2024年1月15日号
10月下旬から11月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆松本日医会長は10月25日の会見で,2024年度トリプル改定に向け,医療・介護従事者の「3%以上」の賃上げを求めていく意向とともに,賃上げの財源は,原則的に基本診療料に充てるべきだとの考えを示した。岸田文雄首相が,3%以上の賃上げを財界などに要請していることに言及し,「医療・介護従事者も労働者であり,全体としては他産業の労働者と同様の賃上げの必要がある」と主張。◆財務省は11月1日,2024年度診療報酬改定について,初・再診料を中心に診療所の報酬単価を引下げ,本体をマイナス改定にすることが適当だと主張。診療所は近年の物価上昇率を大きく上回る単価増・収益増で「極めて良好な経営状況」にあるとし,報酬単価を引下げて保険料負担・窓口負担の軽減につなげる必要があるとした。◆松本日医会長は11月2日の会見で,財務省が提言した診療所の偏在是正に向けた診療報酬の地域別単価の導入について,「点数単価や同じ医療技術の報酬を都道府県ごとに変えることは診療報酬に全くなじまない」と強調した。◆外来がテーマになった11月10日の中医協総会で,支払い側が外来管理加算について,対象疾患,診療科の条件がないことなどを指摘し,「基準が極めて曖昧」であるとして「評価の妥当性に疑問があり,併算定の仕組みも理解できない」と述べ,「外来管理加算」(52点)の廃止を主張したことに対し,診療側は「暴論」だと強く反発した。◆同日の中医協総会では,「特定疾患療養管理料(同管理料)」も大きな焦点となり,支払い側は現行の要件のままでは継続を認められないとして,事実上,要件の厳格化を要求した。―といった話題を中心に説明した。
地区からは,かかりつけ医の制度化を懸念する意見が出され,かかりつけ医に対する府医の考えについて質問が出された。
府医としては,診療科にかかわらず,医師一人ひとりがかかりつけ医としての意識を持って対応し,専門外の診療科については,専門医や専門の医療機関に適切に繋げていくことが「かかりつけ医機能」であるとの認識を示した上で,医療機関間で連携を推し進め,面としてのかかりつけ医機能が発揮できるよう寄与することが医師会の役割であるとの考えを示した。
12月,1月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
麻薬新免許証の交付について,日時,場所,必要書類等を説明した(京都医報令和5年11月15日号No.2257「保険だより」参照)。
厚労省からの事務連絡の発出を受けて,第一三共の12歳以上用のオミクロン株(XBB.1.5)の1価ワクチン(販売名「ダイチロナ筋注」)について,今後薬事承認された場合を想定したワクチンの出荷スケジュール等について以下のとおり情報提供を行った。
地区より,大規模災害時における自治体と医師会との協力体制や取り決めについて質問が出された。
府医では,平成19年に「十四大都市医師会災害時における相互支援に関する協定書」を締結し,平成24年には「近畿医師会連合会災害時等における相互応援に関する協定書」を締結していることを報告。一方で,平成5年に京都府と締結した「災害時の医療救護活動に関する協定書」と,平成8年に京都市と締結した「災害医療救護活動に関する協定書」については,締結以降,更新できていないことから,できるだけ早くに見直していきたいと回答した。また,今後の災害対策については,現在,府医の大規模災害時行動マニュアルを作成中であり,府医や地区医の対応についても記載した上で,提供していく考えを示した。