保険だより – 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて

  新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ,臨時的な診療報酬の取扱い(その13 および14) が示されましたので,お知らせします。

  今回の臨時的な取扱いの中では,精神科において通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して電話等で再診時に精神療法を行う場合,特定疾患療養管理料の147 点を準用して月1回に限り算定できることとされました。

問1 対面診療において,精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに精神療法を継続的に行い,通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して,電話や情報通信機器を用いた診療においても,当該計画に基づく精神療法を行う場合は,どのような取扱いとなるか。

(答) 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から,精神疾患を有する定期受診患者に対して,電話や情報通信機器を用いた診療及び処方を行う場合であって,電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より,対面診療において精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに精神療法を継続的に行い,通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して,電話や情報通信機器を用いた診療においても,当該計画に基づく精神療法を行う場合は,B000 特定疾患療養管理料の2に規定する「許可病床数が100 床未満の病院の場合」の147 点を月1回に限り算定できることとする。

問2 現在,保険医療機関において特別入院基本料を算定している間は,一部の特定入院料を除き,例えば特定集中治療室管理料やハイケアユニット入院医療管理料等の特定入院料は算定できない。
一方で,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その12)」(令和2年4月18 日付け事務連絡)において,新型コロナウイルス感染症患者の受入れのために,特定集中治療室管理料等と同等の人員配置とした病棟において,それぞれの入院料に係る簡易な報告を行うことにより,該当する入院料を算定することができることとされている。
新規開設等のため特別入院基本料を算定している保険医療機関において,新型コロナウイルス感染症患者の受入れに対応している場合について,簡易な報告を行うことにより, 特定集中治療室管理料等を算定できるか。

(答) 算定できる。

問3 小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料の施設基準の届出を行っている保険医療機関において,6歳未満の乳幼児又は未就学児に対して,初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合について,どのように考えればよいか。

(答) 初診料の注2に規定する214 点を算定すること。なお,この場合において,診断や処方をする際は,「新型コロナウイルスの感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10 日厚生労働省医政局医事課, 医薬・生活衛生局総務課事務連絡)や別紙における留意点等を踏まえ,適切に診療を行うこと。また,その際,医薬品の処方を行い,又はファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合は,調剤料,処方料,処方箋料,調剤技術基本料,又は薬剤料を算定することができる。

問4 保険医療機関において検査等を実施し,後日,電話や情報通信機器を用いて,検査結果等の説明に加えて,療養上必要な指導や,今後の診療方針の説明等を行った場合,電話等再診料を算定できるか。

(答) 算定できる。

問5 新型コロナウイルスの感染症患者(新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者を含む)に対して,往診等を実施する場合にも,必要な感染予防策を講じた上で当該患者の診療を行った場合には,院内トリアージ実施料を算定できるか。

(答) 算定できる。なお,必要な感染予防策については,「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い,院内感染防止等に留意した対応を行うこと。特に,「5 院内感染防止」及び参考資料「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(国立感染症研究所)」の内容を参考とすること。

問6 前月に「月2回以上訪問診療を行っている場合」の在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料(以下「在医総管等」という)を算定していた患者に対して,当月も診療計画に基づいた定期的な訪問診療を予定していたが,新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者等からの要望等により,訪問診療を1回実施し,加えて電話等を用いた診療を実施した場合について,どのように考えればよいか。

(答) 当月に限り,患者等に十分に説明し同意を得た上で,診療計画に基づき「月2回以上訪問診療を行っている場合」の在医総管等を算定しても差し支えない。なお,次月以降,訪問診療を月1回実施し,加えて電話等を用いた診療を実施する場合については,診療計画を変更し,「月1回訪問診療を行っている場合」の在医総管等を算定すること。ただし, 電話等のみの場合は算定できない。また,令和2年3月に「月1回訪問診療を行っている場合」を算定していた患者に対して,令和2年4月に電話等を用いた診療を複数回実施した場合は,「月1回訪問診療を行っている場合」を算定すること。なお,令和2年4月については,緊急事態宣言が発令された等の状況に鑑み,患者等に十分に説明し同意を得た上で,訪問診療を行えず,電話等による診療のみの場合であっても,在医総管等を算定して差し支えない。

問7 新型コロナウイルスに関連して,自治体等の要請に基づき外出を自粛している者であって主治医の診察の結果,継続的な訪問看護が必要であるものとして指示書が発行され,訪問看護ステーションの看護師等が継続的に宿泊施設に訪問看護を行った場合,訪問看護療養費は算定できるか。

(答) 算定できる。なお,医療機関から訪問看護・指導を実施した場合についても同様に訪問看護・指導に係る報酬を算定できる。

問8 新型コロナウイルス感染症の利用者(新型コロナウイルス感染症であることが疑われる者を含む。以下同じ)に対する訪問看護を実施する場合について,当該利用者の状況を主治医に報告し,主治医から感染予防の必要性についての指示を受けた上で,必要な感染予防策を講じて当該利用者の看護を行った場合は,どのような取扱いとなるか。

(答) 訪問看護ステーションにおいては特別管理加算(2,500 円)を,医療機関においては在宅移行管理加算(250 点)を,月に1回算定できる。また,特別管理加算を新型コロナウイルス感染症の利用者に対してのみ算定する訪問看護ステーションについては,訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18 年厚生労働省告示第103 号)第一の六の(5)に規定する基準を満たしているものとみなすとともに,届出は不要とすること。
なお,すでに特別管理加算又は在宅移行管理加算を算定している利用者については,当該加算を別途月に1回算定できる。
訪問看護ステーションにおいては,訪問看護記録書に,主治医の指示内容及び実施した感染予防策について記録を残すこと。また,訪問看護療養費明細書の「心身の状態」欄に, 新型コロナウイルス感染症の対応である旨を記載すること。”

問9 主治医の指示書及び訪問看護計画に基づき,訪問を予定していた訪問看護ステーションの利用者について,新型コロナウイルスへの感染を懸念した利用者等からの要望等により, 訪問看護が実施できなかった場合であって,代わりに看護職員が電話等で病状確認や療養指導等を行った場合,訪問看護療養費を算定できるのか。

(答) 当該利用者に対して訪問看護の代わりに電話等による対応を行う旨について主治医に連絡し,指示を受けた上で,利用者又はその家族等に十分に説明し同意を得て,看護職員が電話等で病状確認や療養指導等を行った場合について,訪問看護管理療養費のみを算定可能とする。ただし,当該月に訪問看護を1日以上提供していること。
なお,訪問看護記録書に,主治医の指示内容,利用者等の同意取得及び電話等による対応の内容について記録を残すこと。訪問看護療養費明細書には,「心身の状態」欄に新型コロナウイルス感染症の対応である旨を記載すること。

問10 保険医療機関が,新型コロナウイルス感染症に関するPCR 検査が必要と判断した患者について,当該患者の同意を得て,保健所(保健所等に設置される帰国者・接触者相談センターを含む。以下同じ。)に,PCR 検査を実施する上で必要な情報を文書により提供するにあたって,保健所を,診療情報提供料(Ⅰ)注2の市町村に準ずるものと解して当該点数を算定することは差し支えないか。

(答) 差し支えない。

問11 保険医療機関が,新型コロナウイルス感染症に関するPCR 検査が必要と判断した患者について,保健所に,PCR 検査を実施する上で必要な情報を文書により提供するに当たって,「行政検査を行う機関である地域外来・検査センターの都道府県医師会・郡市区医師会等への運営委託等について」(令和2年4月15 日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)別紙2を用いた場合,診療情報提供料(Ⅰ)を算定することは差し支えないか。

(答) 差し支えない。

問12 現在,看護職員夜間配置加算,病棟薬剤業務実施加算等については,算定する保険医療機関の各病棟において配置要件を満たすことが求められているが,新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等により休棟していた病棟を改めて使用する場合にも,配置要件を満たす必要があるか。

(答) 現に患者を受け入れる場合には,配置要件を満たす必要がある。

問13 現在,看護職員夜間配置加算,病棟薬剤業務実施加算等については,算定する保険医療機関の各病棟において配置要件を満たすことが求められているが,新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等により休棟となる病棟についても,配置要件を満たす必要があるか。

(答) 新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等のために休棟となる場合には,当該病棟において配置要件を満たす必要はない。なお,病棟薬剤業務実施加算における病棟薬剤業務の実施時間の要件についても同様である。

問14 現在,月平均夜勤時間数については,同一入院基本料を算定する病棟全体で算出することとされているが,例えば,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その12)」(令和2年4月18 日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「4月18 日事務連絡」という)により月の途中から病床数又は病棟数を変更した場合,月平均夜勤時間数の取扱いはどのようにすればよいか。

(答) 新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等のために月の途中から病床数又は病棟数を変更した場合については,診療報酬上の評価のための当該月における月平均夜勤時間数の算出をすることは困難であること,また,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」(令和2年2月14 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)等により,当面,月平均夜勤時間数について1割以上の一時的な変動があった場合においても, 変更の届出を行わなくてもよいとされていることから,勤務状況等について十分に把握するとともに,勤務実績に係る記録を保管しておくことで差し支えない。

問15 病棟薬剤業務実施加算の施設基準において,病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1か月の実施時間が合算して1週間につき20 時間相当に満たない病棟があってはならないこととされているが,新型コロナウイルス感染拡大防止のため病棟での滞在時間を制限している場合等について,施設基準の要件についてどのように考えればよいか。

(答) 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,病棟での滞在時間を制限している場合等により施設基準を満たさなくなくなった場合については,当面の間,直ちに施設基準の変更の届出を行う必要はない。

問16 4月18 日事務連絡では,救命救急入院料,特定集中治療室管理料又はハイケアユニット入院医療管理料(以下,「特定集中治療室管理料等」という)を算定する病棟における重症の新型コロナウイルス感染症患者については,別表1に示す点数を算定できることとされたが,脳卒中ケアユニット入院医療管理料,小児特定集中治療室管理料,新生児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料を算定する病棟における重症の新型コロナウイルス感染症患者については,どのような取扱いとなるか。

(答) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料,小児特定集中治療室管理料,新生児特定集中治療室管理料,総合周産期特定集中治療室管理料又は新生児治療回復室入院医療管理料を算定する病棟における重症の新型コロナウイルス感染症患者についても同様の取扱いとなる。具体的には,以下に示す点数を算定する。

問17 4月18 日事務連絡では,新型コロナウイルス感染症患者のうち,急性血液浄化(腹膜透析を除く。)を必要とする状態,急性呼吸窮迫症候群又は心筋炎・心筋症のいずれかに 該当する患者については21 日まで,体外式心肺補助(ECMO)を必要とする状態の患者 については35 日まで,それぞれ特定集中治療室管理料等を算定できることとされたが, 脳卒中ケアユニット入院医療管理料,小児特定集中治療室管理料,新生児特定集中治療室 管理料,総合周産期特定集中治療室管理料又は新生児治療回復室入院医療管理料を算定す る病棟において,同様の状態の新型コロナウイルス感染症患者については,どのような取 扱いとなるか。

(答) それぞれ,同様の取扱いとできることとする。

問18 4月18 日事務連絡では,新型コロナウイルス感染症患者のうち,急性血液浄化(腹膜透析を除く。)を必要とする状態,急性呼吸窮迫症候群又は心筋炎・心筋症のいずれかに該当する患者については21 日まで,体外式心肺補助(ECMO)を必要とする状態の患者については35 日まで,それぞれ特定集中治療室管理料等を算定できることとされたが, この場合において,15 日目以降は,どの点数を算定するか。

(答) 救命救急入院料及び特定集中治療室管理料については,「8日以上14 日以内の期間」の点数を算定する。

問19 4月18 日事務連絡では,新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等のために特定集中治療室管理料等と同等の人員配置とした病棟について,簡易な報告を行うことにより,該当する入院料を算定できることとされているが,この場合において,重症度,医療・看護必要度やSOFA スコアについては,どのような取扱いとなるか。

(答) 簡易な届出を行うことにより,特定集中治療室管理料等を算定する病棟であって,新型コロナウイルス感染症患者のみを受け入れる場合については,重症度,医療・看護必要度及びSOFA スコアの測定は不要である。

問20 4月18 日事務連絡では,新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等のために特定集中治療室管理料等と同等の人員配置とした病棟について,簡易な報告を行うことにより,該当する入院料を算定できることとされているが,この場合において,それぞれの入院料の注に規定される加算及び入院基本料等加算については,どのような取扱いとなるか。

(答) 注加算については,それぞれの施設基準及び算定要件を満たせば,算定できることとし, 施設基準に係る届出が必要な加算については,4月18 日事務連絡における簡易な報告で差し支えない。
入院基本料等加算については,それぞれの施設基準及び算定要件を満たせば算定できることとするが,施設基準に係る届出が必要な加算については,従前と同様の取扱いとする。

問21 4月18 日事務連絡では,新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等のために特定集中治療室管理料等と同等の人員配置とした病棟について,簡易な報告を行うことにより,該当する入院料を算定できることとされているが,この場合において,ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準における病床数の上限については,どのような取扱いとなるか。

(答) 特例的に,病床数の上限を超えてもよいものとする。

問22 4月18 日事務連絡では,新型コロナウイルス感染症患者に対する,医療従事者の感染リスクを伴う診療に係る評価として,看護配置に応じて,二類感染症患者入院診療加算に相当する点数を算定できることとされているが,脳卒中ケアユニット入院医療管理料,小児特定集中治療室管理料,新生児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管 理料を算定する病棟については,どのような取扱いとなるか。

(答) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料,新生児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料を算定する病棟における新型コロナウイルス感染症患者については,二類感染症患者入院診療加算の100 分の300 に相当する点数(750 点)を,小児特定集中治療室管理料を算定する病棟における新型コロナウイルス感染症患者については,二類感染症患者入院診療加算の100 分の400 に相当する点数(1,000 点)を,それぞれ算定できることとする。

問23 新生児治療回復室入院医療管理料又は小児入院医療管理料を算定する病棟において, 二類感染症患者入院診療加算を算定できるか。

(答) 算定できる。

問24 新型コロナウイルス感染症患者であって宿泊療養又は自宅療養を行っている者に対し, 保険医療機関の医師等が宿泊施設等に往診等を行い,宿泊療養又は自宅療養の解除が可能かどうかの判断を目的として新型コロナウイルス核酸検出を実施した場合はどのような取扱いとなるか。

(答) 退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合と同様に,新型コロナウイルス核酸検出に係る点数を算定できる。

2020年5月15日号TOP