2026年2月1日号
令和8年度診療報酬改定率が決定したことを受けて,厚生労働大臣は1月 14 日,中医協総会に令和8年度診療報酬改定の諮問書を提出。同日の総会に「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」を示すとともにパブリックコメントを募集した。医療現場や患者等国民から集まった意見も踏まえ,骨子をもとに中医協でより具体的な議論が行われている。
「議論の整理」では,これまでの物価高騰を踏まえ,初・再診料,入院基本料について必要な評価を行うとし,さらに令和8年度・令和9年度におけるさらなる高騰に対応する観点から,医療機能を踏まえた物価高騰に対応した新たな評価を行うとされている。外来診療については,かかりつけ医機能に係る評価に関連して,機能強化加算や生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の見直し,特定疾患療養管理料の対象疾患の要件の見直し,地域包括診療加算等の対象患者や要件の見直しなどが示されている。また,後発医薬品の処方に係る評価体系を見直す一方,不安定な供給状況への追加的な業務を新たに評価するとされている。さらに,長期収載品の選定療養費の患者負担の見直しや,残薬確認,長期処方,リフィル処方に関連して処方箋様式を見直すことが示されている。
入院医療については,急性期病棟において,看護職員や他の医療職種が協働して病棟業務を行う体制を新たに評価することや,救急搬送の受入や手術等の病院の機能に着目した施設基準を設け,体制整備も含めた新たな評価を行うとされている。
中医協ではこれらの項目に基づいた議論を経て,2月中旬を目途に答申する予定である。
前述のごとく,厚労省は,広く国民からの意見を踏まえた上で,幅広く議論を進めるという観点から,「議論の整理」についてパブリックコメントを募集したが,府医としては,各地区医・専門医会宛に全体の内容およびパブリックコメントの提出要項をお知らせするとともに,内容を検討の上コメントの提出を依頼した。
「議論の整理」は下記のとおり。
令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(抜粋)
Ⅰ 物価や賃金,人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応
Ⅰ-1 医療機関等が直面する人件費や,医療材料費,食材料費,光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応
Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組
Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善
Ⅰ-2-2 業務の効率化に資する ICT,AI,IoT 等の利活用の推進
Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング,チーム医療の推進
Ⅰ-2-4 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策
Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化
Ⅱ 2040 年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保,地域包括ケアシステムの推進
Ⅱ-1 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価
Ⅱ-1-1 患者のニーズ,病院の機能・特性,地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備
Ⅱ-1-2 人口の少ない地域の実情を踏まえた評価
Ⅱ-2 「治し,支える医療」の実現
Ⅱ-2-1 在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等)を担う医療機関の評価
Ⅱ-2-2 円滑な入退院の実現
Ⅱ-2-3 リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進
Ⅱ-3 かかりつけ医機能,かかりつけ歯科医機能,かかりつけ薬剤師機能の評価
Ⅱ-4 外来医療の機能分化と連携
Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院の外来患者の逆紹介の推進
Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
Ⅱ-5-1 地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関・薬局の評価
Ⅱ-5-2 重症患者等の様々な背景を有する患者への訪問看護の評価
Ⅱ-6 人口・医療資源の少ない地域への支援
Ⅱ-7 医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための取組
Ⅱ-7-1 業務の効率化に資する ICT,AI,IoT 等の利活用の推進(再掲)(Ⅰ-2-2を参照)
Ⅱ-7-2 タスク・シェアリング/タスク・シフティング,チーム医療の推進(再掲)(Ⅰ-2-3を参照)
Ⅱ-8 医師の地域偏在対策の推進
Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進
Ⅲ-1 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価
Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進
Ⅲ-1-2 医療安全対策の推進
Ⅲ-2 アウトカムにも着目した評価の推進
Ⅲ-2-1 データを活用した診療実績による評価の推進
Ⅲ-3 医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価
Ⅲ-3-1 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推進
Ⅲ-3-2 外来,在宅医療等,様々な場面におけるオンライン診療の推進
Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進
Ⅲ-4-1 発症早期からのリハビリテーション介入の推進
Ⅲ-4-2 土日祝日のリハビリテーション実施体制の充実
Ⅲ-5 重点的な対応が求められる分野への適切な評価
Ⅲ-5-1 救急医療の充実
Ⅲ-5-2 小児・周産期医療の充実
Ⅲ-5-3 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価
Ⅲ-5-4 質の高い精神医療の評価
Ⅲ-5-5 難病患者等に対する適切な医療の評価
Ⅲ-6 感染症対策や薬剤耐性対策の推進
Ⅲ-7 口腔疾患の重症化予防等の生活の質に配慮した歯科医療の推進,口腔機能発達不全及び口腔機能低下への対応の充実,歯科治療のデジタル化の推進
(略)
Ⅲ-8 地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切な評価,薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化
(略)
Ⅲ-9 イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等
Ⅳ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
Ⅳ-1 後発医薬品・バイオ後続品の使用促進
Ⅳ-2 費用対効果評価制度の活用
Ⅳ-3 市場実勢価格を踏まえた適正な評価
Ⅳ-3-1 医薬品,医療機器,検査等に関する,市場実勢価格を踏まえた適正な評価/効率的かつ有効・安全な利用体制の確保
Ⅳ-4 電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進
Ⅳ-4-1 重複投薬,ポリファーマシー,残薬,適正使用のための長期処方の在り方への対応
Ⅳ-4-2 医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使用の促進
Ⅳ-4-3 医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の推進
Ⅳ-4-4 電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推進(再掲)
(Ⅲ-3-1を参照)
Ⅳ-5 外来医療の機能分化と連携(再掲)
(Ⅱ-4を参照)
Ⅳ-6 医療 DX や ICT 連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価(再掲)
(Ⅲ-3を参照)