「災害時の情報伝達」,「MAMIS の運用」について議論

 西京医師会と府医執行部との懇談会が1月 23 日(金),府医会館にて開催され,西京医師会から 11 名,府医から9名が出席。「災害時の情報伝達」,「MAMIS の運用」をテーマに議論が行われた。

※この記事の内容は,1 月 23 日時点のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。

災害について

 府医は,災害対策基本法に基づく「指定地方公共機関」として位置づけられており,平時から防災行政に参画することが求められている。指定地方公共機関には,防災業務計画の作成をはじめ,都道府県防災会議への協力,災害対応体制の整備や訓練の実施,さらには災害発生時における応急対策および復旧活動などが義務として定められている。
 こうした背景を踏まえ,府医では災害対策小委員会での協議を経て,令和7年1月に「京都府医師会防災業務計画」を取りまとめた。
 本計画において,特に重要な位置づけとなるのが「地区医師会の対応」である。地区医における初動対応や基本的な考え方を整理し,計画の中で明示している。地区医の初動対応にあたっては,「CSCA(Command・Safety・Communication・Assessment)」の考え方が重要であり,誰が指揮を執るのか,安全が確保されているか,情報の共有・連絡が円滑に行われているか,被災状況を適切に把握できているかといった視点を意識することで,混乱を最小限に抑えた対応につなげることができる。
 計画では,地区医に取組んでいただきたい主な項目として,①緊急連絡網の整備,②会員医療機関等の被災状況や地域の医療ニーズに関する情報発信,③地区医としての本部体制の構築,④災害対策本部会議の開催による方針決定,⑤市町村の災害対策本部や保健所単位で設置される保健医療福祉調整支部への要員派遣等を例示している。
 これらすべてに対応することが理想ではあるが,地区医の規模や被災状況によって対応可能な範囲は異なるため,あくまで目安として,可能な範囲で取組んでいただくことを想定している。
 災害時における会員の安否確認や会員医療施設の被災状況,診療可否の把握は極めて重要であり,その後のDMATやJMATの円滑な受け入れにも直結する。発災初期から一定のスピードをもって情報を集約することが求められるため,できるだけ早期に会員の安否や被災状況を確認・把握できる方法を確立し,会内でコンセンサスを得た上で,訓練等を実施するなど,平時から備えておく必要がある。
 府医では,会員の安否や医療機関の被災状況,診療の可否等を確認・把握するためのツールとして,「KMIS(Kyoto Medical Information System)」を各地区医へ展開できるよう準備を進めており,希望する地区医に提供している。まずは地区医単位で会員の安否や被災状況を確認いただき,府医が各地区の情報を集約することで,府内全域の状況を把握する体制を想定している。共通のツールを用いることにより,地区医の被災状況によっては,府医が事務局機能をバックアップすることも可能になると考えている。
 なお,「京都府医師会防災業務計画」には,災害発生時の初動として,医師会の役職員がどのように行動すべきかを「アクションカード」として整理し,フローチャート形式で示している。ぜひ参考としていただき,計画に沿った対応をお願いしたい。
 また,避難所への人員配置については,災害発生時に詳細まで定めておくと機能しない場合も想定されることから,あらかじめ大まかな方針や役割分担を共有し,状況に応じて柔軟に対応できる体制整備をお願いしたい。
 さらに,JMAT 登録については,研修を受講しなければ登録ができないものではないが,災害発生時の受援体制等について少しでも理解を深めていただくことは有意義である。会員各位には,研修会への参加およびJMAT京都への登録について,ご協力をお願いしたい。

~意見交換~
 その後の意見交換において,地区から,防災訓練等の際に市民へ配布するパンフレット等について,府医においても作成してほしいとの要望があり,府医としては,今後検討する旨を回答した。

MAMISの運用について

 MAMISは,日医が「医師会業務のDX化」の一環として,2024年10月末に公開した新たな会員情報システムであり,Web上で会員の各種手続きを可能とする仕組みである。会員の入退会や異動に際して,従来は地区医および都道府県医へ個別に届出書類を提出していたが,MAMISでは,従来の紙ベースの手続きフローを踏襲しつつ,Web上で各医師会への申請を一括して行うことが可能となっている。また,医師本人が入力した情報を各医師会で共有できる仕組みとすることで,医師および医師会事務局双方の事務負担軽減を目的として構築されたシステムである。
 MAMISは,会員の各種手続きに加え,令和7年4月に「研修管理機能」が追加され,現在では,かかりつけ医機能報告制度における研修会受講単位の確認等にも活用されている。今後は,日医生涯教育制度や産業医研修等の単位付与・管理がすべてMAMIS上で行われる予定であり,稼働は遅れているものの,産業医やスポーツ医等の認定医の申請・更新手続きについても,MAMISに一本化される予定とされている。このように,今後の制度運用を見据えると,多くの医師にとってMAMISの利用は不可欠なものとなりつつある。
 一方で,各医師会において会員管理システムとして運用する観点からは,いくつかの課題が生じている。MAMISには,所属班名など,各医師会が従来から管理してきた項目が含まれておらず,入力項目のみでは情報が十分とは言えないため,引続き紙ベースの届出様式の提出が必要となる場合がある。この結果,従来の会員管理システムとの併用を余儀なくされ,管理方法をMAMISに一本化することが難しく,二重管理が継続している状況にある。
 また,紙様式で申請が行われた場合,MAMISにデータを反映させるためには,事務局が直接システム入力を行うことができず,所定のフォーマットでデータを作成の上,MAMIS運営事務局へ送信する必要がある。データ取込みに時間を要する上,取込み後も,MAMIS上で「新規申請」として「受付」,「確認」,「承認」といった一連の事務作業が改めて必要となることから,事務局にとっては追加的な負担となっている。特に,マンパワーの限られた事務局においては,対応が困難との声も聞かれている。
 さらに,現状では,地区医および都道府県医の管理者権限に制限があり,会員データの軽微な修正を含め,MAMIS上で直接的にデータを管理することができないなど,会員管理システムとして活用する上での制約も認められる。データの直接入力を含めた管理者権限の拡大や,各医師会が必要な管理項目を追加できるような機能拡充について,今後のアップデートの見通しが明確でないことも,運用上の不安要因の一つとなっている。
 地区医から寄せられた意見を踏まえ,府医事務局からは,日医会員情報室に対し,具体的な事象を示しながら随時改善要望を行っているところであり,これらの課題については,全国の医師会からも多くの要望が寄せられているとのことである。日医においても一定の理解は示されているものの,システムの基本的な構造上,機能追加の範囲については検討を要するとの見解が示されている。
 なお,昨年8月に府医が開催した「各専門医会長との懇談会」において,MAMIS担当の笹本日医常任理事より,「多くの医師会に共通して利便性向上につながる追加機能や改善案を収集し,丁寧に実施していく」旨の発言があり,あわせて,「管理者権限の拡大について早急に検討する」との考えが示されている。今後のアップデートにより,各医師会の負担軽減につながる機能拡充が進むことが期待される。
 日医は,当面の目標として「MAMISの品質向上」,「登録情報の精度向上」,「安定稼働」を掲げているが,これらは,各医師会の負担感が軽減され,円滑な運用が広く定着することによって初めて達成されるものと考える。MAMISの操作方法や会員からの問い合わせ対応等については,府医事務局において可能な範囲で支援を行いながら,今後も地区医と情報共有を図り,適切な運用に努めていく必要がある。

~意見交換~
 その後の意見交換では,直近に参加した産業医研修会の受付において,氏名を口頭で伝えるだけで本人確認が完了してしまった事例が報告された。以前のような受講確認シール等がなくなり,手続きが簡素化されたことで,代理出席が可能になってしまうのではないかというセキュリティ面での脆弱性に対する懸念が挙がった。
 府医からは,本来であればICチップ入りの医師資格証をカードリーダーで読み取る運用が原則であるとしつつも,チップのない旧カードを持つ会員やスマートフォンを持たない会員もいるため,現状ではデジタルとアナログな手法が混在せざるを得ない事情を説明した。その上で,将来的にはスマートフォンアプリによるQRコード認証や,生体認証等を活用したより確実なシステム(セカンドHPKI等)への移行によって,本人確認の精度を高めていく必要があるとの考えを示した。

2026年3月15日号TOP