保険だより – 薬価基準の一部改正等について 5月20 日から

  5月19 日付厚生労働省告示第214 号をもって,薬価基準の一部が改正され,5月20 日から適用されましたので,その概要を下記のとおりお知らせします。

  なお,新たに薬価基準に収載されたゾルゲンスマが含まれる療養の給付費等の請求にあっては, 当分の間,療養の給付および公費負担医療に関する費用の請求に関する省令附則第4条第5項第5 号に掲げる請求に該当することから,書面による請求を行うこととされています。

▷新たに収載されたもの(5月20 日から適用) 

< 内 用 薬 > 

< 注 射 薬 >

< 外 用 薬 >

▷薬価基準の一部改正にともなう留意事項について

(1)メラトベル顆粒小児用0.2% 

  本製剤の効能又は効果に関連する注意に,「神経発達症の診断は,米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)に基づき慎重に実施し,基準を満たす場合にのみ投与すること。」及び「入床を一定の時間帯にするなどの睡眠衛生指導や,可能な場合には行動療法的治療を実施し,入眠潜時の延長のある患者に投与すること。」と記載されているので,使用に当たっては十分留意すること。

(2)ロケルマ懸濁用散分包5g及び同懸濁用散分包10 g 

  本製剤の効能又は効果に関連する注意に,「本剤は効果発現が緩徐であるため,緊急の治療を要する高カリウム血症には使用しないこと。」及び用法及び用量に関連する注意に,「本剤投与開始3日後にも血清カリウム値が治療目標値に達していない場合は,他の治療方法を検討すること(血液透析施行中を除く)。」と記載されているので,使用に当たっては十分留意すること。

(3)テプミトコ錠250mg 

  本製剤の効能又は効果に関連する注意において,「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により,MET 遺伝子エクソン14 スキッピング変異が確認された患者に投与すること。」とされているので,MET 遺伝子エクソン14 スキッピング変異陽性を確認した検査の実施年月日をレセプトに記載すること。

  なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

(4)ビルテプソ点滴静注250mg 

① 本製剤の効能又は効果に関連する注意に,「遺伝子検査により,エクソン53 スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失(エクソン43-52,45-52,47-52,48-52,49-52, 50-52,52 欠失等)が確認されている患者に投与すること。」と記載されているので,遺伝子欠失を確認した検査の実施年月日をレセプトに記載すること。
 なお,当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし,本剤の初回投与に当たっては,必ず実施年月日を記載すること。

② 本製剤の効能又は効果に関連する注意に,「正常なX染色体を有する女性ジストロフィン異常症患者に本剤を投与した場合,正常なジストロフィン発現を低下させるおそれがあるため, このような患者には投与しないこと。」と記載されているので,使用に当たっては十分留意すること。

(5)オゼンピック皮下注0.25mg SD,同皮下注0.5mg SD 及び同皮下注1.0mg SD 

① 本製剤はグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストであり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

② 本製剤は針付注入器一体型のキットであるため,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

③ 本製剤の自己注射を行っている者に対して,血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には,インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて,「C150」血糖自己測定器加算を算定できるものであること。

(6)ルムジェブ注カート,同注ミリオペン,同注ミリオペンHD 及び同注100 単位/mL 

① 本製剤はインスリン製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

② ルムジェブ注ミリオペン及び同注ミリオペンHD は注入器一体型のキットであるため, 「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算は算定できないものであること。

(7)ソリクア配合注ソロスター

① 本製剤はインスリン及びグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストの配合製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

② 本製剤は注入器一体型のキットであるため,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する患者に対して処方した場合には,「C151」注入器加算は算定できないものであること。

③ 本製剤の自己注射を行っている者に対して,血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には,インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて,「C150」血糖自己測定器加算を算定できるものであること。

(8)オニバイド点滴静注43mg 

  本製剤の警告に,「従来のイリノテカン塩酸塩水和物製剤の代替として本剤を投与しないこと。」及び「本剤の投与にあたっては,緊急時に十分対応できる医療施設において,がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。」と記載されているので,使用に当たっては十分留意すること。

(9)エンハーツ点滴静注用100mg 

  本製剤の効能又は効果に関連する注意に,「トラスツズマブ(遺伝子組換え),タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)による治療歴のない患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。」と記載されているので,トラスツズマブ(遺伝子組換え),タキサン系抗悪性腫瘍剤及びトラスツズマブエムタンシン(遺伝子組換え)の治療歴を有する患者に投与することとし,その旨をレセプトに記載すること。

(10)ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL 

  本製剤の効能又は効果に関連する注意に,「化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合にはこれらの治療を優先すること。」と記載されているので,本剤の投与が必要と判断した理由をレセプトに記載すること。

(11)ボンベンディ静注用1300 

① 本製剤は,遺伝子組換えヒトvon Willebrand 因子製剤であり,本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。

② 本製剤は針及び注入器付きの製品であるため,「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合,「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。

(12)ゾルゲンスマ点滴静注

① ゾルゲンスマ点滴静注については,日本小児神経学会の「ゾルゲンスマ点滴静注 適正使用指針」に従い使用するとともに,当該指針の施設要件等に準拠した,副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な医療機関で使用するよう十分留意すること。

② 本品の効能,効果又は性能に関連する使用上の注意に,「SMN1 遺伝子の両アレル性の欠失又は変異が確認された患者に投与すること。」「2歳未満の患者に投与すること。」及び「承認された体外診断薬を用いた検査により抗AAV9 抗体が陰性であることが確認された患者に投与すること。」とされているので,以下をレセプトの摘要欄に記載すること。
・SMN1 遺伝子の両アレル性の欠失又は変異を確認した遺伝子検査の実施年月日
・本品の投与日齢
・抗AAV9 抗体が陰性であることを確認した検査の実施年月日

③ 本品の投与に当たっては,脊髄性筋萎縮症の診断,治療,及び不具合・有害事象発現時の対応に十分な知識と経験を有し,製造販売業者が実施する本品の適正使用に関する講習を修了した複数名の医師による判断に基づき行うこと。

▷保険医が投与することができる注射薬の追加について

  保険医が投与することができる注射薬については,掲示事項等告示第10 第1号に定められているが,今般,新医薬品「ボンベンディ静注用1300」(ボニコグ アルファ(遺伝子組換え))が薬価基準に収載されたことに関連して,令和2年5月19 日付け厚生労働省告示第214 号第2条及び同告示第215 号をもって特掲診療料の施設基準等及び掲示事項等告示が一部改正されるとともに,同日付け保医発0519 第3号厚生労働省保険局医療課長通知により,「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部が改正され,当該製剤が「C101」在宅自己注射指導管理料の対象薬剤とされた。第2部 在宅医療 C200 薬剤の厚生労働大臣の定める注射薬にも追加。

(1) 令和2年5月19 日付け厚生労働省告示第214 号第2条による特掲診療料の施設基準等(平成20 年厚生労働省告示第63 号)の改正

別表第九
 別表第九 在宅自己注射指導管理料,間歇注入シリンジポンプ加算,持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬
インスリン製剤
性腺刺激ホルモン製剤
ヒト成長ホルモン剤
(略)
デュピルマブ製剤
インスリン・グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト配合剤
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤
遺伝子組換えヒトvon Willebrand 因子製剤

※改正箇所下線部

(2) 令和2年5月19 日付け厚生労働省告示第215 号による掲示事項等告示(平成18 年厚生労働省告示第107 号)の改正

第十 厚生労働大臣が定める注射薬等
一 療担規則第二十条第二号ト及び療担基準第二十条第三号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬
 インスリン製剤,ヒト成長ホルモン剤,…(中略)…,デュピルマブ製剤,ヒドロモルフォン塩酸塩製剤,インスリン・グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト配合剤,ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤及び遺伝子組換えヒトvon Willebrand 因子製剤

※改正箇所下線部

▷新医薬品の処方日数制限の例外について

  新医薬品については,投薬期間制限(14 日分を限度)が適用されるが,掲示事項等告示の改正によって,新たにキャブピリン配合錠,ソリクア配合注ソロスター,アイラミド配合懸濁性点眼液が当該制限の例外とされた。

▷関係通知の一部改正等について

  「使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について」(平成29 年8月29 日付け保医発0829 第8号) の記の3の(3)を次のように改める。

2020年6月15日号TOP