2026年3月1日号
京都府医師婦人会 伏見地区 加藤 由紀子
2026年1月24日,京都ブライトンホテルにて総勢64人が集い,新年会が行われました。
数日前より,日本は今季最大の寒波に見舞われ,京都でも小雪のチラつく日が続いておりました。そのためか,当日は洋装でご参加の方が,いつもより多く見受けられました。
会は新屋会長の挨拶から始まりました。新年の挨拶,外は吹雪であること,70周年の御礼ならびにテーマであった縁を大切にし,絆を深め会の存続を願っていること,本日の南米音楽の演奏会にちなみ,ペルーにある七色に輝くレインボウマウンテンにあやかった色合いの着物で来たことなど話されました。
そして,きしもとタロー氏が3人のお仲間を連れて登場されました。様々な縦笛,古い弦楽器を演奏されるきしもと氏,バイオリンを演奏される熊澤洋子氏,ギターを適奏される千葉泉氏,コントラバスを演奏される宮坂洋生氏の4人です。
きしもと氏の肩書は,「辺境音楽演奏家」となっておりますが,この「辺境」とは国の端っこという意味で,文明の発達していない辺境に残る古い音楽を発掘し,演奏する活動を続けておられます。南米アンデス山岳地域の伝承音楽をはじめ,ケルト文化圏やアジア諸地域などの多様な音楽文化に触れながら,研究のみならず,作曲活動にも取組んでおられます。
本日は,まずは世界各地の音楽をということで,アイルランドに残る古い曲(飲んだくれの厄介者が村を追い出される時,初めて故郷の良さを思い知る曲),旧ユーゴスラビアの大勢が集まり踊って楽しむ曲,バイオリンだけで演奏される100年前の曲,スペインのバスク地方の曲の4曲がメドレーで遠奏されました。1曲目は,バイオリンが低音を奏で,笛は草原を渡る鳥を思わせ,2曲目はウキウキするようなリズミカルな曲でした。
続いて,いろいろな縦笛を紹介していただきました。ルーマニアやハンガリーの羊飼いの杖が笛となり,羊を誘導したり仲間との合図に使われ,「魔法の杖」と思われていたそうです。そのルーマニアの最古の笛「ティリンカ」は指孔のない50cm位の縦笛で,筒先を指で開け閉めし,また息の圧力で演奏します。カン高い音がしました。また,「フヤラ」はスロバキアで使われる「ヨーロッパの笛の女王」と呼ばれる巨大な笛で1m70cm~2mの長さがあり,下50cm位の所に3つの穴があけられています。この穴は霊力が失われるので必ず機械を使わず手で開けなければならないそうです。スロバキアでは,新年の始めにこれを吹き,邪気を払うそうです。音は筒の上から出ており,濁った感じの「ブワーン,ブワワワーン」,「プープププー」といった音が出ました。きしもと氏が巨大な笛の由来を尋ねると,「昔の人は大きかったから」と言われたそうです。次に東ヨーロッパ,モルドバ地方の「カヴァル」は60cm位の縦笛で,5つの孔があり,3つの音色(普通,尺八様の音,2つを合わせたもの)があります。中近東の雰囲気の音がしました。
続いて「コボズ」(Kabz)という琵琶に似た弦楽器の説明がありました。モルドバ地域で使われる楽器で,4本の弦が末広状に張られ,弦の張られた平面には太陽を模した切り込みの模様とともに三角形の切り込みの穴があるます。その穴は,演奏を聴いた人がチップを入れる穴だと言われ,冗談だと思ったら本当の話だったそうです。また,この楽器は竹のへら状のピックで弾くのですが,きしもと氏はいろいろ試した結果,ウィルキンソン炭酸水のペットボトルで作ったものが最適とわかり,それを手造りし,使っているそうです。そのコボズを用いて,トランシルヴァニア地方の「ブラータ」という曲が演奏されました。この「ブラータ」は村外不出の曲で,村の若者の恋を成就させるための曲,ダンスをしながら愛を深め,最後に「ジャン」で互いに抱擁して終わる情熱的な曲です。現地では4~8時間ぶっ通しで演奏されるそうです。
次に南米のボリビア,ペルーの舞踊曲を演奏していただきました。ボリビアの「クエッカ」,「コンドルは飛んでいく」の元曲,ベルーの「マリネラ」をケーナを用いて演奏されました(ケーナはきしもと氏お手製の竹でできた50cm位の縦笛です)。
どの曲も皆で楽しむための曲で,皆さんのテシショトも上り,「アンコール」の声がかかりました。先生は,「日本には手を繋いで踊る踊りが無く,手を繋ぐ踊りを広めたいと思っている。だからアンコールを弾くので,ぜひ皆さんに踊ってほしい」と提案されました。熊澤洋子氏の指導のもと出席者のほとんどの方が立ちあがり,手を繋ぎ大きな輪となって前に3歩,後ろに3歩の踊りを踊りました。演者の方々,出席者の皆様,みんな笑顔の中,演奏会は終わりました。
祝宴は森岡香朱様による乾杯の発声で始まり,しばらく休館になるブライトンホテルの美味しいお食事を名残惜しく楽しみました。食事中もギターの千葉氏が,サプライズで南米の邪気払の曲とペルーの曲を歌って下さり,皆様の手拍子も加わり,大いに盛り上がりました。本当に笑顔いっぱいの明るく楽しい新年会となりました。