2025年5月1日号
8カ所の地区医(サテライト会場)へ中継
府医は,3月1日(土),令和6年度京都府医師会産業医部会総会を府医会館(3F,2F)と8カ所のサテライト会場で開催。総会の出席者は府医会館118名,サテライト会場の西京医師会7名,東山医師会5名,伏見医師会9名,相楽医師会14名,福知山医師会13名,舞鶴医師会5名,与謝医師会7名,北丹医師会7名の合計185名。
開会挨拶で,府医産業医部会長の松井府医会長は,50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの義務化を進める動きについて,「大きな課題と捉え,京都産業保健総合支援センターと連携の上,その実施体制のあり方も含めて検討していかなければならない」との考えを示した。また,日医では会員情報システムMAMISの運用が開始され,今後,日医認定産業医制度は,資格の新規および更新申請,産業医研修会の申し込み,単位の付与・確認等がMAMIS上で行われることにより,手続きの省力化が期待されると説明した。
続いて,角南京都労働局長の代理として小笠原労働基準部長から祝辞をいただいた。
「令和6年度産業医部会事業報告」では,森口府医産業保健担当理事から令和6年度の産業医部会幹事会,正副幹事長会,産業保健委員会の活動および研修会の開催実績について説明。
その後,講演「労働安全衛生行政の動向と課題」では,京都労働局健康安全課・高塚課長から,第14次労働災害防止推進計画の概要と高年齢労働者の労働災害防止対策の進捗状況を報告いただくとともに,労働者の健康確保対策の推進,化学物質等による健康障害防止対策の進捗状況について説明がなされた。
特別講演では,慶應義塾大学の大前和幸名誉教授に「我が国で発生した最近の産業中毒・自律型化学物質管理下での産業医」と題し講演いただいた。大前氏は,なぜ「会社のお医者さん」ではなく「産業医」という特別な名称なのかという点について,産業医の最優先業務は,その専門性に即し,労災に直結する業務起因性疾患(対個人および集団)の予防・早期発見と措置であるとし,医学教育の範囲外ではあるが,産業医として求められる最重要スキルであるとの説明がなされた。また,オゾン層破壊物質代替品による健康障害や難溶性インジウム化合物による肺障害などの事例を紹介するなどリスクアセスメント対象物質健康診断や化学物質自立管理に際し求められる産業医像が示された。最後に,化学物質を製造・使用する事業所と化学物質管理を無視できる事業所では,産業医の仕事と要求されるスキルのレベルに差があるとの見解が示され講演は締めくくられた。