新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更にともなう診療報酬上の臨時的な取り扱いについて

 厚労省より,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」を,5月8日以降,下記のとおり見直す旨の通知が発出されましたので,一部整理してお知らせします。詳細は通知本文(https://www.kyoto.med.or.jp/info/files/2023hoken_4.pdf)をご確認ください(通知本文と下記内容の番号等は一致していません)。
 なお,現時点の診療報酬上の臨時的取り扱いをまとめた資料を府医ホームページ「新型コロナウイルス関連特設サイト」(https://www.kyoto.med.or.jp/covid19/)に掲載していますのであわせてご参照ください。

1.外来における公費の取扱いについて
 新型コロナウイルス感染症治療薬の薬剤費のみ公費の対象(患者自己負担なし)になる。

(1)対象薬剤

  • 経口薬:ラゲブリオ,パキロビッド,ゾコーバ,②点滴薬:ベクルリー,
  • 中和抗体薬:ゼビュディ,ロナプリーブ,エバシェルド

(2)公費負担者番号:28260800 公費受給者番号:9999996

  • 令和5年9月末までの措置
  • コロナ治療薬に係る処方料,処方箋料等は公費対象外
  • 上記以外の薬剤(例:カロナールなど)は公費対象外。また,コロナに係る検査の公費,コロナ陽性患者への診察料(電話診療含む)等に係る自宅療養の公費は廃止
  • 小児科外来診療料,小児かかりつけ診療料,在宅時医学総合管理料,施設入居時等医学総合管理料または在宅がん医療総合診療料を算定する患者についても,別に薬剤費は算定可(公費対象)

<参考:入院に係る公費の取扱いについて>
 新型コロナウイルス感染症の患者が当該感染症に係る治療のために入院した場合の医療費(窓口負担割合1~3割)の負担につき,高額療養費制度の自己負担限度額から原則2万円を減額した額を自己負担の上限とする。高額療養費制度の自己負担限度額が2万円に満たない場合にはその額を減額する。
 公費負担者番号:28260701 公費受給者番号:9999996
 令和5年9月末までの措置
 ※詳細は京都医報4月15日号保険だよりをご参照ください

2.診療報酬上の臨時的取扱いについて

外来診療に係る特例

(1)院内トリアージ実施料(300点)の見直し

  • 受入患者を限定しない外来対応医療機関(要公表)新型コロナウイルス感染症患者又は疑い患者に対し,必要な感染予防策を講じて診療を行った場合には,院内トリアージ実施料(300点)を算定できる。
    ※令和5年8月末までの間に受入患者を限定しない形に移行する医療機関も算定可
  • 上記①以外の医療機関
    新型コロナウイルス感染症患者又は疑い患者に対し,必要な感染予防策を講じて診療を行った場合には,147点(名称等未定)を算定できる。
  • 地域包括診療料,認知症地域包括診療料,小児科外来診療料,小児かかりつけ診療料等,初再診料が包括されている医学管理料を算定している患者であっても,上記①または②の点数は算定できる。

<参考:「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について(令和5年3月17日(令和5年4月11日最終改正)厚労省事務連絡)」に関するQ&A>
(問)かかりつけの患者に限定しているか否かはどのように把握するのか。また,小児科が「大人の診療を行わない」のは患者を限定していることになるのか。
(答)かかりつけの患者に限定しているか否かについてはこれまでも公表を行う内容として含まれており,これまでの診療・検査医療機関における対応と同様に対応いただくことを想定しています。また,小児科が「大人の診療を行わない」のは患者を限定していることにはなりません。

(2)療養指導に係る特例について(救急医療管理加算1(950点)の見直し)
 入院中の患者以外の新型コロナウイルス感染症患者に対し,新型コロナウイルス感染症に係る診療(往診,訪問診療及び電話や情報通信機器を用いた診療を除く)において,家庭内の感染防止策や,重症化した場合の対応等の療養上の指導を実施した場合に147点(名称等未定)を発症日(無症状病原体保有者の場合は検体採取日)から起算して7日以内に限り算定できる。なお,指導内容の要点をカルテに記載すること。
※上記(1)①または②と併算定は可能

電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例

(1)電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例の期限について
 電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例については,以下の(2)及び(3)のとおりであり,当該特例は令和5年7月31日をもって終了する

  • 令和5年8月以降も継続して行う場合は,電話ではなく「情報通信機器を用いた診療」(オンライン診療)の施設基準の届出が必要。情報通信機器を用いた診療に係る点数を算定

(2)初診料等に係る特例について

  • 初診からの電話等を用いた診療により診断や処方を行う場合は,214点を算定できる。また,医薬品の処方を行い,又はファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合は,調剤料,処方料,処方箋料,調剤技術基本料又は薬剤料を算定することができる。
  • 慢性疾患等を有する定期受診患者等に対し,電話等を用いた再診により診断や処方を行った場合には,電話等再診料(73点)又は外来診療料(74点)を算定できる。また,医薬品の処方を行い,又はファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合は,調剤料,処方料,処方箋料,調剤技術基本料又は薬剤料を算定することができる。
    本取扱いにより外来診療料を算定する場合には,レセプトの摘要欄に電話等による旨及び当該診療日を記載すること。また,カルテへの記載については,電話等再診料の規定に基づいて対応すること。
  • 8月以降,電話再診による処方は認められない。ただし,診療報酬点数表に規定されている患者からの求めに応じて対応する電話再診(処方を伴わない)は,従前どおり可能(情報通信機器を用いた診療の届出も不要)
  • 上記①②を算定する場合の注加算について,初診については,注6から注9までに規定する加算(乳幼児加算,時間外加算等),再診については,注4から注7までに規定する加算(乳幼児加算,時間外加算等),注11に規定する加算(明細書発行体制等加算),外来診療料については,注7から注9までに規定する加算(乳幼児加算,時間外加算等)について,それぞれの要件を満たせば算定できる。

(3)その他加算の取扱い等について(電話等による特定疾患療養管理料,通院・在宅精神療法等)
 慢性疾患又は精神疾患を有する定期受診患者に対して,電話等を用いた診療及び処方を行う場合,電話等を用いた診療を行う以前より,対面診療において診療計画等に基づき療養上の管理を行い,「情報通信機器を用いた場合」が注に規定されている管理料等に基づく管理を行う場合は,慢性疾患の診療(147点)を月1回に限り算定できる。また,対面診療において精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに精神療法を継続的に行い,通院・在宅精神療法を算定していた患者に対して,電話等の診療においても,当該計画に基づく精神療法を行う場合は,精神疾患の診療(147点)を月1回に限り算定できる。

在宅医療に係る特例

(1)往診等を実施した場合における特例について

  • 新型コロナウイルス感染症患者及び疑い患者に対して,往診等を実施する場合であって,必要な感染予防策を講じた上で当該患者の診療を行った場合に,院内トリアージ実施料(300点)を算定できる。
  • 新型コロナウイルス感染症患者に対して,当該患者又はその看護に当たっている者から新型コロナウイルス感染症に関連した訴えについて往診を緊急に求められ,速やかに往診しなければならないと判断し往診を実施した場合,あるいは,在宅にて療養を行う新型コロナウイルス感染症患者であって,新型コロナウイルス感染症に関連した継続的な診療の必要性を認め訪問診療を実施した場合において,救急医療管理加算1(950点)を算定できる。
  • 介護医療院,介護老人保健施設,地域密着型介護老人福祉施設,介護老人福祉施設に入所する新型コロナ感染症患者に対して往診した場合は救急医療管理加算1(2850点)が算定可
  • 上記②の場合であって,緊急往診加算(325点,650点,750点,850点)の算定要件を満たしていれば,併算定して差し支えない。
  • 標榜時間内に緊急に往診した場合の加算
  • 同一の患家等で2人以上の新型コロナウイルス感染症患者を診察した場合の救急医療管理加算1(950点)の算定については,2人目以降の新型コロナウイルス感染症患者について,往診料を算定しない場合においても算定できる。

新型コロナウイルスの検査に係る特例

 検査の費用が包括されている小児科外来診療料,小児かかりつけ診療料,地域包括診療料,認知症地域包括診療料,生活習慣病管理料,手術前医学管理料又は在宅がん医療総合診療料を算定する患者に対し,SARS-CoV-2核酸検出,SARS-CoV-2抗原検出,SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出等を実施した場合にあっても,別に検査の費用および判断料が算定できる。ただし,レセプトに検査を実施した日時と実施理由を記載すること。
※上記1のとおり,5月8日以降,コロナ検査に係る公費は廃止

入院調整に係る特例

 新型コロナウイルス感染症患者について,入院調整を行った上で,入院先の医療機関に対し診療情報を示す文書を添えて患者の紹介を行い,診療情報提供料(Ⅰ)を算定する場合,救急医療管理加算1(950点)を算定できる。なお,入院中の新型コロナウイルス感染症患者に対しても同様の取扱いが可能である。
 小児科外来診療料等の診療情報提供料(Ⅰ)に係る費用が当該管理料等に含まれる場合においても,上記と同様に患者の紹介を実施した場合は救急医療管理加算1(950点)を算定できる。

2023年5月1日号TOP