2020年6月15日号
今般,新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた医療機関の診療報酬上の評価を適切に行う観点から,診療報酬上の臨時的な取り扱い(その18)として,DPC 対象病院または特定機能病院において,検査料等が包括算定されている場合においても,SARS-CoV-2(新型コロナウイルス) 核酸検出等(PCR 検査,抗原検査)に係る検体検査実施料および検体検査判断料について,出来高で算定されること等が示されました。
これにともない,新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取り扱いに係る関連通知等の一部が改正され,PCR 検査は令和2年3月6日以降,抗原検査は同5月13 日以降に実施されたものに係る診療報酬の請求が対象であること,また,令和2年3月診療分の取り扱いについて,3月診療分のうち,PCR 検査に係る診療報酬が令和2年5月22 日時点で未請求であり,同日以降に当該診療報酬の請求が行われるものについては,改正後の感染症課長通知により,レセプトに基づき公費の補助を行うこと等が示されたところです。
また,行政検査における診療報酬の請求等に関する取り扱いおよび留意点が示されておりますので併せてお知らせします。
厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法(平成20 年厚生労働省告示第93 号)に基づき療養に要する費用の額を算定する患者(特定機能病院ではないDPC 対象病院における,同告示別表19 の診断群分類点数表に基づき療養に要する費用の額を算定する患者以外の患者を除く)に対し,SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出及びSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出を実施した場合にあっては,別途,SARS-CoV-2 核酸検出及び検体検査判断料のうち微生物学的検査判断料並びにSARS-CoV-2 抗原検出及び検体検査判断料のうち免疫学的検査判断料を算定できるものとする。
①基本的検体検査実施料について
特定機能病院(DPC 対象病院を除く)において入院中の患者に対し,SARS-CoV-2 核酸検出及びSARS-CoV-2 抗原検出を実施した場合にあっては,SARS-CoV-2 核酸検出及びSARS-CoV-2 抗原検出は基本的検体検査実施料に含まれないものとし,別に算定することができるものとする。
②基本的検体検査判断料について
特定機能病院(DPC 対象病院を除く)において入院中の患者に対し,SARS-CoV-2 核酸検出及びSARS-CoV-2 抗原検出を実施した場合にあっては,SARS-CoV-2 核酸検出について実施した微生物学的検査判断料及びSARS-CoV-2 抗原検出について実施した免疫学的検査判断料は基本的検体検査判断料に含まれないものとし,別に算定することができるものとする。
1.に基づき算定した検査の費用を請求する場合におけるレセプトの記載方法等の取扱いについては,次のとおりとする。
自己負担に相当する金額の請求方法等については,「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて」(令和2年3月4日健感発0304 第5号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。5月22 日最終改正)において,医療機関においてレセプトを作成し,審査支払機関に請求を行い,レセプトに基づき公費の補助を行うこととされていることから「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の保険適用に伴う費用の請求に関する診療報酬明細書の記載等について」(令和2年5月13 日付保医発0513 第2号厚生労働省保険局医療課長通知)に基づき記載すること。
療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令第七条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める様式(平成20 年厚生労働省告示第126 号)様式第二(一)(診療報酬明細書(医科入院)の様式)を用いて,別途,書面により請求すること。
問1 微生物学的検査判断料は月1回に限り算定することができる点数であるが,SARSCoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出を実施する以前に外来等で微生物学的検査判断料を算定した患者については,当該判断料は別に算定することができるのか。
(答) 同月に微生物学的検査を算定した患者については,別に算定することができない。
問2 免疫学的検査判断料は月1回に限り算定することができる点数であるが,SARSCoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出を実施する以前に外来等で免疫学的検査判断料を算定した患者については,当該判断料は別に算定することができるのか。
(答) 同月に免疫学的検査判断料を算定した患者については,別に算定することができない。
問3 2.に基づき作成するレセプトにおいて,検体検査実施料及び検体検査判断料(※)以外の算定項目(入院基本料や検体採取料等)はどのように記載するのか。
(答) 検体検査実施料及び検体検査判断料以外の算定項目については,通常の手続きに則りレセプトを作成し,これとは別途,2.に基づき作成するレセプトには,検体検査実施料及び検体検査判断料のみを記載すること。
(※) SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出及び検体検査判断料のうち微生物学的検査判断料又はSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出及び検体検査判断料のうち免疫学的検査判断料をいう。
1 上記,臨時的な取扱いについて(その18)において,DPC 対象病院及び特定機能病院は行政検査の費用を請求する場合におけるレセプトを,別途,書面により請求することとされていること。このため,行政検査を実施した診療月においては,同一のDPC 対象病院及び特定機能病院より, ① PCR 検査料及び微生物学的検査判断料並びに抗原検査料及び疫学的検査判断料が含まれないレセプト,に加えて,別途,② PCR 検査料及び微生物学的検査判断料並びに抗原検査料及び疫学的検査判断料のみが記載されたレセプト(書面)の2種類のレセプトが提出されること。
2 令和2年3月診療分の公費の補助の取扱いについて,従来は医療機関から都道府県に直接費用の請求を行い,1件当たり定額の補助とされていたところ,3月診療分のうち,PCR 検査に係る診療報酬が令和2年5月22 日時点で未請求であり,同日以降に当該診療報酬の請求が行われるものについては,レセプトに基づき公費の補助を行うことと改められたことに伴い,令和2年3月診療分のPCR 検査のうち,令和2年5月22 日時点で未請求であり,同日以降に3月4日課長通知に基づいて診療報酬及び公費の請求が行われるものについては,「「社会保険診療報酬支払基金法第十五条第三項の規定に基づき厚生労働大臣の定める医療に関する給付等の一部を改正する告示」の告示及び適用について」(令和2年5月13 日保発0513 第4号厚生労働省保険局長通知)において定めている「PCR 検査に係る自己負担相当額に対する給付」に該当するものと整理されること。
なお,3月診療分であっても,既にPCR 検査に係る診療報酬の請求が行われているものに関する公費補助については,仮に再審査等により,本日以降に請求のやり直し等を実施した場合であっても,なお従前の例によることとされていることから,「社会保険診療報酬支払基金法第十五条第三項の規定に基づき厚生労働大臣の定める医療に関する給付」(昭和52 年厚生省告示第239 号)等の告示においても,従前どおりの取扱いとなること。