2023年7月1日号
4月下旬から5月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆経済関係者や有識者らでつくる「令和国民会議(令和臨調)」は,社会保障関連の提言で,コロナ禍の経験も踏まえ,かかりつけ医機能を備えた医療者の「認定」制度を創設すべきだと主張。認定を受けた医療者(多職種保健チーム)を,住民が選択・登録する仕組みとし,医療者の責任に応じた報酬体系を導入すべきだとしている。◆中医協総会は,診療報酬改定 DX を巡って本格的な議論を開始。大きな焦点となる改定の施行時期について,支払い側は,診療報酬は後ろ倒しにしても,毎年改定の薬価は4月を維持すべきだとの構えを示した一方で,診療側の長島日医常任理事は,診療報酬改定時に生じる業務負担や,レセコン,電子カルテ改修のための費用負担について言及し,医療機関の負担の極小化を目指すべきであり,ベンダーに生じる負担軽減効果については,運営保守経費の軽減を通じて医療機関に確実に目に見える形で還元されるべきだと主張した。◆医療 DX がテーマになった4月26日の中医協総会では,電子カルテの「3文書6情報」の入力を巡り,支払い側は,かかりつけ医の役割として入力を求めたいと主張。診療側は,小規模な医療機関ほどハードルが高いとし,拙速な対応をすべきでないと慎重さを求めた。◆自民党の社会保障制度調査会は5月9日の役員会で,医療・福祉分野の物価高騰・人件費上昇への対応を求める決議を会長一任でまとめた。政府が6月に決定する「骨太の方針 2023」を視野に入れ,2024 年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定で大幅な引上げを求める構えを示した。◆物価・賃金が高騰する中,日医など三師会は来月の「骨太の方針」も視野に入れ,医療や介護への財政措置を政府に求める合同声明を発表。公定価格で運営する医科・歯科施設,薬局,介護施設は価格に転嫁することができず,「対応には十分な原資が必要」だと強調した。◆財務省は5月12日の財政制度等審議会・財政制度分科会で,2025 年を目標としてきた社会保障改革を実現するには「事実上,本年が最後のチャンスだ」と強調し,少子化対策だけでなく,「全世代型」の制度実現へ向け,医療・介護の改革議論を加速すべきだと主張した。◆加藤勝信厚生労働相は5月12日の閣議後会見で,マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」について,利用者が医療機関で提示した際に,誤ってひも付いた別人の情報を閲覧したケースを,新たに1件確認したと発表。保険者がオンライン資格確認の手続きで,加入者の情報をシステム上に登録する際の事務的な手違いが原因との認識を示した。―といった話題を中心に説明した。
地区からは,かかりつけ医機能を巡る議論の中で重要なのは,国民の理解であるとして,重要な医療政策に関する情報については,医師会の考えとともに,積極的に情報発信していくべきであるとの意見が述べられた。
府医からは,以前は京都府医療推進協議会の開催を通じて,関係団体とともに府民へ情報発信する場があったが,府医としても各世代によって異なる意見を集約し,日医等を通じて積極的に発信していくことを検討する意向を示した。
6月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
第 49 回京都医学会は Web 配信を併用したハイブリッド形式で開催することを報告。積極的な参加とともに,幅広い領域からの一般演題への応募を呼びかけた。
産業廃棄物を排出し,産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付した医療機関は,その交付等状況報告書の提出が必要であることを説明。令和4年4月1日から令和5年3月31日までに交付した産業廃棄物管理票(マニフェスト)の内容を1年分まとめて医療機関所在地の行政担当部署へ提出するよう周知した。
「マイナ保険証」の導入により,様々な問題や不具合が発生していることから,これらを明らかにすべく,府医において,オンライン資格確認に関するアンケート調査を実施することを連絡し,京都医報6月1日号に封入されるアンケートへの協力を求めた。
令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行したことにより,令和2年8月より日医が発行していた「新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関みんなで安心マーク」(以下,「みんなで安心マーク」)について,医療機関での掲示やホームページ等への掲載ができなくなったことを連絡した。
「みんなで安心マーク」は医療法上の広告にあたるため,本来であれば「安心」という表現を医療機関やホームページ等に掲示することはできないが,新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を踏まえ,特例的対応として認められてきた経緯を説明。五類への移行にともない,この特例的な取り扱いも終了となるため,日医は8月までに同マークを撤去するよう呼びかけていることを報告した。