2026年3月1日号
亀岡市医師会,船井医師会と府医執行部との懇談会が1月 10 日(土),ガレリアかめおかにて開催され,亀岡市医師会から 13 名,船井医師会から8名,府医から 15 名が出席。「OTC 類似薬保険適用除外の可能性」,「適切な保険診療のあり方」,「地区医師会の高齢化の現状」をテーマに議論が行われた。
※この記事の内容は,開催日時点のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。
OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しは,財政制度審議会(以下,「財政審」という)の「春の建議」において,セルフメディケーション推進策の1つとして打ち出され,その後,三党合意の文言が反映される形で「骨太の方針2025」に記載されたものである。
現時点で,一律に薬価基準から削除して保険適用除外とする案は削除され,保険の枠組みには入れた上で,別途の保険外負担を求める仕組みを創設し,来年度中に実施するとしている。薬価の4分の3には従来どおり保険を適用し,残る4分の1は特別の料金として全額負担を求めるイメージである。まずは77成分(約1,100品目)を対象として,2027年以降,対象薬剤のさらなる拡大と薬剤費の負担割合の引上げを検討する方向性が示されている。今後,対象成分も含めた具体的な品目や配慮が必要な人の精査・検討とともに,健康保険法等の改正も視野に入れて,保険外併用療養費制度の中に選定療養と異なる新たな仕組みを創設する方針で,新ルールでは「特別の料金」を徴収した場合,「長期収載品の選定療養」は適用しないことが想定されている。
厚労省が示した資料では,特別の料金を求めない「配慮が必要な者」として,子ども,がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方,低所得者,入院患者,医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等が列記されており,対象医薬品の範囲や長期使用等の医療上の必要性を判断する考え方については専門家の意見を踏まえ,技術的な検討を行うべきとしている。
OTC類似薬の保険適用除外は一旦見送られる形となったが,自民党と日本維新の会との合意が難航した経過があり,最終的に日本維新の会が今後の保険適用除外を追及する姿勢を示すことで自民党が同調し,折り合いがつけられたため,引続き注視していく必要があると考えている。
今回のOTC類似薬の保険適用見直しに係る議論の根底には,財務省等の「大きなリスクは共助中心,小さなリスクは自助中心」として,生死にかかわる治療のみを重視し,財務省が考える“低価値医療”を保険から外す考えがある。日医は「診療所においても患者の日常生活を支え,幸せな人生を送るために必要な診療を行っており,これを“低価値”として軽視するのは不当である」と強く反発している。ご指摘のとおり,OTC類似薬の保険適用除外によって,医療機関の受診控えによる健康被害,自己負担額の増加,薬の不適切な使用などが懸念され,誤った自己判断による重症化や重大疾患の見落としのリスク等も潜んでいるという本質的な問題をしっかりと国民に伝えていく必要がある。
診療報酬が物価高騰等に追い付かず,医療機関の経営状況が厳しさを増す中,営利企業によるサービス付き高齢者住宅で訪問看護を利用した報酬の不正請求事例等が発生しており,貴重な保険財源を守るためには,こういった悪質な事業者を医療現場から排除することが優先度の高い取組みであるとご指摘いただいたが,同様のケースは全国的に問題視されており,府医としても由々しい問題だと考えている。
府医にて同様のケースを事前に把握することは困難ではあるが,昨今のサ高住等の不適切な運用も含めて,府内の他の地区からも情報提供いただき,問題意識は共有している。こうした不正請求に対して,厚労省も厳しく対応していく姿勢を示しており,次期診療報酬改定でも適正化が行われる見込みである。ただし,診療報酬改定に際しては,不適切な事業者を排除するための点数の引下げや要件の見直しが,結果的に在宅医療に真摯に対応している医療機関にも影響を及ぼすことがあるため,慎重な議論が必要と考えている。
行政の指導への対応として,医療機関を対象とした近畿厚生局京都事務所と京都府の指導において,例えば不正請求等が疑われる際に行われる個別指導には,必ず府医の役員が立ち会い,必要に応じて意見を述べている。個別指導等で指摘の多い内容は,昨年までの保険医療懇談会にて,「個別指導等における指摘事項」として紹介し,適正な保険診療・請求について啓発してきたところである。医療類似行為についても,様々な機会通じて会員の先生方に同意書の交付に際して留意すべき点を説明しており,診察に基づいて必要な同意書の作成を心掛けていただきたいと考えている。
過剰診療について,例えば検査などは患者の個々の症状・所見に応じて,段階を踏んで行っていただく必要があり,スクリーニング的に一度に多くの検査を実施することは不適切と考える。一方で,集団的個別指導の対象となる高点数について,医療機関の専門性や高額な薬剤を使用する場合など,高点数となる理由は多様であり,「高点数=悪」ではないことから,集団的個別指導の対象となったことで萎縮診療になる必要はないと考えている。
サ高住等による利用者の「囲い込み」の問題については,財政審においても,介護報酬の仕組み上,サ高住等の提供事業者が自ら介護サービスを提供するよりも,関連法人が外付けで介護サービスを提供した方がより多くの報酬を得ることができるという構造に囲い込みや過剰サービスの原因があるとし,さらには外付けで介護サービスを活用する施設の方が家賃等が安い傾向にあるため,安い入居者負担で利用者を囲い込み,関連法人による外付けサービスを活用した介護報酬で利益を上げるビジネスモデルが成立していると指摘されている。また,住宅型有料老人ホームやサ高住の多くが併設または隣接の介護等事業所を有しており,関連法人の居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプランを作成してもらうことを入居要件としている施設も一定数見られることが示されている。
有料老人ホームやサ高住の運営に関して,「入居者が医療機関を自由に選択することを妨げないこと」,「入居者が希望する介護サービスの利用を妨げないこと」という規定はあるものの,遵守されていない状況がある。地方公共団体としても,ケアマネジャーの選択や介護保険サービスの選択にあたって入居者の自由が阻害されていることや,過剰なサービスが提供されているという課題を認識しながらも,疑いはあるものの証拠や事実確認ができず,客観的な判断が難しいため,行政指導や処分を行う根拠が乏しい場合があるとしている。
厚生労働省の「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」では,有料老人ホームの指導監督や,囲い込み対策のあり方等についても議論が行われており,今後,これらの問題に対する対応が示される可能性がある。中医協においても,訪問看護療養費請求書の1件あたりの平均額が高い訪問看護ステーションに対して選定基準を設けるよう,個別指導の見直しが議論されるなど,国も問題を認識し,対応が検討されているところである。有効な対応策が示されるよう今後の議論を注視していきたいと考えている。
〜意見交換〜
その後の意見交換では,サ高住については国土交通省の管轄であるため,どこまで事業者へ有効な指導等が可能か疑問であるとの意見が挙がったほか,府医からは,患者が不幸な転帰にならないよう,かかりつけ医から信頼のおける事業者や施設を紹介するなど,面としてのかかりつけ医機能を発揮できるよう,顔の見える関係で地域の医療・介護関係者との連携を深めることが唯一の対応策であるとの考えを示した。
地区での新規開業が少なく,会員の高齢化により,地区医内で学校医や学校産業医,介護認定審査会委員の推薦が困難になってきているという切実な問題であるが,介護認定審査会委員の推薦については,京都市内の他の地区からも推薦が難しいとのご相談をいただいており,京都市とも協議を続けている状況である。ただ,介護保険制度は国の制度であり,根本的な部分は京都府内だけで解決できる問題ではないため,可能な範囲での対応を検討していきたいと考えている。具体的には医師の出務回数,あるいは人数を減らすのか,その地域ではどういった形がよいのかを,まずは依頼元である市町村にご相談いただくことが重要と考えている。
府立学校の学校医および学校産業医の推薦については,当該地区でどうしても推薦が難しい場合,府医事務局にご相談いただき,近隣の地区にご協力を仰いで対応しているが,その対応も限界を迎えつつある。府医としては,学校保健に関して医師が主導的な立場を担うべきと考えているが,学校医にとって大きな負担となっているのが学校健診である。全国を見ると,学校医とは別に健診事業者を選定し,学校医と学校健診を分ける動きも出てきている。学校医から健診事業を切り離すことで,1人の医師が複数校を兼務して学校保健に関する責任的立場を負うことが可能となっている。今後,京都府でも同様のスキームを検討していく必要があると考えている。
学校医や学校産業医,介護認定審査会委員に限らず,今後,医師の減少や過疎化によって様々な問題が生じることを想定し,府医では今期から地域医療対策委員会を立ち上げ,府内で起こっている問題を共有しながら,今後の対応を検討していきたいと考えている。地区医で起こっていることを府医にご教示いただき,同様の問題が起こっている府内の各地域にフィードバックしていけるようになればと考えている。
〜意見交換〜
その後の意見交換で府医は,これまで何年にもわたって医師会が行政からの推薦依頼に真摯に対応してきたが,これまでとは状況が変わり,推薦が困難になってきていることをまずは行政に認識していただくことが重要であると指摘。近隣の地区医に推薦の協力を依頼するにも限度があるため,「医師会に依頼すれば何とかなる」という行政の認識を改め,問題共有する必要があるとした。当該地区医からの推薦が難しく,行政から府医に相談があった場合,府医としても推薦する医師を広く会員に公募することになり,例えば,京都市内から市外の地区へ出務するとなると,出務に係る時間や交通費を考慮すると,地区内からの出務と同条件では難しいことから,委託料についても当該地区医と一緒に行政との交渉が必要になる等,具体的な方法について言及した。
最後に,今後,他の地区でも起こりうることであり,医師不足,人口減少の中にあっても医療をともなう行政サービスを継続しなければならないことから,まずは一義的な責任を負う行政と問題意識を共有し,同時に医師会としても可能な対応を検討していく必要があるとした。
初・再診料の加算や生活習慣病管理料と他の点数の併算定の可否等について整理し,算定にあたっての留意点を説明するとともに,算定漏れを防ぐなど適正な運用により健全な医業経営を呼びかけた。また,療養費同意書の交付(マッサージ,はり・きゅう)に関する留意点を解説し,慎重な判断と適切な同意書の発行に理解と協力を求めた。