2024年2月1日号
令和5年12月15日より,「顔認証マイナンバーカード」(暗証番号の設定が不要なカード)の交付等申請受付が開始されることとなりました。
当該カードについては,令和5年9月15日号本紙でもその概要をお知らせしましたが,今般,当該カードへの対応等の詳細が厚生労働省より示されましたので,下記をご参照ください。
記
1.顔認証マイナンバーカードの概要
(1)導入の趣旨・目的
顔認証マイナンバーカードは,暗証番号の設定を不要とし,マイナンバーカードに搭載された利用者証明用電子証明書を用いる際の本人確認では,機器による顔認証又は目視による顔確認に限定する設定を行ったマイナンバーカードです。
マイナンバーカードを健康保険証や本人確認書類として利用したいが,暗証番号の設定や管理に不安がある方等が安心してマイナンバーカードを取得し,利用できるよう新たに導入されました。
(2)特徴
顔認証マイナンバーカードでは,機器による顔認証又は目視による顔確認により本人確認を行い健康保険証としての利用等ができますが,暗証番号の入力が必要なサービスは利用できません。顔認証マイナンバーカードの交付等申請受付は希望者全員を対象としており,希望者は市町村窓口で手続きをすることとなります。
すでに通常のマイナンバーカードをお持ちの方が顔認証マイナンバーカードを希望する場合は,市町村窓口で手続きをすることで,すでにお持ちのカード自体は交換せず,通常のマイナンバーカードから顔認証マイナンバーカードに設定を切り替えることが可能です(顔認証マイナンバーカードから通常のマイナンバーカードへの設定の切り替えも同様に可能)1。
顔認証マイナンバーカードは,医療機関・薬局において外見上区別できるよう,カードの追記欄に「顔認証」と印字されます(参考1)2。
(参考1)顔認証マイナンバーカードのイメージ
1. この際,すでにお持ちのマイナンバーカードで健康保険証の利用登録がされている場合は,設定切替え後も引き続きマイナンバーカードを健康保険証として利用し続けることができます。なお,顔認証マイナンバーカードでも,顔認証付きカードリーダーを利用して顔認証又は目視による本人確認により健康保険証の利用登録が可能です。
2. 顔認証マイナンバーカードから通常のマイナンバーカードに設定を切り替えた場合は追記欄の「顔認証」の文字が取り消し線で消されます。
(3)用途・機能
顔認証マイナンバーカードは,マイナポータルや各種証明書のコンビニ交付など暗証番号が必要なサービスでは利用できませんが,マイナンバーカードに記録されている顔写真を用いて,顔認証等により確実な本人確認を行った上で,オンライン資格確認を行うことができます(参考2)。
また,顔認証マイナンバーカードでは,通常のマイナンバーカードと同様,患者本人の同意に基づき,医療機関・薬局において,患者の過去の薬剤情報,特定健診等情報,診療情報を閲覧できるようになり,より多くの情報を元にした診療や服薬指導を行うことができます(参考3)。
(参考2)顔認証マイナンバーカードで利用できるサービス・利用できないサービス
(参考3)マイナンバーカード,顔認証マイナンバーカード及び資格確認書の用途
2.顔認証マイナンバーカードの健康保険証利用登録
通常のマイナンバーカードについては,これまで①スマートフォン,②セブン銀行のATM,③医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーで健康保険証利用登録が可能となっています。
この点,顔認証マイナンバーカードでは,暗証番号が必要となる①スマートフォン,②セブン銀行のATMでは健康保険証利用登録ができませんが,顔認証マイナンバーカードの交付時・設定切り替え時に,本人の希望に基づき,市町村での健康保険証利用登録を可能としています。なお,顔認証マイナンバーカードでも,引き続き③医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーで健康保険証利用登録を行うことはできます。
医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーでの健康保険証利用登録の際の顔認証付きカードリーダーの画面遷移については,「病院・診療所向けオンライン資格確認等システム運用マニュアル2.70版」(令和5年11月30日社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会)の26ページ又は「薬局向けオンライン資格確認等システム運用マニュアル2.70版」(令和5年11月30日社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会)の27ページを御参照ください3。
なお,現在,医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーでは,暗証番号又は顔認証での本人確認を行った場合に利用登録が可能となっていますが,目視での本人確認を行った場合にも利用登録が可能となるよう,顔認証付きカードリーダーのシステムアップデートを実施します。このシステムアップデートに当たって,各医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーの交換等は必要ありません。システムアップデートの詳細については,「医療機関等向けポータルサイト」4に掲載していますので,御参照ください。
3. https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/news/post-262.html
また,新規の健康保険証利用登録による医療機関・薬局の顔認証付きカードリーダーの混雑を軽減するため,通常のマイナンバーカードから顔認証マイナンバーカードに設定を切り替える際には,あらかじめマイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていただくよう周知することとしています。
3.顔認証マイナンバーカードで医療機関・薬局を受診等する場合の対応
患者が顔認証マイナンバーカードを用いて医療機関・薬局を受診等する場合は,通常のマイナンバーカードと同様の手順で顔認証付きカードリーダーを操作いただくことになります。なお,顔認証マイナンバーカードでは暗証番号が利用できなくなるので,本人確認方法としては顔認証による本人確認が基本となります。詳細は以下の(1)~(3)をご覧ください。
(1)顔認証付きカードリーダーの操作
まず,通常のマイナンバーカードと同様に,顔認証付きカードリーダーに顔認証マイナンバーカードを挿入等いたします。
なお,通常のマイナンバーカードと同様,障害がある等によりご自身で顔認証マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーに置くことが難しい等のやむを得ない事情があり,患者ご本人から希望があった場合に,家族の方や介助者,施設職員等が患者の顔認証マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーに挿入する等の必要な支援を行うことがあります。
(2)本人確認の方法
次に,本人確認については,顔認証マイナンバーカードでは暗証番号が利用できなくなるため,本人確認方法としては,顔認証を行っていただくことが基本となります。
顔認証が難しい場合には,医療機関・薬局の受付職員が,オンライン資格確認の目視モードを立ち上げ,カードに記録されている顔写真と一致する本人であることを目視で確認することにより,オンライン資格確認が可能ですので,こうした対応について,医療機関・薬局において,可能な限り御協力をお願いします。目視モードの利用方法については,4をご覧ください5。
なお,「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」(令和5年7月10日付け保発0710第1号厚生労働省保険局長通知。別添1)において,マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができないケースにおける資格確認の方法として,同通知2(1)において,「患者が自身のスマートフォン等によりマイナポータルにアクセスして医療保険の被保険者資格情報の画面を提示できる場合…は,当該マイナポータルの画面…を医療機関等の受付窓口に提示することにより資格確認を行」うこととしておりますが,顔認証マイナンバーカードについてはマイナポータルを利用することができないため,当該患者が健康保険証を持参していない場合は,同通知2(2)に記載のとおり「患者に,マイナンバーカードの券面情報(氏名,生年月日,性別,住所),連絡先,保険者等に関する事項(加入医療保険種別,保険者等名称,事業所名),一部負担金の割合等を申し立てる被保険者資格申立書…を可能な範囲で記入いただき」,医療機関・薬局の窓口に提出いただきます。
4. https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/news/
5. 顔認証マイナンバーカードに関して,待合スペース等にいる本人の顔とマイナンバーカードの写真を職員が目視で確認する本人確認も可能ですが,薬局において,代理の方が薬剤を受け取りに来るなど,本人が不在の場合は,目視での確認はできませんので,処方箋又は資格確認書で資格確認をしていただくことになります。
(3)同意選択
最後に,同意選択については,通常のマイナンバーカードと同様に,カードリーダーを操作することとなります。 なお,この際も通常のマイナンバーカードと同様,患者ご本人から希望があった場合に,家族の方や介助者,施設職員等が画面操作等を行うことによりご本人の同意選択等を手助けすることがあります。
4.目視モードの利用方法
3(2)に記載したとおり,顔認証が難しい場合には,医療機関・薬局の受付職員が,オンライン資格確認の目視モードを立ち上げ,カードに記録されている顔写真と一致する本人であることを目視で確認することにより,オンライン資格確認が可能ですので,こうした対応について,医療機関・薬局において,可能な限り御協力をお願いしております。
5.その他
顔認証マイナンバーカードにおける本人確認方法としては,顔認証を行っていただくことが基本となりますが,厚生労働省においては,顔認証付きカードリーダーの顔認証の精度向上等のため,各カードリーダーメーカーに対して改善を要請し,対応いただいているところです。
また,顔認証等におけるシステムトラブル時の対応方法については,全保険医療機関・薬局向けの「マイナンバーカードの保険証利用を推進するためのオンラインセミナー」(令和5年10月10日開催)において各カードリーダーメ―カーごとに分かりやすく御説明しておりますので,ご覧ください。
(URL)https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/news/post-253.html