2026年9月1日号
政府は7月21日,「経済財政運営と改革の基本方針2026」(いわゆる骨太の方針)を閣議決定した。
7月7日に自民党と日本維新の会の社会保障制度改革協議体が合意した「具体的な骨子」を反映し,現役世代の保険料率の上昇を止め,引下げていく方針を示すとともに,「社会保障負担率の目標の検討を進め,これとあわせて,社会保障改革について26年度中に改革項目の具体化と工程の明確化を図り,順次実施する」ことが明記された。
また,高齢者の医療費窓口負担割合についても,自民党と日本維新の会の合意に基づき,「原則3割の現役世代との間で年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直す」とし,26年末までに改革工程表を策定する方針が盛り込まれた。
日本維新の会が主張してきた現役世代の負担軽減を強く意識した内容ではあるものの,社会保障負担率については,自民党から「医療崩壊になりかねない」といった懸念が示されたことを踏まえ,「社会保障制度が果たす機能を損なわないよう配慮する」との文言が追加され,具体的な数値目標も明記されなかった。
なお,社会保障関係費全体については,「高齢化による増加分に相当する伸びに経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」との方針が,今回は本文ではなく注釈での記載となったものの,骨太の方針2025から踏襲された。
閣議決定を受けて,松本日医会長は,①医療給付費の対GDP比の数値目標導入,②社会保障費(医療・年金・介護等)の対GDP比の数値目標導入,③70歳以上の高齢者の医療費窓口負担「原則3割」,外来特例の廃止,の3点について,これまでから強く反対しており,到底容認できるものではないと述べた上で,今後もその姿勢は変わらないと強調した。
医療給付費の対GDP比を一定に据え置くことを目標にすると,これまでの薬価等の削減に加え,さらに毎年約5,000億円程度のさらなる削減が見込まれ,医療崩壊を招くと指摘した。仮に医療費の伸びを完全にGDPの伸びに抑えることとした場合,1点単価が10円から6.9円になるとの試算も示した。また,社会保障負担率については,公費負担(税)を増やすことで,現役世代の保険料を減らすことができると説明し,伸びている税収を医療に投入すべきとの考えを示した。高齢者の医療費窓口負担についても,「応能負担の観点は必要だが,自助,共助,公助のバランスを取りながら,物価高騰等により税収が伸びる中,低所得者等に配慮しつつ,少しずつ段階を経る必要がある」とし,高齢者の医療費水準や受診状況,家計の状況,さらには高齢の親をもつ家族の経済的負担などを勘案しつつ,丁寧な議論を進めていく重要性を強調した。
府医としても,社会保障負担率の目標設定を巡る議論についてはこれまでも協議を重ねてきた。財務省などは,医療・介護を中心とした改革を推進し,社会保障負担率の引下げを主張していることから,将来的に数値目標を達成するため,厳しい医療費抑制政策が行われる可能性は否定できない。現役世代の保険料を引下げるためには,公費負担の増加,患者の自己負担の増加,保険給付範囲の縮小のいずれかが選択肢となるが,昨今では保険給付範囲の縮小を目的とした長期収載医薬品やOTC類似薬の保険給付の見直しが強引に進められている印象がある。府医としては,保険給付範囲を維持することが大前提と考えていることから,医療に係る財源を十分に確保するとともに,自助,共助,公助のバランスを踏まえた対応が必要である。給付と負担のあり方については,今後,府医が今年度主務を務める近医連保険担当理事連絡協議会でも議論していく予定である。
経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)の概要は以下のとおり。
◇経済財政運営と改革の基本方針2026
「責任ある積極財政」元年〜日本の挑戦を起動する!〜(抜粋)
第3章 責任ある積極財政に基づく「中長期経済財政計画」
1.「強い経済」の構築と「財政の持続可能性」の実現
(「成長戦略」による投資拡大等によって目指す経済・財政の姿)
低迷する潜在成長率を引き上げていくためには,長年続いてきた過度な緊縮志向,未来への投資不足の流れを断ち切る必要がある。民間投資の拡大による供給力の強化を,経済規模の拡大,税収基盤の強化につなげ,「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現する。
供給力強化に向けて,危機管理投資・成長投資を中核とする「成長戦略」を強力に推進し,政府も一歩前に出て,官民投資の実現と投資環境整備の具体化を進める。また,強い地域経済の構築に向けた「地域未来戦略」を実行し,地方が持つ伸び代を活かし,新たな産業基盤を構築するなど,様々な政策パッケージを相互に密接に連携させて実行する。
「挑戦しない国に未来はない」という考え方の下,従来の政策の延長や制約を乗り越え,民間を含めた新たな発想や視点に基づく,真に効果のある政策が引き出せるよう,政府の予算の作り方を根本から改めていく。官民投資ロードマップに基づき,危機管理投資・成長投資を推進することで,62の主要な製品・技術等において2040年度までの累計で370兆円を超える官民投資が想定される。こうした官民投資に加えて,研究開発投資や生産資源配分の効率化等,「成長戦略」の効果が十分に発現した場合には,2040年度には,GDPは1,100兆円に迫る経済成長が実現できること,また,一定の追加的な財政支出の下で,債務残高対GDP比が,おおむね安定的に低下する姿となり,「経済成長」と「財政の持続可能性」の双方が実現できるとの見通しが示された112。こうした経済・財政の姿の実現を目指すこととし,2%の物価安定目標の実現の下で,できるだけ早期に,実質で1%を上回る,名目で3%を上回る経済成長を定着させ,更に引き上げていく。
このため,「経済・財政新生計画」を刷新し,本章を,責任ある積極財政に基づく「中長期経済財政計画」として定め,目指す経済・財政の姿の実現に向けて取り組む。本計画は,2027~2040年度を計画期間とし,財政運営目標の設定,経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成への転換,『「強く豊かな日本」投資枠』の創設,補正予算依存からの脱却,基金や複数年度にわたる予算措置の見直しといった予算編成の在り方,分析・検証の強化等による市場の信認確保といった,新たな財政運営の仕組みを一体で示す。
(財政運営目標の設定)
本計画における財政運営の目標については,「責任ある積極財政」の考え方に立脚したものとし,
112 「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」(令和8年6月24日内閣府)。財政支出については,予算の上限といった意味ではなく一つの試算として,経済成長に必要な財政支出が,財源を確保した上で別枠管理する予算のほかに,毎年度実質10兆円,追加的に支出した場合を想定。
「強い経済」の実現と「財政の持続可能性」を両立する観点から,国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下を中核に位置付ける。これは,政府が負う債務と,その返済の原資となる税収を生み出す元となる国の経済規模との関係を示す指標であり,PBに純利払い費を加味した財政収支を踏まえて,財政運営を評価するものである。
PBについては,債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標とし,その安定的低下と整合するよう複数年で管理する。単年度の黒字化時期を機械的に追うのではなく,経済・金利環境,歳入歳出の動向を踏まえ,景気変動や危機管理投資・成長投資の必要性に応じて一時的な悪化も許容し得るものとしつつ,債務残高対GDP比の安定的な低下に向けて,改善・管理していく。
また,PB,GDP,純利払い費,財政収支等が債務残高対GDP比に与える寄与を分析し,財政の持続可能性の確保に取り組む。その上で,今後の予算編成に当たっては,税収動向等を見極めつつ,歳出・歳入両面の見直しを進めることと併せて,債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し,市場の信認確保に配意しつつ,通年の国債発行額などを具体化する113。
(経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成への転換)
「責任ある積極財政」の下,デフレ・低成長時代の一律抑制型の予算編成から,物価・賃金上昇を的確に反映し,経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成へ転換する。このため,令和8年度当初予算114から実現した経済・物価動向等の的確な反映を更に進めるなど,必要な財政需要に確実に対応する。
その際,官公需における適切な価格転嫁を徹底するとともに,医療・介護・保育・福祉等の公定価格について,現場の人材確保,経営の安定,サービスの質の確保に必要な対応を進める。あわせて,予算・税制における各種基準額や閾値について,物価・賃金上昇や経済社会の変化を踏まえ,必要な点検・見直しを進める。
歳出規模の総額は,物価・賃金,名目経済規模,歳入見通し,政策効果,財政目標との整合性を踏まえ,経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしいものとする。その上で,歳出の目安については,一律抑制型の上限としてではなく,予算全般において歳出改革努力を継続する中で,伸ばすべき歳出と見直すべき歳出を峻別する,規律ある資源配分を実現する枠組みとする。
このため,租税特別措置や補助金等の点検・見直し115を進め,施策の優先順位を洗い直し,大胆に重点化する。危機管理投資・成長投資を強化するとともに,予算編成プロセスにおいて,成長への寄与,民間投資の誘発効果等を精査し,我が国の予算を成長力強化に資するものに変革していく。
社会保障関係費については,現役世代の保険料率の上昇を止め,引き下げていくとの方針の下,国費だけではなく,給付費全体,公費・保険料負担,現役世代の可処分所得などを踏まえ,給付と負担の改革を継続していく。非社会保障関係費については,物価・賃金上昇を適切に反映しつつ,上記の方針を踏まえ,PDCA・EBPMに基づき,既存事業の見直しと政策効果の高い分野への重点化を徹底する。
113 財政規模については,中期的な債務経路と整合的な形で柔軟に管理する。令和9年度の通年の国債発行額は,市場の信認確保に配意しつつ,「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」などを踏まえ,経済動向や税収動向等を見極めながら,予算編成過程で検討する。
114 令和8年度地方財政計画を含む。
115 見直しに当たっては,各府省庁は自己点検を反映して概算要求を行うとともに,見直し内容を予算編成プロセスにおいて精査した上で,具体化する。
2.全世代型社会保障の構築
(1) 社会保障と税の一体改革の推進
(税制改革)
「強い経済」を実現するため,財政の持続可能性に十分配慮しつつ,「責任ある積極財政」の下,少子高齢化,グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け,包括的な検討を進める。
デジタル社会にふさわしい税制の構築及び納税環境の整備と適正・公平な課税を実現する観点から,制度及び執行体制の両面からの取組を強化するほか,新たな国際課税ルールへの対応を進める。
(「給付付き税額控除」とそのつなぎ)
「給付付き税額控除」とそのつなぎ(飲食料品の消費税率等)については,今後予定されている社会保障国民会議の中間とりまとめを踏まえ,本年8月上旬までを目途に,その方針を決定する。
(2) 成長型経済に合わせた持続可能な社会保障制度
「強い経済」では,経済成長によって,物価と賃金が上昇していく。我が国の社会保障制度も,成長型経済に合わせて,持続可能な設計に変えなければならない。
国民皆保険・皆年金を堅持し,年齢に関わらず能力に応じて公平に負担し合い,必要な方に必要なサービスが適切に提供される全世代型社会保障を構築することによって,国民の命と健康,生活を守り,安心して働き,活躍し,挑戦できる基盤を整備する。働き方の多様化や女性・高齢者の就労増加に対応し,働くことが報われる社会保障制度を目指す。給付と負担の全体像を含む全世代型社会保障の将来的な姿を若者も含め国民に分かりやすく情報提供する。
連立政権合意書(令和7年10月20日)に盛り込まれた13の社会保障改革項目について合意された具体的な骨子118に基づき,2026年度中に具体的な制度設計を行い,順次実行する。
具体的には,経済・物価動向等に適切に対応し,安心して医療・介護・福祉サービスを受けられる体制を整備することとあわせて,医療・介護を中心とした社会保障制度改革を着実に実行することにより,現役世代の保険料率の上昇を止め,引き下げていくことを目指す。このため,骨太方針2025と同様,経済・物価動向等を踏まえ,的確な対応を行いつつ,これまでの歳出改革努力を継続し,2027年度の社会保障負担率が2025年度と比較して上昇しないよう取り組む。また,社会保障制度が果たす機能を損なわないよう配慮しつつ,社会保障負担率の目標の検討を進め,これとあわせて,社会保障改革について2026年度中に改革項目の具体化と工程の明確化を図り,順次実施する119。
(医療・介護等)
医療・介護・障害福祉等の分野の技術の発展と普及を支援し,DX/AX,多職種連携を含むチーム医療等による生産性の向上と職員配置の柔軟化に向けた一層の取組を図るとともに,経営情報の見える化を進め,経営実態を把握した上で,物価と賃金の変動に適切に対応し,経営の安定,処遇改善を図りつつ,社会保障制度改革を着実に実行する120。
その際,経済・物価の動向が2026年度診療報酬改定時の見通しから大きく変動し,医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には,令和9年度予算編成過程で診療報酬上の加減算を含む更なる必要な調整を行う。次期介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定では,経営データベースの整備・活用を含め,2026年度診療報酬改定における各般の取組を参考にしつつ,介護・障害福祉分野の
118 「社会保障改革項目に関する具体的な骨子」(令和8年7月7日自由民主党・日本維新の会社会保障制度改革協議体)。
119 特に,高齢化や高度化等への対応が必要な医療給付費については,経済が成長し賃上げが継続する「強い経済」の構築に向けた取組を進める中で,診療報酬に経済・物価動向等を基本的に反映しつつも,医療給付費の対GDP比や雇用者報酬の伸びとの関係などを参照しつつ,医療費適正化計画の次期改定に向けて抜本的な見直しを行うことを含め,改革を継続する。
120 具体的には,社会保障関係費については,給付と負担の改革努力を継続しつつ,高齢化による増加分に相当する伸びに経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する。
賃上げの状況や介護・障害福祉サービス等事業者の経営状況等を把握した上で,補装具費支給基準額も含め,物価の変動に適切に対応するとともに,他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る。障害福祉サービス等の費用の急伸への対応を含め,サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保のための報酬や制度の在り方を検討する。あわせて,医療・介護・保育・福祉等分野の必要なエッセンシャルワーカーの確保を含めたサービス提供体制の全国的維持を図るための制度改革に速やかに着手する。
2040年に向けて,病床数の適正化を着実に実施した上で,2027年度以降の地域医療構想を踏まえた医療機関の連携・再編・集約化121を促進するとともに,地域包括ケアシステムの深化を図り,地域の実情に応じた質の高い効率的な医療・介護サービス提供体制を構築する。妊娠・出産の経済的負担軽減と安心・安全な小児・周産期医療提供体制の両立,救急医療体制の確保,ドクターヘリの安全で持続可能な運航の確保,看取りなど人生の最終段階における患者中心の適切な医療・ケア,精神医療に関する地域医療構想を踏まえた取組,訪問看護の適切な実施,中山間・人口減少地域での柔軟な介護・障害福祉サービスの提供を推進する。かかりつけ医機能の発揮や医師の地域・診療科偏在の更なる是正策,大学病院等からの医師派遣の推進を含めた総合的な医師偏在対策,地域の実情を考慮した2028年度以降の医学部定員の削減に取り組む。歯科専門職の偏在対策等122の歯科医療提供体制の構築を図る。医療人材の実効的な養成・確保の方策について検討する123とともに,看護職員の質の向上124や潜在人材の活用を含む偏在対策等を推進する。介護・福祉分野の人材の養成・確保・定着に取り組み125,業務効率化や,安全対策を始め勤務環境改善,経営の協働化・大規模化を支援する。医療分野においては,新たな地域医療構想の下,将来需要を踏まえ,老朽化・災害対策を含む地域に不可欠な施設・設備の計画的な整備への必要な支援の在り方を検討する。介護・福祉分野においても,老朽化・災害対策を含む施設・設備の計画的な整備を支援する。
医療保険制度では,70歳以上の高齢者の医療費窓口負担割合について,低所得者等の必要な受診が確保されるよう適切に配慮することを前提として,原則3割となっている現役世代との間で年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直しを行う。そのための改革工程表を2026年末までに策定する126 127。介護保険制度では,2割負担の判断基準の見直しについて2026年度中に結論を得る。さらに,医療・介護保険における金融所得・資産の扱い,OTC類似薬の保険給付の見直しの施行とその状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討など,「改革工程」128等に基づく取組を進める。先行バイオ医薬品について,バイオ後続品の普及促進に向けた環境整備の状況を踏まえ,保険給付の在り方の見直しを検討する。長期処方やリフィル処方箋の活用,地域フォーミュラリの全国展開,休薬・減薬などの効果的・効率的な治療の促進等により,給付の効率化や適正化を図りつつ,質の高いサービスを提供する。セルフメディケーション推進の観点からの更なる医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的な方策を検討し,必要な措置を行う。
医療情報化推進方針を策定し,医療機関の情報システムの刷新,特定機能病院等の緊急的な対応を含めたサイバーセキュリティ対策を進め,電子カルテ・電子処方箋の普及と情報連携,医薬品等
121 有床診療所も含めて医療機関の役割分担の明確化を図ることを含む。
122 医歯薬連携等の推進,障害者等への歯科保健医療の充実,歯科技工所の質の向上・連携強化,歯科衛生士・歯科技工士の就労・離職対策を含む。
123 その際,医療人材の専門性の維持・向上につながる育成の在り方についても検討する。
124 特定行為研修の推進を含む。
125 社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方の検討を含む。
126 その際,高齢者の就業率の上昇や健康寿命の延伸,医療費水準や受診状況の動向,高齢者に低所得が多いといった家計の状況等も踏まえ,必要な受診が確保されるよう適切な配慮措置を講じつつ,外来特例の在り方や,負担割合の区切りとなる所得の見直し,年齢の引き上げなど窓口負担の抜本的な見直しについて,現役世代の負担軽減の観点からの公費負担のあり方とともに総合的に検討を行い,その速やかな実現について令和8年末までに一定の結論を得る。また,マイナンバー制度を活用した所得・資産情報の把握基盤の整備を早急に進め,制度への反映を進める。
127 「社会保障改革項目に関する具体的な骨子」(令和8年7月7日自由民主党・日本維新の会社会保障制度改革協議体)による。
128 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年12月22日閣議決定)。
のデータベースの構築,公費負担医療や予防接種・母子保健のデジタル化等,医療・介護に関する情報の連携と二次利用を含む利活用の基盤を構築し,切れ目なく最適なサービスを効率的に提供する。
長期的に賃金上昇率を上回ることを目標に年金積立金を運用し,将来の年金給付水準を確保する。生活保護における医療扶助の適正化129や就労支援の推進を図る。次期生活扶助基準の見直しでは,定期検証の結果に基づく一般低所得世帯の消費実態や社会経済情勢などを総合的に勘案して改定を行う。
(創薬・先端医療イノベーション)
創薬・先端医療への官民投資を拡大し,健康医療安全保障を実現する。「健康・医療戦略」130等を踏まえ,革新的な医薬品・医療機器等の創出,例えば,米国の医薬品に係る最恵国待遇(MFN)価格政策など,足元,諸外国の医薬品をめぐる政策の動きがある中でも必要な医薬品等が確実に上市される環境整備,特定重要物資を含む供給確保の必要性が高い医薬品等の国産化等による安定供給,先端技術の実用化を目指す。バイオ後続品の国内生産体制の整備等を着実に進める。産業構造改革の推進による後発医薬品等の安定供給を図る。
創薬・先端医療を成長経済の牽引役として,研究開発力や製造・供給の強化,流通体制の強靱化,スタートアップ支援,人材育成,先進医療の対象拡大,国際展開を総合的に推進する。全ゲノム解析131やiPS細胞等を活用した再生・細胞医療・遺伝子治療,免疫治療,小児・希少疾病用医薬品やRI132,薬剤耐性菌を含む感染症対応の医薬品等の研究開発・生産等133とともに,創薬・医療機器開発・診断へのAI利活用を推進する。国際水準の治験・臨床試験体制を整備し,国際共同治験の倍増を目指す。血しょう分画製剤の国内自給と小中学生を含めた献血への理解促進に取り組む。
経済・物価動向等の影響を受ける市場実勢価格を薬価調査等により的確に把握した上で,創薬イノベーション,医薬品の安定供給と国民負担の軽減の観点から,2027年度薬価改定を実施する。その際,費用対効果評価制度について,客観的な検証を進め,これも踏まえ,制度の発展に向けた更なる見直しについて具体的に検討し,一定の結論を出す。我が国の医薬品市場の魅力を高める観点から,医薬品の画期性に対する初収載時における適切な評価や特許期間中の薬価の在り方134を含め,革新的新薬のイノベーションの更なる評価について検討を進める。
(攻めの予防医療と疾病対策)
国民のWell-beingの向上と健康寿命の延伸を図り,誰もが社会の担い手として活躍できる日本を実現する。「攻めの予防医療」を推進し,健康増進,肥満症を含む疾病予防,早期発見,早期介入及び行動変容に関係機関が連携して取り組む。栄養・食生活を含む健康リテラシーの向上,地域住民の健康増進に資する薬局機能及び薬剤師の果たす役割の強化,学齢期の健康診断の在り方の見直し135,予防接種,HIVや性感染症の予防,下水サーベイランス等の感染症対策,がん検診や精密検査の受診率向上,循環器病・糖尿病を含む生活習慣病等の予防,いわゆる国民皆歯科健診の具体化(歯周病検診の対象拡大や就労世代の歯科健診の更なる充実),口腔と全身の健康の関係に基づく歯科疾患対策・口腔健康管理136,認知症の早期診断・早期対応,予防・医療・介護を通じた
129 都道府県のガバナンス強化の検討を含む。
130 令和7年2月18日閣議決定。
131 日本ゲノム医療推進機構(GeMJ)による全ゲノムデータ・マルチオミクスデータ・臨床情報等を搭載した質の高いゲノム情報基盤の整備と,解析データの利活用の取組を進める。
132 RI(ラジオアイソトープ)については,「医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプラン」(令和4年5月31日原子力委員会決定)を踏まえ,開発・製造・安定供給・医療提供体制等の整備に必要な取組を進める。
133 「感染症危機対応医薬品等(ワクチン,治療薬,診断薬等)開発・生産体制強化戦略」(令和8年3月24日閣議決定)を踏まえた必要な法制度等の在り方の検討。
134 市場拡大再算定及び持続可能性特例価格調整等。
135 小児期からの切れ目のない予防医療の観点を含む。
136 オーラルフレイル対策等を含む。
切れ目のないリハビリテーション137,PHRの利活用と情報連携を推進する。更年期世代の女性への医療の推進や女性の健康総合センターの機能強化,「プレコンセプションケア推進5か年計画」138の工程表の策定と実行,企業と保険者のコラボヘルス,睡眠対策を含む健康経営の推進等139,予防・健康づくりを支えるヘルスケア産業の育成等140を図る141。
がん,脳卒中・心臓病その他の循環器病,慢性腎臓病,慢性閉塞性肺疾患,慢性疼痛,難病,アレルギー,依存症,難聴,睡眠障害等の疾病対策142や移植医療対策を推進する。
(国際保健の推進)
日本に設置されたUHCナレッジハブ等を通じたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現,CEPI143やGHIT Fund144等と連携した国際的な感染症対策や保健システムの強化に取り組む。健康・予防・医療・介護関連の国際展開を推進する。
137 効果的な訪問リハビリテーションの充実を含む。
138 令和7年5月22日プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会決定。性別を問わず,適切な時期に,性や健康に関する正しい知識を持ち,妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来の健康を考えて健康管理を行う概念であるプレコンセプションケアについて,5か年計画を決定。
139 運送業での睡眠時無呼吸対策,睡眠障害の医療アクセス向上と睡眠研究の推進,睡眠ガイド等の普及啓発,睡眠等のデータを活用したサービス創出のためのエビデンス構築支援など睡眠関連の市場拡大や企業支援も併せて一層取り組む。
140 いわゆる「統合医療」の研究及び普及啓発を含む。
141 「性差に由来する健康課題等への対応を推進するための論点整理」(令和8年5月25日攻めの予防医療に向けた性差に由来するヘルスケアに関する副大臣等会議取りまとめ)を踏まえて取組を推進する。
142 先進医療で実施しているがん遺伝子パネル検査の標準治療開始前からの受診機会の拡大を含む。
143 感染症流行対策イノベーション連合。
144 公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金。