学術講演会における「確認問題」

京都消化器医会 定例学術講演会
とき:5月 10 日(土)  ところ:京都府医師会館 + WEB 配信

「慢性便秘症診療の現状とこれから」

川西市立総合医療センター 総長 三輪 洋人 氏

設問 1  慢性便秘症と関連する疾患にはどのようなものがあるか述べよ。

解答 1   ・心血管病変(虚血性心疾患や脳卒中)
・糖尿病
・慢性腎疾患
・パーキンソン病

設問 2  酸化マグネシウム(MgO)使用時の高 Mg 血症リスク因子にはどのようなものがあるか述べよ。

解答 2   ・高齢(65 歳以上)
・腎機能障害(eGFR55 以下,BUN22 以上)
・酸化 Mg 処方量多い(1.65g/日以上)
・長期間の処方(36 日以上)
・便秘(排便回数減少)

京都内科医会 定例学術講演会
とき:5月 17 日(土)  ところ:京都府医師会館 + WEB 配信

「逆流性食道炎の最新診療 -理論と実践-」

兵庫県立はりま姫路総合医療センター 院長 木下 芳一 氏

設問 1  食道粘膜にびらんを形成する疾患をすべて選べ。
a.逆流性食道炎
b.扁平苔癬
c.ベーチェット病
d.ダビガトラン内服にともなう食道粘膜傷害
e.天疱瘡

解答 1   a,b,c,d,e

設問 2  逆流性食道炎の軽症型と重症型を比較し,重症型の特長として正しいものをすべて選べ。
a.高齢者に多い。
b.free reflux や stress reflux が逆流の原因として多い。
c.夜間の胃酸逆流が多い。
d.出血合併症を起こすリスクが高い。
e.自覚症状は軽微なことが多い。

解答 2   a,b,c,d

設問 3   逆流性食道炎の治療で用いられないものをすべて選べ。
a.食事療法,生活指導
b.胃酸分泌抑制薬の投薬
c.嚥下用局所作用ステロイド
d.内視鏡治療
e.腹腔鏡手術

解答 3    c

DM Network Meeting
とき:5月 21 日(水)  ところ:WEB 配信

「当院における糖尿病診療」

京都市立病院糖尿病代謝内科 医長 安威 徹也 氏

設問 1  糖尿病について正しいものを2つ選べ。
① 合併症予防のために HbA1c7.0% 未満を目安にコントロールする。
② 合併症は一般的に神経障害,腎症,網膜症の順に発症する。
③ 厚生労働省によれば,2019 年時点で糖尿病が強く疑われる者は約 2,000 万に達する。
④ 糖尿病足潰瘍の発症率は 0.03% で,切断率は 0.01% である。
⑤ 糖尿病足病変は神経障害や末梢動脈疾患と関連して糖尿病患者の下肢に生じる感染,潰瘍,足組織の破壊性病変である。

解答 1   ①,⑤

設問 2  糖尿病足潰瘍について正しいものを2つ選べ。
① 足潰瘍の多くは ASO が母体となっている。
② 男性よりも女性に多い。
③ 足の変形が足潰瘍形成の誘因となる。
④ 病変から想像されるよりは疼痛は軽いことが多い。
⑤ 下肢切断後の5年後の死亡率は大腸癌に匹敵する。

解答 2   ③,④

第 23 回 京滋 IBD コンセンサスミーティング
とき:5月 24 日(土)  ところ:ホテルグランヴィア京都

「潰瘍性大腸炎で広がる治療の選択肢 〜サイトカインプロファイルから考える難治例も含めて〜」


東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科 主任教授 猿田 雅之 氏

設問 1  潰瘍性大腸炎の治療目標と配慮すべき事項を述べよ。

解答 1   ① 内視鏡的粘膜治癒を達成することが現在の治療目標である。
② 粘膜治癒に加え組織学的治癒を達成するとより再燃を予防できる。
③ 全身に腸管外合併症を起こすことがあるので注意する。
④ 慢性炎症が持続すると Dysplasia から大腸がんの併発を認めることが有り,注意が必要である。

設問 2  潰瘍性大腸炎治療の基準薬は何か。またその特徴を述べよ。

解答 2   ① 潰瘍性大腸炎の基準治療は,5-ASA 製剤である。
② 5-ASA 製剤には,その散布形式から,時間依存型,pH 依存型,腸内細菌の分解型に分類される。
③ 5-ASA 製剤の服薬時には,不耐症がないか確認が必要である。
④ 5-ASA 製剤の継続は,再燃と潰瘍性大腸炎関連発癌を予防する。

設問 3   潰瘍性大腸炎の治療薬 JAK 製剤の特徴を述べよ。

解答 3   ① 細胞内伝導路(シグナル経路)を遮断する。
② 多くのサイトカインの効果を同時に抑制することができる。
③ 効果発現が早く,二次無効を起こしにくい。
④ 低分子化合物であるので血液移行が良いが,ときに予期せぬ臓器に対する作用(Off-Target 効果)発現には注意が必要である。

設問 4   潰瘍性大腸炎の治療薬抗 IL-23p19 抗体の特徴を述べよ。

解答 4   ① 有意な有効性は4週目から認められる。
② 先進的治療の未治療例,抵抗例のいずれにも有用性を示す。
③ 維持療法期(皮下投与期)の効果減弱時には,再度点滴静注による強化療法が可能である。
④ 重篤な副作用がプラセボと比較し,高くないことが示されている。

2025年7月1日号TOP