第6回 地区庶務担当理事連絡協議会(令和5年10月25日開催)

△報告ならびに協議事項

1.京都府医療推進協議会「府民の生命と健康を守るための総決起大会」について

 現下の物価高騰が国民生活および医療機関等に及ぼす影響が看過できない水準にまで達しており,喫緊かつ恒常的な対応が求められ,その負担を医療機関が負わざるを得ないという状況を踏まえ,10月10日に日医など医療・介護42団体で構成する国民医療推進協議会が総会において,医療分野における物価高騰・賃金上昇に対する取組みを進め,適切な財源の確保を求める決議を採択したことを報告。これを受けて,京都府医療推進協議会が,令和5年11月19日(日)に府医会館3階大会議室にて「府民の生命と健康を守るための総決起大会」を開催することを案内し,参加を呼びかけた。

2.最近の中央情勢について

 9月下旬から10月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会は9月27日,2024年度予算編成に向けた「秋の建議」をまとめるため,議論を開始。財務省は,医科診療所(入院外)の1受診あたりの医療費(医療費の総額を受診延べ日数で割って算出)を「単価」と設定し,ほぼ一貫して増加していると指摘。特に,19年度から22年度にかけた年平均増加率は4.3%で,近年の物価上昇率を超えた水準で急増しているとした。◆日医の松本吉郎は9月29日の会見で,2024年度診療報酬に向けた考え方について,通常の改定に加え,物価高騰・賃金上昇,新型コロナ対応という3つの論点があり,「異次元の改定となる」と表現。また,財務省の指摘に対し,「受診延べ日数は年々下がっており,コロナ後も十分に回復していない」と述べ,「1人あたり医療費」の上昇率は,物価上昇率を下回っているとして,1受診あたり医療費ではなく,1人あたり医療費に着目すべきだと主張した。◆中医協の診療報酬基本問題小委員会におおいて,「入院・外来医療等の調査・評価分科会」から,中間取りまとめを報告。委員の議論では,かかりつけ医機能を評価する「特定疾患療養管理料」が焦点の一つとなり,診療側は,分析のあり方に懸念を示した。厚生労働省は昨年度に実施した時間外対応加算の届け出状況に関する調査結果を踏まえ,中間まとめでは,時間外対応加算1・2の届け出をしている医療機関の方が,在医総管・施設総管,小児かかりつけ診療料,認知症地域包括診療料を届け出・算定している割合が多いと分析した。一方で,特定疾患療養管理料ではそうした差は見られなかったとした。これに対して,診療側の長島公之委員(日医常任理事)は,「特定疾患療養管理料の算定要件は在医総管・施設総管等と異なり,時間外対応は求められておらず,当然の結果ではないか」と述べた。◆厚生労働省は10月13日,「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討会」を初めて開き,かかりつけ医機能が発揮される制度の整備に向け,本格的な議論を始めた。かかりつけ医機能報告制度に関しては,これまで医療部会で,慢性疾患を持つ高齢者や継続的な医療を要する人に対し,かかりつけ医機能を地域で確保・強化するために取組む方針が示されていたが,河本滋史構成員(健保連専務理事)はかかりつけ医制度は全世代型社会保障構築の一環として行われると強調。「すべての国民が恩恵を受けることが不可欠。全世代,または幅広い疾患を対象とすべき」と主張した。これに対し,山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「全世代対象を将来的に視野に入れるのは重要だが,国民の意識をかなり変えないといけない」とくぎを刺すとともに,国民が広く予防的な観点でかかりつけ医を持つ必要があるほか,専門医の医学教育のあり方にも影響してくると指摘し,「国民が置き去りにならないよう,議論を進める必要がある」と述べた。―といった話題を中心に説明した。
 地区からは,医療費について,海外の薬や高額な医薬品の医療費を保険で賄うことで財源が圧迫されるのではないかとして,安価な医薬品への影響に懸念が示された。府医は,安価な医薬品については保険診療から外すか,非常に高価な医薬品に関しては海外に倣い,医療費負担を5割,10割にするなど様々な意見があることを紹介した上で,あまりに高価な医薬品は保険で賄いきれないため,保険診療外や他の基金を設立していくことで保険診療以外から財源を確保することも検討すべきであると回答した。

3.府医主・共催学術講演会実施予定について

 11月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。

4.麻薬免許の更新申請について

 有効期限が令和5年12月31日の麻薬免許の更新手続きの期限が迫っているため,更新未申請の先生方は速やかに手続きを行うよう注意を促した。
 また,今回の更新手続を行わず,麻薬業務を廃止する場合は,免許の廃止手続きが必要であると補足した。

5.診療情報連携に関する診療報酬について

 前回の協議で,地区より,専門医への紹介やその後の情報共有に関して,現在の診療報酬点数ではこの双方向の連携に対する評価がされていないとの指摘があったことを受け,改めて府医の見解を示した。
 双方向の情報共有に対する評価として,連携強化診療情報提供料150点が設定されているが,一定の算定要件が設けられ,どちらかの医療機関がかかりつけ医機能を有することとされ,具体的には地域包括診療加算などの施設基準を届出していることが要件となると説明。他の医療機関からの求めに応じてではなく,自ら必要と判断し情報共有した場合に算定できるようにするべきとの意見に対して,府医としても算定要件の緩和が必要との考えを示し,今後検討し,要望していきたいと回答した。

2023年12月15日号TOP