講演会 「今村翔吾氏 夢を見つけ,持ち,追うことの大切さ」

北 小仲嘉奈子

 令和5年11月16日に歴史小説家で直木賞作家の今村翔吾氏の講演会がホテルオークラ京都にて開催されました。今回,総勢81名のご参加をいただき,楽しいお話に耳を傾けました。
 今村氏が読書好きになったきっかけは,小学5年生のとき古本屋で買ってもらった真田太平記だそうです。その後,3日に1冊のペースで本を読み,高校の卒業アルバムには「将来の夢は小説家」と書いていたそうですが,実際には30才まで小説を書かれていませんでした。
 それまでは,家業のダンス教室を手伝っていて,教えるだけでなく事務などいろいろな仕事をして,とても忙しかったそうです。ダンスはあまり好きではない,とのことでした。
 教室では子どもたちに「いつか小説家になりたい」と話していた,と振り返られていました。
 そんな中,転機が訪れました。高校2年生の教え子が家出したことでした。何回もして,その度,居場所まで迎えに行き,最後には名古屋まで行ったそうです。その帰り,その子が将来のことで悩んでいることを聞き,「夢をあきらめるな」と言うと,「翔吾くん(教え子達からそう呼ばれてことをいた)こそ夢をあきらめているくせに」と言われ,「本当にそのとおりや」と思った,とのことです。そしてこのことが小説家としての原点になったと話されました。その子の一言がなかったら小説も書いてなかったし,小説家にもなっていなかった,とのことでした。
 人生の転機は予期せぬタイミングでやってくる,日々どうやって生きていくかが重要,最後に決めるのは自分だ,と子ども達向けの講演のときにも伝えているそうです。
 最後に,夢をかなえるには才能や努力も必要だけど一番影響力があるのは「縁」だとお考えでした。一度つながった縁を大切にすると,新たな夢ややりたいことにつながる,と話されました。
 今村氏は書店なども経営されていて,とてもパワフルな方だと感じました。相楽郡旧加茂町ご出身なので関西弁でのユーモアたっぷりのお話でした。これから私も「縁」を大切にしていきたいと思いました。

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2024年1月15日号TOP