2023年5月1日号
与謝医師会 木村 進
私は,約16年前,とある紹介業者の人にこの診療所を知った。外来患者数が見込める診療所だ,という触れ込みである。家内と相談して上,この与謝野町に来ることに同意した。思い切った判断であった。以前,消化器内科の後輩が開業していたが,そのあと再び開院した。その地与謝野町に来てから,この土地にも慣れ親しんだ。由良川の支流の地に,機織り業を勤しんだ家家が立ち,周りを山に囲まれ,大江山の高台からは,集落が畑の中に集まっている。川は,秋になれば50センチほどの鮭が4匹5匹と泳いで,水も綺麗だ。学校やスーパー,郵便局があり,時々,織り機の音が聞こえる。町が経営する公園は,春になると桜が綺麗に咲く。山々は,秋になれば紅葉して色彩の鮮やかな季節になって,冬を迎える。
当クリニックは,すでに16年目を迎え,在宅医療を中心に,外来をしながら,このコロナ禍に発熱外来をしている。往診の傍ら,時間を気にしながら,2時に一旦クリニックに帰り,従業員とパソコンのメールを見ながら,再び往診に出る。近くの住民の人に運転手をしてもらって,近くの宮津のホテルで夏の慰安会,天橋立を見ながら冬の忘年会,蟹づくし,しばし,休日には,伊根町の港まで海岸通り沿いに車を走らせる。そんな毎日―金曜日の夜に,堺市の実家に車に乗って帰る。ふたたび,土曜日の夜,与謝野町に帰り,あくる朝,日曜外来をしている。そんな1週間である。