介護保険ニュース – 新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱いについて(第11 報)

   新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱いにつきましては,京都医報介護保険ニュースにてお知らせしているところですが,今般,厚生労働省より, その第11 報が発出されましたのでお知らせします。

問1  「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス,居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12 年3月1日老企第36 号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第2の2(4)④において,「訪問介護は在宅の要介護者の生活パターンに合わせて提供されるべきであることから,単に1回の長時間の訪問介護を複数回に区分して行うことは適切ではない。したがって,前回提供した指定訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で指定訪問介護が行われた場合には,それぞれの所要時間を合算するものとする。」とあるが,新型コロナウイルス感染症による影響により,利用者からの要望内容が多岐に渡るケースの増加や,通所系サービス事業所の休業又は利用者の通所系サービス等の利用控えなどから,訪問の頻度を増やす必要があることを理由に,サービスとサービスとの間隔がおおむね2時間未満となる場合,それぞれの所要時間を合算せず,報酬を算定する取扱いが可能か。

(答)  可能である。
  なお,「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第2報)」(令和2年2月24 日付厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)別紙1の2により,通所サービスの事業所の職員による利用者の居宅への訪問によるサービス提供を行うことを可能としているが,当該訪問によるサービスからおおむね2時間未満の間隔で指定訪問介護,又は当該訪問によるサービスが行われた場合であっても,それぞれのサービスについて報酬を算定する。

問2  訪問介護の生活援助の所要時間の取扱いは,「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第4報)」(令和2年3月6日付厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)の問5において,利用者や訪問介護員等への感染リスクを下げるため,生活援助を可能な限り短くする工夫を行った結果,サービス提供時間が短時間(20分未満)となった場合でも,介護報酬の算定を可能とする旨が示されているが,訪問介護の身体介護の所要時間についても,利用者や訪問介護員等への感染リスクを下げるため,入浴の介助を清拭で行うなど,身体介護を可能な限り短くする工夫を行った結果,サービス提供時間が訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間を下回った場合でも,標準的な時間で報酬を算定することとして差し支えないか。

(答)  差し支えない。
 なお,実際のサービス提供時間が,訪問介護計画において位置づけられた内容の指定訪問介護を行うのに要する標準的な時間に比べ著しく短時間となっている状態が続く場合には,通常,サービス提供責任者に,介護支援専門員と調整の上,訪問介護計画の見直しを行わせるものとされているが,サービス提供が短時間となっている理由が,今般の新型コロナウイルス感染症の影響によるもので,事前に利用者に説明し,請求前に同意が得られ(同意は,訪問介護事業者が直接取得することも,介護支援専門員経由で取得することも可)た場合,訪問介護計画の見直しを要しない。(訪問介護の生活援助も同様)
  一方で,サービス提供時間が訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間よりも長くなった場合(例:外出介助で買い物に店に行ったが,混雑により時間を要する場合等)については,実際にサービス提供を行った時間に応じた単位数の算定が可能である。ただし,この場合,当該サービス提供時間の変更について,事前に利用者に説明し,請求前に同意が得られ(同意は,訪問介護事業者が直接取得することも,介護支援専門員経由で取得することも可),かつ介護支援専門員が必要と認めるときには,可能である。なお,訪問介護計画及び居宅サービス計画は,保険者からの求めに応じて,必要な変更を行うこと。

問3  通所系サービス事業所において,利用者の自主的な利用控えがあった場合に,定員を超過しない範囲で,他の休業している同一サービス事業所の利用者を受け入れることは可能か。

(答)  事業所を変更する利用者の居宅サービス計画を変更した場合は,当該利用者を受け入れることは可能である。
  居宅サービス計画の変更に係る同意については,最終的には文書による必要があるが,サービス提供までに説明を行い,同意を得ていれば,文書はサービス提供後に得ることとしても差し支えない。
  なお,「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)」(令和2年4月7日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか事務連絡)に十分配慮の上,利用者を受け入れる事業所の運営規程に定められている利用定員を超えて利用者を受け入れる場合であっても,新型コロナウイルス感染症の影響によりやむを得ないと認められるときは,「厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法」(平成12年厚生労働省告示第27号)第1号に定める減算を適用しない等の柔軟な取扱が可能である。

問4  特定事業所加算(Ⅰ)を算定している居宅介護支援事業所が,今般の新型コロナウイルス感染症の影響で体制縮小等を行った他事業所の利用者を引継いだ場合,算定要件の「算定日が属する月の利用者の総数のうち,要介護状態区分が要介護3,要介護4又は要介護5である者の占める割合が100分の40以上であること」の計算において,「地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合」と同様,引継いだ利用者は例外的に割合計算の対象外として取り扱うこととして差し支えないか。

(答) 差し支えない。

問5  今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,居宅介護支援事業所において,当初ケアプランで予定されていたサービス利用がなくなった等の場合は,居宅介護支援費の請求は可能か。

(答)  事業所において,モニタリング等の必要なケアマネジメント業務を行い,給付管理票の作成など,請求にあたって必要な書類の整備を行っていれば,新型コロナウイルス感染症の影響により,実際にサービス提供が行われなかった場合であっても請求は可能である。
  なお,具体的な請求にあたって,データの作成等において,個別の請求ソフト等による支障がある場合については,個別に各請求ソフト作成者に相談いただきたい。
  また,今般の取扱いは新型コロナウイルス感染症の影響による場合に限った取扱いであることから,新型コロナウイルス感染症により,サービスの利用実績が存在しないが,居宅介護支援費を算定した旨を適切に説明できるよう,個々のケアプラン等において記録で残しつつ,居宅介護支援事業所において,それらの書類等を管理しておくことが必要である。

問6  新型コロナウイルス感染症に対する感染拡大防止の観点から通所リハビリテーション事業所が休業した場合,退院・退所日又は認定日から3月以内という要件に該当しない場合であっても,再開時点から,短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定することは可能か。

(答)  可能である。この場合,サービス再開日を起算日とし,3月以内の算定が可能である。
  ただし,事業所の休業後に通所リハビリテーション事業所(休業に伴う通所リハビリテーション事業所からの訪問サービスまたは別事業所・公民館等での通所リハビリテーションを含む)又は訪問リハビリテーション事業所による他のサービスが実施されていない利用者に限る。

問7  「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第7報)」(令和2年4月9日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)問1で,新型コロナウイルス感染症への対応により,令和2年4月分の介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を取得しようとする介護サービス事業所等で,期限までの提出が難しい場合の取扱いが示されているが,5月,6月分について,新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの提出が難しい場合も,これに準じた対応が可能か。

(答)  5月及び6月サービス提供分についても,「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第7報)」問1に準じた取扱いが可能である。

問8  令和元年度に取得した介護職員処遇改善加算等について,令和元年度の実績報告書について,新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの提出が難しい場合,どのような対応が可能か。

(答)  各事業年度における最終の加算の支払があった月の翌々月の末日までに,都道府県等に対して実績報告書を提出することとなっているが,新型コロナウイルス感染症への対応により提出が難しい場合は,提出期限を8月末まで延長することが可能である。

2020年6月15日号TOP