2025年11月1日号
平成27年10月の制度施行から10年が経過した。
本制度では,すべての医療機関において,医療に起因した予期しない死亡事案が発生した際には迅速かつ適切な対応が求められている。府医が中心となり設立した「京都府医療事故調査等支援団体連絡協議会」では,当該医療機関における医療事故調査への支援を適切に行えるよう,また,制度のさらなる熟知のため,医療事故調査等支援団体(以下,「支援団体」という)として,制度発足当初より取組んできた。
日本医療安全調査機構の報告書(2024年)によると,都道府県別での報告件数(人口100万人あたり)では,京都府は「4.8件」で,宮崎県と並んで全国1位であった。全国的にも制度が十分に熟知されていない状況の中,京都府では医療機関の理解が少しずつ進んでいるものと思われる。
本稿では,これまでの京都府医療事故調査等支援団体連絡協議会での取組み状況(2025年9月末現在)を報告する。
1.都道府県別人口 100 万人あたりの医療事故発生報告件数(2024 年度)
2.京都府における報告件数
京都府では,協議会に支援要請があった件数は 111 件であった。内訳では,病院が 108 件,診療所が3件。
2-1.診療科別(総数:111 件)
診療科別では,内科系では「循環器内科(11 件)」,「消化器内科(13 件)」が多く,外科系では「消化器外科(11 件)」,「心臓血管外科(12 件)」,「整形外科(8件)」,「産婦人科(8件)」であった。その他,「呼吸器内科(7件)」,「呼吸器外科(7件)」,「脳神経外科(7件)」。
2-2.外部専門委員の派遣実績
協議会では,これまで延べ 191 名の外部委員を派遣してきた。京都では,初めて事故調査を経験する医療機関には,必ず「医療安全の専門家」を派遣し,委員会がスムーズに運営できるよう支援してきた。
2-3.病床規模別(総数:111 件)
病床規模別でみると,500 床以上の医療機関からの報告が70 件(63%)を占めている。病床数が多くなればなるほど,報告対象となる死亡事案も増える傾向にある。
2-4.病理解剖・AI の実施状況(総数:111 件)
協議会で支援してきた111 件のうち,病理解剖・Ai を実施していたのは46%であった。