保険だより – 新型コロナウイルス感染症に係る労災診療費の臨時的な取り扱いについて

  5月15 日号京都医報保険だより等で既報のとおり,健康保険では,電話や情報通信機器を用いた診療について,「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」が示されています。この度,労災診療費についても「臨時的な取扱い」が示されましたので,お知らせします。

 当該感染症における労災保険の取り扱いについては,電話や情報通信機器を用いた診療による診断や処方をする場合には,労災診療費算定基準の対面による診療と同じ金額である初診料3,820 円, 再診料1,400 円により算定することとなります。また,再診の際の再診時療養指導管理料(920 円) についても,電話等再診(1,400 円)と合わせて算定できることとなります。その他の取り扱いにつきましては,下記をご参照ください。

1 電話等を用いた場合の初診料について

 令和2年4月10 日付け厚生労働省保険局医療課事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)」において,同日付け厚生労働省医政局医事課,医薬・生活衛生局総務課事務連絡「新型コロナウイルスの感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(以下「4月10 日付け事務連絡」という。)の記の1.(1)に規定する初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合には, 当該患者の診療について,初診料として診療報酬の算定方法(平成20 年3月5日付け厚生労働省告示第59 号(最終改正:令和2年3月5日)の別表第一医科診療報酬点数表及び第二歯科診療報酬点数表(以下「健保点数表」という。)のA000 初診料の注2に規定する214 点を算定することとされたところである。

 一方,労災保険では,労災診療費算定基準(昭和51 年1月13 日付け基発第72 号。最終改正: 令和2年3月31 日)により,初診料は3,820 円と定められているが,電話等を用いた場合の初診料は設定されていないことから,当該患者の診療について,初診料を算定する際は,診療報酬が臨時的な取扱いをされる間,通常の対面による診療と同じ金額(3,820 円)により算定すること。

 なお,その際は4月10 日付け事務連絡における留意点等を踏まえ,本人確認ができる書類の写しをファクシミリや電子データをメールで医療機関に送信させ,またはそれが困難な患者についても,電話で氏名,生年月日,連絡先(電話番号,住所,勤務先等)を確認した上で,適切に診療が行われることが求められること。

2 電話等を用いた場合の再診料について

 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いとして,慢性疾患等を有する定期受診患者等に対して,電話等再診料を算定できる範囲を広げているため,当該臨時的な取扱いが認められている間,該当する労災患者に対しても同様の取扱いとすること。なお,再診料を算定する際は,通常の対面による診療と同じ金額(1,400 円)により算定すること。

3 再診時療養指導管理料について

 従前より,電話再診の場合の再診時療養指導管理料については,健康保険の特定疾患療養管理料の考え方と同様,算定できないと取り扱っているところであるが,今般,新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いにより,電話や情報通信機器を用いた再診の際も,特定疾患療養管理料等が算定できることとされていることに鑑み,再診時療養指導管理料(920 円)についても,診療報酬が臨時的な取扱いをされる間,電話等再診(1,400 円)と合わせて算定できることとする。

4 その他

 労災診療費は,従前どおり,労災診療費算定基準に定められているものを除き,健保点数表の診療報酬点数に労災診療単価を乗じて算定することとなるため,これまで示された健康保険で認められている新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについても,当該取扱いが認められている間,原則準拠して取り扱うこと。なお,新型コロナウイルス感染症に係る療養(補償)給付の請求があった際には,その診療内容を確認するため,当面の間,関係書類を支払前に医事係あて協議すること。

2020年6月1日号TOP