2026年3月15日号
2026 年1月から開始された「かかりつけ医機能報告制度」は,単なる行政手続きの追加ではありません。地域医療における各医療機関の役割を広く社会に示す,重要な機会です。
2014 年の病床機能報告から始まった医療提供体制の可視化は,今や外来医療にも広がっています。約10 年にわたる政策議論を経て施行されるこの制度の背景には,「地域を面で支える医療」の実態を示してほしいという,国からの問いかけがあります。
制度への積極的な参加は,私たちが日々取組んでいる地域医療の価値を客観的に示すとともに,将来の医療提供体制のあり方を自らの声で形作っていくための大切な一歩となります。
報告率が低ければ,かかりつけ医の普及を名目に,かかりつけ医の制度化や登録制,診療報酬の包括化等への議論が再燃する可能性があります。すべての医療機関が自らの機能を報告し,地域医療を正確に可視化することにより,実態に即したかかりつけ医機能が発揮される制度設計につながります。
事務負担を心配される先生も多いかと思いますが,本制度は日々の診療で行っていることを整理して報告するものであり,特別な準備は基本的に必要ありません。
報告する主な機能は以下のとおりです。
本制度は広く実態を把握することを目的としており,ありのままの状況を報告していただければ問題ありません。
個々の医療機関の専門性は,地域のネットワークと組み合わさることで,より強固な地域医療体制となります。今回の制度整備により構築される「医療情報ネット(ナビイ)」は,地域医療の全体像を患者・住民に分かりやすく伝えるためのプラットフォームです。
これは受療行動を制限するものではなく,患者が自分に合った医療機関を選びやすくなる環境を整えるものです。私たちが地域全体で医療を支えている実態を広く示すことが,地域住民の安心にもつながり,ひいては不要な制度介入を防ぐことにもなります。
本制度は医療法に基づく報告義務であり,報告を行わない場合は都道府県知事からの「指導」,「勧告」,さらには医療機関名の「公表」といった対応がとられることがあります。自院の信頼を守るためにも,期限内に是非報告してください。
また,施行後5年での制度見直しが予定されており,この間の報告状況や研修の普及状況が今後の制度設計に直接影響します。報告率が低ければ要件の厳格化につながりかねず,丁寧な報告の積み重ねが,より実態に即した制度の継続に資することを,ぜひご認識ください。
会員の先生方が広くご参加くださり,高い報告率を達成することは,地域医療における各医療機関の存在意義を社会と行政に対して示す,力強いメッセージとなります。
今回の報告は,私たちが日々積み上げてきた地域医療への貢献を,次の世代へとつないでいくための取組みでもあります。一人の漏れもなく,先生方の積極的なご参加を,どうぞよろしくお願いいたします。