2024年1月15日号
設問 1 膠原病の免疫検査で誤っているのはどれか?
① 甲状腺疾患では抗核抗体は陽性とならない。
② ANCA(抗細胞質抗体)は結核などの感染症で陽性になる。
③ 散在斑紋型(Discrete-Speckled)は,強皮症があると考えて良い。
④ 感染症等の炎症性疾患で補体は上昇する。
⑤ 抗TIF-1γ抗体陽性の皮膚筋炎には高率に悪性腫瘍を合併する。
解答 1 ①
解説 1 抗核抗体は,健常人でも陽性になる他,感染症,甲状腺疾患(30-50%)でも陽性になる。ANCAも感染症で陽性になるため,抗体検査陽性であれば,必ず膠原病ではない。補体は免疫複合体形成時に消費されて低下するが,感染防御機構にも生理的役割があり,炎症時には増加する。抗TIF-1γ抗体陽性の皮膚筋炎では,約90%で悪性腫瘍と合併する。
設問 2 膠原病に合併する間質性肺炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
① 強皮症や関節リウマチに進行性線維化病態は少ない。
② 全身性エリテマトーデスには間質性肺炎が多い。
③ CTD-ILDで最も有用な血清マーカーはSP-Dである。
④ KL-6高値で間質性肺炎がない場合,肺癌,膵癌,乳癌に注意する。
⑤ ステロイド,免疫抑制剤に加えて抗線維化薬が有効である。
解答 2 ④,⑤
解説 2 SLEでは胸膜病変が多く間質性肺炎は少ないが,強皮症や関節リウマチでは間質性肺炎が多く,進行性線維化をきたす。血清マーカーとして,KL-6が最も有用であるが,間質性肺炎がなく高値の場合は,肺癌などの腺癌の有無を検索する。膠原病の間質性肺炎には,原疾患の免疫抑制治療に加えて,抗線維化薬治療が有効である。
設問 1 日本食スコアに含まれないものはどれか?
① みそ汁
② 魚介類
③ 緑茶
④ コーヒー
⑤ 豚肉
解答 1 ⑤
設問 2 酪酸産生菌の特徴として正しいものはどれか?
① 短鎖脂肪酸のなかでも酪酸を産生する。
② 食物繊維を資化して,腸内環境を整える。
③ 日本人の腸内には多種類の酪酸産生菌が定着している。
④ Clostridioides butyricum MIYAIRI は日本人の腸から分離された。
⑤ 酪酸は制御性T細胞の誘導に関与する。
解答 2 すべて
設問 1 サルコペニアを合併する高齢者肺炎患者は早期○○訓練で退院時の経口摂取自立率が改善する。○○に入る言葉を答えよ。
解答 1 早期離床
解説 1 早期離床訓練で退院時の経口摂取自立率が3.1倍になる。
P サルコペニアの嚥下障害を有する高齢肺炎患者
I 理学療法士による早期離床訓練あり
C 理学療法士による早期離床訓練なし
O 退院時経口摂取自立率
Miyauchi N, et al. Eur Geriat Med 2019;10:603-607
設問 2 FSSGは○点(①以上で ②以下で)他の疾患と比較して逆流性食道炎やGERDの可能性が高いとされる問診票である。○に入る数字と,①か②のどちらが正しいか答えよ。
解答 2 ○…8,①以上で
設問 3 難治性GERDに効果のある運動療法は?
解答 3 ブリッジ空嚥下訓練
解説 3 仰臥位の状態で膝を立て腰の下に枕を挿入
空嚥下(インターバル7-10秒)
1日10回×2-4週間
Aoyama K et al. Prog. Rehabil. Med. 2022;7, 20220054
設問 1 自己免疫性胃炎の診断に重要なポイントは?
解答 1 (確診例)
A)内視鏡所見(※細目),組織所見(※細目)のいずれか,もしくは両者が自己免疫性胃炎としての要件を満たす。
B)胃自己抗体陽性〔抗壁細胞抗体(※細目)あるいは抗内因子抗体のいずれか,もしくは両者が陽性〕
A)とB)の両者を満たすもの,ただし早期は組織所見と胃自己抗体陽性を満たすこと。(疑診例)
A)のみを満たすもの,ただし早期は組織所見のみを満たすこと。
鎌田智有 他 . Gastroenterol Endosc, 2023
設問 2 自己免疫性胃炎を診断する臨床的な意義は?
解答 2 ① 腫瘍性病変の高リスク(胃癌・胃NET)
② 他の自己免疫性疾患を合併(多腺性自己免疫症候群 IIIb)
③ ビタミンB12 欠乏による悪性貧血,亜急性連合性脊髄変性症,末梢神経障害,認知症等の神経疾患の高リスク
④ 胃酸分泌低下による鉄欠乏性貧血
NET:Neuroendocrine tumor 鎌田智有 , 他 . Gastroenteol Endosc, 2021
設問 1 腱鞘炎,絞扼性末梢神経障害,手の変形性関節症のうち,患者さんにとって最も外科的治療を受けるハードルが高いのはどの病態か。
解答 1 手の変形性関節症
解説 1 手の変形性関節症が最もハードルが高い。
腱鞘炎,絞扼性神経障害は術後の安静が不要で,抜糸すれば元の生活だが,変形性関節症では,後療法に一定の期間を要し“Forgotten joint”となるまでには最低数か月を要する。よって,外科的治療以外の治療選択肢の重要性が高い。
設問 2 手の変形性関節症は,男女で発症時期のピークが異なる。○か×か。
解答 2 ○
解説 2 ヘバーデン結節,ブシャール結節は
男性では 50-60歳代にかけて大幅に増加
女性では 更年期世代 である40-50 歳代にかけて大幅に増加する。
設問 3 大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌で代謝されるとエクオールになることが知られている。日本人の半数以上はエクオール産生能を有している。○か×か。
解答 3 ×
解説 3 40歳以降の男女を対象とした一般住民ボランティアによる疫学調査では,性別・年齢階級によらず, エクオール産生能 を有する方は 約4割 であった。すなわち,半数以上の方は大豆製品を食べても,エクオールを体内で産生することはできない。
設問 1 間違いを一つ選べ。
① 悪性軟部腫瘍は数ケ月の臨床経過を持つことが多い。
② 境界明瞭,可動性良好は良性の所見である。
③ サイズが小さくても悪性の可能性がある。
④ 皮下腫瘍とは,皮下組織発生で,筋膜より浅部発生である。
解答 1 ②
解説 1 ② 境界明瞭,可動性良好は良悪性無関係である。
設問 2 間違いを一つ選べ。
① 骨肉腫は骨形成を特徴とする悪性腫瘍である。
② 50才以上の悪性骨腫瘍は,がん転移の頻度が高い。
③ 単純レントゲンでの辺縁骨硬化は良性骨腫瘍の所見である。
④ 非骨化性線維腫の単純レントゲン典型例でも診断にはMRIは必須である
解答 2 ④
解説 2 ④ 非骨化性線維腫の単純レントゲン典型例でも診断には単純レントゲン診断が望ましい。