあるため,まずはシステム事業者にお問い合わせください。