「令和6年能登半島地震」で被災された方への診療について

 今般,令和6年能登半島地震に関し,保険証を紛失あるいは家庭に残したまま避難している方や,一部負担金等の支払いが困難な方に対する取り扱いが,厚労省より示されましたので,お知らせします。

1.保険証の提示がなくても保険診療ができます
【対象者】被災により,保険証を紛失または自宅等に残したまま避難し,提示できない方
【医療機関の対応】
  窓口で患者に次の事項を確認し,保険診療として取り扱うことができます。
  ①氏名,②生年月日,③連絡先(電話番号等),④加入している医療保険者(※)

  • 被用者保険の場合は事業所名,国民健康保険の場合は住所または組合名,後期高齢者医療の場合は住所

2.以下に該当する場合,診療等に係る窓口での一部負担金等の支払いを受け取る必要はありません
【特例の期間】令和6年4月末までの診療・調剤・訪問看護(医療保険)※延長する可能性あり
【対象者】(1)・(2)の両方に該当する患者の方
(1)「令和6年能登半島地震」にかかる災害救助法の適用市町村の住民の方で,次のいずれか保険者に加入されている方
 ①災害救助法適用市町村の一部の市町村国保
 ②災害救助法適用の市町村が所在する県の後期高齢者医療
 ③協会けんぽ,一部の健保組合・国保組合

  • 具体的な対象保険者は厚生労働省ホームページで確認できます。
    厚生労働省HP「政策について」>「分野別の政策一覧」>「他分野の取り組み」>「災害」>「石川県能登地方を震源とする地震について」>「「令和6年能登半島地震」で被災された方々の医療機関等での窓口での支払いは不要です」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37331.html

(2)次のいずれかに該当する旨を申し出た方

  • 住家の全半壊,全半焼,床上浸水またはこれに準ずる被災をした旨
    (※)罹災証明書の提示は必要なく,窓口での口頭申告で可
  • 主たる生計維持者が死亡しまたは重篤な傷病を負った旨
  • 主たる生計維持者の行方が不明である旨
  • 主たる生計維持者が事業を廃止し,または休止した旨
  • 主たる生計維持者が失職し,現在収入がない旨

【医療機関の対応】

  • 窓口で申し立てがあった場合には,一部負担金等の支払いを受け取る必要はありません。
    ※申し立ての内容をカルテに記録する
  • 保険請求(レセプト請求)の際は,一部負担金等の額も含めた全額を請求してください。

なお,診療報酬の請求方法については,以下をご参照ください。

1 被保険者証等を医療機関に提示せずに受診した者に係る請求の取扱い等について

  • 被保険者証等を医療機関に提示せずに受診した者に係る請求の取扱いについては,以下の方法により診療報酬の請求を行うものとすること。
  •  医療機関においては,受診の際に確認した被保険者の事業所等や過去に受診したことのある医療機関に問い合わせること等により,また,窓口で確認した事項等により,可能な限り保険者等を記載すること。
  •  保険者を特定した場合にあっては,当該保険者に係る保険者番号を診療報酬明細書(以下「明細書」という。)の所定の欄に記載すること。
     なお,被保険者証の記号・番号が確認できた場合については,当該記号・番号を記載することとし,当該記号・番号が確認できない場合にあっては,明細書の欄外上部に赤色で不詳と記載すること。
  •  上記①の方法により保険者を特定できないものにあっては,住所又は事業所名,患者に確認している場合にはその連絡先について,明細書の欄外上部に記載し,当該明細書について,国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)へ提出する分,社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)へ提出する分,それぞれについて別に束ねて,請求するものとすること。
     なお,請求において,国民健康保険の被保険者である旨,国民健康保険組合の被保険者である旨及び後期高齢者医療の被保険者である旨を確認した者に係るものについては国保連に,被用者保険の被保険者等である旨を確認した者に係るものについては支払基金に請求するものとする。また,支払基金か国保連のいずれに提出するべきか不明なレセプトについては,医療機関において,可能な限り確認した上で,個別に判断し,いずれかに提出すること。
  •  保険者が特定できない場合の診療報酬請求書の記載方法については,国保連分は,当該不明分につき診療報酬請求書を作成する方法(通常通り,国保分と後期高齢者分を区分してそれぞれ診療報酬請求書を作成すること)で,支払基金分は,診療報酬請求書の備考欄に未確定分である旨を明示し,その横に一括して所定事項(件数,診療実日数及び点数等)を記載すること。
  • 健康保険法(大正11年法律第70号)第75条の2等の規定により一部負担金の減免措置等を講じられたものに関する取扱い
    健康保険法(大正11年法律第70号)第75条の2等の規定により一部負担金の減免措置等を講じられた者については,当該減免措置の対象となる明細書と減免措置の対象とならない明細書を別にして請求すること。(以下の事務連絡参照。)
     なお,減免措置等に係る明細書については,明細書の欄外上部に赤色で災1と記載するとともに,同一の患者について,減免措置等に係る明細書と減免措置等の対象とならない明細書がある場合には,双方を2枚1組にし,通常の明細書とは別に束ねて提出すること。
     ただし,同一の患者について,減免措置等に係る診療等とそれ以外の診療等を区別することが困難な明細書については,赤色で災2と記載することとし,被災以前の診療に関する一部負担金等の額を摘要欄に記載すること。
     また,減免措置に係る明細書の減額割合等の記載については,「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)に基づき記載すること。
  • 災害により被災した被保険者等に係る一部負担金等及び健康保険料の取扱い等について(平成24年11月28日厚生労働省保険局保険課事務連絡)
  • 暴風雪被害により被災した国民健康保険被保険者に係る国民健康保険料(税)等の取扱いについて(平成24年11月28日厚生労働省保険局国民健康保険課・総務省自治税務局市町村税課事務連絡)
  • 暴風雪に伴う被害に係る後期高齢者医療制度の一部負担金及び保険料の取扱いについて(平成24年11月28日厚生労働省保険局高齢者医療課事務連絡)
  • 被保険者証等により受給資格を確認した者の取扱いについて
    被保険者証等により受給資格を確認した場合については,従来通りの方法に加え,(2)の方法により行うものとすること。

2 レセプト電算処理システムの取扱いについて

 レセプト電算処理システムに参加している医療機関等において,保険者が特定できない者等に係る診療報酬明細書等については,電子レセプトによる請求でなく紙レセプトにより請求すること。ただし,紙レセプトの出力が困難な場合には電子レセプトにより請求することも差し支えない。(電子レセプトにより請求する際には別添の事項を参考として記載すること。)

電子レセプトの記録に係る留意事項

 本事務連絡に基づき診療報酬等を請求する場合には,電子レセプトの記載について以下の点に留意すること。なお,システム上の問題等によりこれらの方法によって電子レセプトによる請求ができない場合には,紙レセプトにより請求することとする。

  1. 事務連絡1(1)②関連(保険者を特定できた場合)
    保険者を特定した場合であって,被保険者証の記号・番号が確認できない場合は,
    • 被保険者証の「保険者番号」を記録する。
    • 被保険者証の「記号」は記録しない。
    • 「番号」は「999999999(9桁)」を記録する。
    • 摘要欄の先頭に「不詳」を記録する。
    • 保険者番号が不明な場合には,「保険者番号」は「99999999(8桁)」を記録し,摘要欄に住所又は事業所名,患者に確認している場合にはその連絡を記録する。
  2. 事務連絡1(1)③関連(保険者を特定できない場合)
    保険者を特定できない場合には,
    • 「保険者番号」は「99999999(8桁)」を記録する。
    • 被保険者証の記号・番号が確認できた場合は記号・番号を記録する。
    • 被保険者証の記号・番号が確認できない場合は上記1と同様に,
      • 「記号」は記録しない。
      • 「番号」は「999999999(9桁)」を記録する。
      • 摘要欄の先頭に住所又は事業所名,患者に確認している場合にはその連絡先を記録する。
  3. 事務連絡1(2)関連
     本事務連絡1(2)において,「明細書の欄外上部に赤色で災1と記載する」とされているものについては,「レセプト共通レコードの「レセプト特記事項に「96」,保険者レコードの「減免区分」には該当するコード,摘要欄の先頭に「災1」と記録する」こと。
     また,「災2と記載する」とされているものについては,「レセプト共通レコードの「レセプト特記事項」に「97」,保険者レコードの「減免区分」には該当するコード,摘要欄の先頭に「災2」と記録する」こと。

2024年2月1日号TOP