2023年2月15日号
今般,厚労省より新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした経口抗ウイルス薬「エンシトレルビルフマル酸」(販売名:ゾコーバ錠125mg)について事務連絡が発出されましたのでお知らせします。 本事務連絡は,製造販売業者より,投与後に妊娠していることが判明した症例の報告がなされたことを受け,医療機関に対し,注意喚起を促すものです。
1.症例(製造販売業者からの報告) 今般,製造販売業者が実施している市販直後調査期間において,同意取得がなされた後に「本剤投与後に妊娠していることが判明した症例」が2例集積された。このうち本剤投与と妊娠判明までの経緯が確認できた1例目の症例においては,主治医から妊娠に係るリスクについて患者に適切に説明され,患者自身に妊娠している可能性があることの自覚がなかったため本剤投与に至ったものです。しかし,本剤投与終了の約1ヵ月後に産婦人科を受診し,本剤投与時点で妊娠週数4週目であったことが判明しています。現時点で副作用等は発現していません。2例目の症例については,現在情報収集中です。
2.注意喚起 本剤については,妊婦又は妊娠する可能性のある女性への投与は禁忌となります。上記の症例をふまえ,前回の月経後に性交渉を行った場合は妊娠している可能性がありますので,本剤の処方を行う医療機関におかれては,患者が「妊娠していない」又は「妊娠している可能性がない」ことを,入念にご確認ください。 なお,製造販売業者が周知している「妊娠している女性,妊娠している可能性のある女性,又は妊娠する可能性のある女性への投与に関するお願い」の別紙(「ゾコーバ錠125mg(以下:本剤)を服用する際の事前チェックリスト」)に記載がありますので,処方前に必ずご確認ください。 また,製造販売業者は現行の同意説明文書・同意書の女性の場合の確認事項に「前回の月経後に性交渉を行った場合は妊娠している可能性があること。現在,妊娠又は妊娠している可能性がある場合には,申し出ること。」という旨を追記する予定です。 本剤の処方を行う医療機関におかれては必ず最新の添付文書を確認し,病状を診察のうえ処方の要否を判断してください。 また,日本感染症学会から示されている「COVID-19に対する薬物治療の考え方第15版」にも記載がありますのでご参照ください。