2020年4月15日号
右京医師会と府医執行部との懇談会が12 月20 日(金),右京医師会館で開催され,右京医師会から10 名,府医から7名が出席。「災害医療における地区医師会の役割」,「地域医療構想と医師偏在対策にかかわる諸問題」,「令和時代の医師会のあり方,存在意義」について,活発な議論が行われた。
右京医師会では災害対策委員会を年4回程度開催。災害時の対応について議論,準備が進められている。委員会には区担当者も参画し,LINE での連絡体制を構築中である。また,2020 年にはEMIS 運用を想定した災害時連携運用訓練を医師会,区役所および地域病院で実施予定である。
府医は保健医療調整本部(行政)に入り,コーディネーターの役割を果たす。
地区医は,その下の地域保健医療調整本部(被災地の保健所)に入り活動,またJMAT・DMAT・日赤等の各保健医療チームと連携する(厚労省通達より)。
府医は市災害対策本部(行政)と連携し,地区医はその下の市救急医療調整班(行政)の地域医療コーディネーターとしての役割が求められる。
◇「 右京区に災害拠点病院はなく,災害時には市立病院が拠点病院として最も近いと考えられる。内部体制は取れているのか」と質問が出された。
体制は取れているはずだが,市立のため,定期的に人事異動があり,対応に慣れた事務方が定着しないという課題がある。医師,看護師に関しては長期勤務のため,問題はないとの認識を示した。
◇「 行政も交えた EMIS の運用訓練は地区医も交えて行う計画はあるか」と質問が出された。
現在,二次医療機関に対して基幹災害拠点病院研修会にてEMIS 訓練を行っており,医師会,災害拠点病院以外の医師の参加も可能である。但しEMIS にはID,PW が必要であり,現在地区医には付与されていない。今後,運用方法等の検討が必要であると説明した。
平成31 年4月1日の医療法・医師法改正の趣旨・概要を説明。今回の改正で医療計画に新たに「医師確保計画」および「外来医療」に関する事項の記載が求められることになった。また,京都府の医師確保計画(中間案)の内容,京都市域地域医療構想調整会議4ブロック意見交換会の開催状況等も併せて説明した。
開催状況,各ブロックにおける主な議論のテーマ,今後病床機能等の変更予定の病院を説明。また2040 年の医療提供体制の展望を見据え,まずは5年後の2025 年までに①地域医療構想の実現,②医師・医療従事者の働き方改革,③実効性のある医師偏在対策,を推進していくとした。
◇「 外来医師多数区域での新規開業希望者に対して多数区域以外へ誘導,また地域で不足する医療機能について協力を求める等の記載があり違和感がある。地域で不足する医療機能は新規開業者に押し付けるのではなく,医師会全体で担うべき」と意見が出された。
在宅医療等,地区のニーズは増えていくため,新規開業医にのみ押し付けるのではなく,既存の開業医にも在宅医療等の研修を一緒に受けてほしいと要望した。
◇「 先日,厚労省より再編統合の候補となる全国の公立・公的病院が発表され,右京区内の病院も名指しされた。この病院は地域にとって不可欠の医療機関である。地域の状況を把握せず唐突に発表し,患者を不安に陥れたことは,地区医としても受け入れられるものではない」と意見が出された。
入会率を維持し,財政的に安定した運営を図るため,入会費や会費などをどのように考えるか。専門のクリニックが増える中,かかりつけ医は不足している。学校医,産業医の負担は増え,欠員の補充が難しくなっている。活気があり,様々な課題に対応できる医師会を作るためにはどのようにすればよいか等についての議論が行われた。
◇「 医師会に入会してもらっても,学校医,産業医や医師会の活動等に参加してもらえない,また,活動に参加したくないため,医師会に入会しない医師もおり,学校医が高齢化,世襲化し,負担が増えて悪循環である。国で強制できないか」との質問が出された。
国で強制することは開業制限につながる。慎重な議論が必要であるとし,府医としてはコミュニケーションを取りつつ,徐々に活動に参加してもらえる方向に誘導できればと回答した。また,研修医の間に教育を行い,将来,府医に戻ってもらえる仕組みづくりに取組んでいることを補足した。
◇「 医師会に入会しない医師はコンサルタントに相談している。医師会がコンサル業務をしたらどうか」との意見が出された。
開業融資斡旋,市場調査,コンサルタントが過剰な請求をしていないかの判定は可能であるとした。
◇「 地区医師会は 24 も存在しており,多いと思う。統合の可能性はないのか」と質問が出された。
過去に統合の話はあったものの,地区ごとで入会金,会費,財政状況等が異なるため,実現は難しいのではないかと回答した。